Part.4 文部科学省インタビュー vol.1

2007-01-29UP

奉仕体験活動の位置づけ明確化などで
各学校の取り組みを支援(1)


文部科学省 初等中等教育局児童生徒課
生徒指導室生徒指導企画係 喜久里 要
(きくさと かなめ)係長

シリーズ6 〜 シリーズ3

『リメディアル教育の現場』

Part.1
リメディアル教育の背景と現状
学力不足を補うリメディアル教育が拡大

Part.2
大学の取り組みを探る

Part.2−@
専用組織(学習支援センター)を設けて学生に対応している例【明星大学】

Part.2−A
通常の授業でリメディアル教育を実施している例【関東学院大学】

Part.2−B
入学前教育(通学学習型)として実施している例【聖学院大学】

Part.2−C
入学前教育(自宅学習型)として実施している例【東京電機大学】

Part.3
リメディアル教育のこれから
新たな高大連携で基礎学力の定着を


『忙しい先生の業務効率化と円滑な学校運営』

Part.1
文部科学省「教員勤務実態調査」を読む

Part.1 vol.1
高校教員の労働時間は1日10時間強

Part.1 vol.2
自由もゆとりもない先生たち

Part.2
学校教員の負担を考える

Part.2 vol.1
「忙しい」が教員の心とからだを蝕む

Part.2 vol.2
生徒と向き合えない教育現場

Part.3
行政の対応を探る

Part.3 vol.1
教員の事務負担軽減を提言に盛り込む

Part.3 vol.2
教員の勤務負担軽減めざす事業を開始

Part.4
教職に意欲と誇りを持てる環境づくりを


『専門学校とAO入試』

Part.1
AO入試の現況と専門学校

Part.2
アドミッション・ポリシーが明確な専門学校版AO入試

Part.3
明確な基準を設けAO入試を導入

Part.4
基準づくりの議論が必要に

Part.5
専門学校版AO入試の具体例

Part.5 vol.1
独自色を生かした「AO入学制度」

Part.5 vol.2
高校から信頼されるAO入試をめざす

Part.6
高校と専門学校の連絡を密にすることが重要

Part.7
情報交換の場をつくることが必要

Part.8
AO入試のアンケートと研究会を実施


『高校における「奉仕」活動のあり方』

Part.1
東京都立高校の「奉仕」必修化への取り組み 2007年度からすべての都立高校で「奉仕」を必修化

Part.2
東京都教育委員会インタビュー
社会貢献の精神や方法を学べるように全国で初めて「奉仕」を必修化

Part.3
奉仕体験活動の先行事例を見る

Part.3 vol.1
商業高校の特色を生かし地域に貢献する「まちおこし体験活動」を計画

Part.3 vol.2
2年生全員が参加する社会体験活動で進路選択や学習の姿勢が変化

Part.3 vol.3

「奉仕」のための組織づくりを進め生徒は自主的に活動に取り組む

Part.3 vol.4
福祉や国際ボランティアなどを2週間の総合的な学習の時間に体験

Part.4
文部科学省インタビュー

奉仕体験活動の位置づけ明確化などで各学校の取り組みを支援
Part.4 vol.1

Part.4 vol.2

Part.5
日本ボランティア学習協会インタビュー

ボランティア活動の教育力を活用して新たな教育の展開を
Part.5 vol.1

Part.5 vol.2

Part.5 vol.3

 前回まで、東京都の奉仕体験活動への取り組みをレポートしてきたが、もちろん奉仕体験活動は全国の学校にとっても重要なテーマの1つだ。そこで今回は、文部科学省の児童生徒課・喜久里係長に、奉仕体験活動に関する文部科学省の考え方、関連する施策、今後の計画などについて話をうかがった。

他人の気持ちを考える能力を
奉仕体験活動で培う


――奉仕体験活動を学校教育のなかに取り入れる動きがありますが、そうなってきた経緯を教えていただけますか。

喜久里 昭和50年代頃から校内暴力などが表面化して、子どもたちの心の問題がクローズアップされるようになりました。当時は、都市化が進んで自然が少なくなってきていることから、自然体験などを増やしていこうというかたちで行政施策が進められてきました。

