シリーズ34

国公立大学 新増設・改組のポイント

Part.1【2018年度版】
2018年度は公立大2校が新設予定
国立大は学部学科の改組が続く


編集部
※組織名称、施策、役職名などは取材当時のものです
更新:2017/04/17
2018年度は公立大2校の新設予定があり、国立大では教員養成系、人文社会系、自然科学系などで学部学科の改組計画がある。その背景や傾向などを探ってみた。

新設は長野県立大と公立小松大
私立大の公立大化も進む

2018年度は、公立大2校の新設予定がある。新設されるのは長野県立大学と公立小松大学。長野県立大は長野県短期大学を4年制大学に移行する。公立小松大は私立の小松短期大学、同じく私立の専門学校であるこまつ看護学校を発展的に再編して公立化し、4年制大学にするものだ。

長野県立大はグローバルマネジメント学部、健康発達学部を設置し、公立小松大は生産システム科学部、保健医療学部、国際文化交流学部を設置する予定になっている。

このほかに、新設というわけではないが、私立の諏訪東京理科大学が2018年度から公立大(諏訪地域6市町村による)に移行する予定。

私立大の公立大化は、ここ数年のトレンドになっている。18歳人口が減少するなかで私立大は運営が難しくなる場合もあり、一方で地域の自治体には公立大化することで学生の地元への定着を図る目的があるからだ。そして、2019年度以降も、私立大から公立大への移行が何件か検討されている。

時代の変化や社会ニーズに対応し
より幅広い学びを可能に

国立大では、2016年度、2017年度と学部学科の改組が相次いだ。その流れは2018年度以降も続き、かなりの数の改組が計画されている。

これは国立大が6年間ごとの「中期目標・中期計画」(以下、中期目標と表記)を策定していることなどによるもの。2016年度から第3期の中期目標期間に入り、各大学は時代の変化や社会のニーズに対応できるように学部学科などのあり方を見直し、改組している。

改組の内容は大学ごとに異なるが、全体としてみると、教員養成系の見直し、人文社会系の見直しなどが目立つ。

教員養成系では、少子化など社会の変化を踏まえて、「ゼロ免課程」と呼ばれる、教員免許取得を卒業条件としない課程の廃止などを中心に改組が行われている。

人文社会系では、社会が複雑化・多様化してきていることなどを踏まえて、従来の学部学科の枠組みを見直し、幅広い領域を学びやすくしたり、複数の学問領域を横断できたりするなど、幅広い学びを可能にする学部学科を設置する傾向がある。

また、自然科学系でも数多くの改組が進められている。傾向としては、人文社会系と同様に、学問領域をより幅広く学べるようにしたり、理学と工学の融合を図ったり、新しい発想の学部学科やコースを設置するなど、新たな視点で科学技術を追究できるような体制への再編が多くなっている。

国立大の2018年度以降の改組計画例は下表のとおりだが、本誌編集時点(2月中旬)では具体的な内容や実施年度は検討中というところがほとんどだ。

そのなかで、九州工業大は改組の内容を明らかにしている。同大では2018年度に工学部と情報工学部の学科を再編する予定。工学部は建設社会工学科、機械知能工学科、宇宙システム工学科、電気電子工学科、応用科学科、マテリアル工学科となり、それぞれコースを設けている。情報工学部は知能情報工学科、情報・通信工学科、知的システム工学科、物理情報工学科、生命化学情報工学科となり、こちらもコースを設けている。

改組の内容や時期を検討中の国立大については、ホームページをチェックして、早めに情報をキャッチするようにしたい。

国公立大学の2018年度以降の新増設・改組計画例
学校名 計画内容
公立大学の新設
長野県立大学 長野県短期大学を4年制大学に移行。
公立小松大学 小松短期大学とこまつ看護学校を改編して公立化し、4年制大学を新設。
国立大学の新設
茨城大学 工学部の電気電子工学科とメディア通信工学科、マテリアル工学科と生体分子機能工学科をそれぞれ統合、電気電子通信工学科、機能物質工学科を設置。
筑波技術大学 産業技術学部産業情報学科を再編。
保健科学部情報システム学科をマルチメディア・ゲームコース、ソフトウェアデベロップメントコースなど5コースに細分。
宇都宮大学 工学部を改組
埼玉大学 理学部、工学部の学科の大括り化を図る。
東京外国語大学 国際日本学の新たな教育組織を設置。
新潟大学 人文社会科学系学部を再編。
医歯学系学部を再編。
富山大学 人文社会芸術系の学部について組織を見直し。
兵庫教育大学 教員養成の高度化に対応した専修・コースの再編を含めた学部組織改革を行う。
岡山大学 教育学部のコース再編などを行う。
香川大学 社会科学系分野で、地域の人材ニーズに柔軟に対応できる組織の整備を行う。
愛媛大学 2019年度に理学部・工学部を中心に理工系教育研究組織を再編。
九州大学 人文社会科学分野などの再編成の検討・実施などに取り組む。
九州工業大学 2018年度に工学部、情報工学部の学科を再編。
熊本大学 人文社会科学系および自然科学系学部を再編統合。
琉球大学 教員養成系学部、人文・社会系および学際系学部、理工系学部を再編。

※内容はすべて予定のため、変更される場合もあります。詳細な情報は各学校へお問い合わせください。

2018年度は
公私立を合わせて5大学が開学予定

大学新設は、前述の公立大2校に加え、私立大3校(うち1校は通信制のみ)の計5校から認可申請が出ている。通信制を除いた4校の合計は7学部9学科、入学定員は760名となる。

短期大学は2校(仙台赤門短期大学、姫路大学短期大学部)から開設の申請が出ている。

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