 それが、平成12(2000)年の教育改革国民会議のころになると、自然体験のみならず、人と人の結びつきが弱いのではないかという問題意識が出てきました。つまり、最近の子どもには、自分さえよければいいということがよく見受けられますが、そもそも他人の気持ちを考える能力が身についていないのではないか、ということ点が問題になりました。そうであれば、他者との関係のなかで自分を磨いていくことが必要であり、そのための方法の1つとして奉仕体験を導入したらどうか、という方向で議論が進められ、平成12('00)年に報告がまとめられました。

 それを引き継ぐかたちで、中央教育審議会でも検討を行い、平成14('02)年に奉仕体験活動をクローズアップした答申が出ています。そうした流れのなかで、平成13('01)年には学校教育法の一部改正も行っています。



▲ 喜久里 要 係長

学校教育法の一部改正で
体験的な学習活動を重視


――学校教育法は、どのように改正されたのでしょうか。

喜久里 学校教育の目標として、奉仕体験活動や自然体験活動など体験的な学習活動の充実に努めることを追加しました。子どもたちを育てていく過程のなかで、ぜひ体験的な要素を重視してくださいという趣旨です。併せて社会教育法でも、まったく同じ改正をしています。公民館などでの活動をはじめとする社会教育においても体験的な要素を重視していただくためです。

――体験的な学習活動のなかで、奉仕活動についてはどのような位置づけになるのでしょうか。

喜久里 6歳の小学生が行う体験的な学習活動と18歳の高校生が行う体験的な学習活動は全然違うと思います。それで、私どもでは、明確な区分というわけではないのですが、小学生には自然体験、中学生には職場体験、高校生には奉仕体験が適しているのではないかと考えています。

 小学生のころは、何はともあれ友だちと楽しく遊び、良い人間関係を築くところから始めたほうがいいので、それには自然体験が適しているし、そこで身につくものも多いのではないかと思います。中学生になると、世の中というものが少しずつわかってきますから、世の中のしくみを学ぶためにも職場体験がいいのではないでしょうか。

 高校生になると、自分の進路や、どう生きていくべきかなど人生観に深く突っ込んだことを考えるようになります。自分がどのように社会に貢献していくのか、逆に社会から何を得るのか。そうしたことを考えるうえで、奉仕体験活動は効果があると思います。それに、奉仕体験活動の内容も、小学生だとゴミ拾いや家の手伝いなどわりあい簡単なものになりますが、高校生の場合は、老人ホームでの介護体験とか、幼稚園での保育体験などもできます。


▲学校における体験活動の実施状況

地域の実情や各校の特色を踏まえて
体験活動に取り組みを


――奉仕体験活動の進め方などについて、全国の教育委員会や学校に周知を図っていることはありますか。

喜久里 私どものほうから、奉仕体験活動の進め方などについて具体的な提示などはしていません。総合的な学習の時間や特別活動の時間などを使って、さまざまな体験活動に取り組んでいただきたい、ということは申し上げています。しかし、奉仕体験活動の時間数とか内容などには触れていません。そこは、地域の事情、学校の特色、保護者の希望などを踏まえて、それぞれの学校ごとに、どういった体験活動に取り組んでいくのかを判断していただきたいと思っています。

――東京都では平成19('07)年度から、すべての都立高校で「奉仕」を必修化することになりましたが、この取り組みについてはどのように見ていますか。

喜久里 東京都の取り組みには関心を持っています。とくに、カリキュラムのなかに奉仕体験活動の時間を明確に位置づけたこと、そして、奉仕体験活動用のテキストをつくっていることに注目しています。全国の自治体のなかでも、非常に特色のある取り組みであることは間違いないと思いますし、その取り組み内容や成果如何によっては、今後、全国的なムーブメントになっていく可能性もあるのではないでしょうか。


■文部科学省
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