Part.4 大阪府の現状

2007-06-11UP

基準づくりの議論が必要に


大阪府専修学校各種学校連合会
重里(じゅうり)徳太 副会長(日本分析化学専門学校 校長)

『リメディアル教育の現場』

Part.1
リメディアル教育の背景と現状
学力不足を補うリメディアル教育が拡大

Part.2
大学の取り組みを探る

Part.2−@
専用組織(学習支援センター)を設けて学生に対応している例【明星大学】

Part.2−A
通常の授業でリメディアル教育を実施している例【関東学院大学】

Part.2−B
入学前教育(通学学習型)として実施している例【聖学院大学】

Part.2−C
入学前教育(自宅学習型)として実施している例【東京電機大学】

Part.3
リメディアル教育のこれから
新たな高大連携で基礎学力の定着を


『忙しい先生の業務効率化と円滑な学校運営』

Part.1
文部科学省「教員勤務実態調査」を読む

Part.1 vol.1
高校教員の労働時間は1日10時間強

Part.1 vol.2
自由もゆとりもない先生たち

Part.2
学校教員の負担を考える

Part.2 vol.1
「忙しい」が教員の心とからだを蝕む

Part.2 vol.2
生徒と向き合えない教育現場

Part.3
行政の対応を探る

Part.3 vol.1
教員の事務負担軽減を提言に盛り込む

Part.3 vol.2
教員の勤務負担軽減めざす事業を開始

Part.4
教職に意欲と誇りを持てる環境づくりを


『専門学校とAO入試』

Part.1
AO入試の現況と専門学校

Part.2
アドミッション・ポリシーが明確な専門学校版AO入試

Part.3
明確な基準を設けAO入試を導入

Part.4
基準づくりの議論が必要に

Part.5
専門学校版AO入試の具体例

Part.5 vol.1
独自色を生かした「AO入学制度」

Part.5 vol.2
高校から信頼されるAO入試をめざす

Part.6
高校と専門学校の連絡を密にすることが重要

Part.7
情報交換の場をつくることが必要

Part.8
AO入試のアンケートと研究会を実施


『高校における「奉仕」活動のあり方』

Part.1
東京都立高校の「奉仕」必修化への取り組み 2007年度からすべての都立高校で「奉仕」を必修化

Part.2
東京都教育委員会インタビュー
社会貢献の精神や方法を学べるように全国で初めて「奉仕」を必修化

Part.3
奉仕体験活動の先行事例を見る

Part.3 vol.1
商業高校の特色を生かし地域に貢献する「まちおこし体験活動」を計画

Part.3 vol.2
2年生全員が参加する社会体験活動で進路選択や学習の姿勢が変化

Part.3 vol.3

「奉仕」のための組織づくりを進め生徒は自主的に活動に取り組む

Part.3 vol.4
福祉や国際ボランティアなどを2週間の総合的な学習の時間に体験

Part.4
文部科学省インタビュー

奉仕体験活動の位置づけ明確化などで各学校の取り組みを支援
Part.4 vol.1

Part.4 vol.2

Part.5
日本ボランティア学習協会インタビュー

ボランティア活動の教育力を活用して新たな教育の展開を
Part.5 vol.1

Part.5 vol.2

Part.5 vol.3

 大阪府では、AO入試を独自に実施する専門学校が増えている。大阪府専修学校各種学校連合会(大専各)は、AO入試に関するガイドラインなどは設けていないが、AO入試の現状や今後の対応について、どのように考えているのか。大専各の重里徳太副会長(進学対策委員長)に話をうかがった。

AO入試を実施する
専門学校が増加


 大阪府における専門学校のAO入試の実情について、大阪府専修学校各種学校連合会(大専各)の重里副会長は、次のように説明する。

「大阪府の専門学校でAO入試を行っているところは、すでにたくさんあると認識しています。それが、文部科学省が大学に通知した選抜実施要項などに則しているかどうかは別にして、各校が独自にAO入試を実施しているのです。エントリーの受付時期、エントリーの方法など条件は各校ごとに異なりますが、何らかのかたちでのAO入試は普通になりつつあるといえるでしょう」


規制やガイドラインは
設けていない


 こうしたAO入試は、大専各として制度化しているわけではない。あくまで、各校の考えで実施しているものだ。

「大専各はこれまで、専門学校のAO入試について、枠組みを設けたり、ガイドラインをつくったりということはしていません。逆に、促進しているわけでもありません。それでも、前年度まではAO入試がとくに混乱などを招くことはありませんでした。

 ただ、少し問題視していたのは、エントリーシートなどを受付後、正式な選考ではないにしろ何らかの選考をして、合格内定を出すというシステムをとっているところが多いことです。

 ここがちょっと微妙なのですが、大阪では他の多くの地域と同様に、推薦入試、一般入試とも願書受付は10月1日以降に行うことになっています。したがってAO入試の合格内定者も、その後の正式な手続きで願書受付が定められた10月1日以降であるなら、そこまで規制する材料はないのです」


願書受付の前倒しが目につき
大専各として議論も必要に


 しかし、今年度に入って、懸念される動きが表面化してきたという。

「AO入試で合格内定を出した生徒に、10月1日以降ではなく9月とか8月とかに願書を出しなさいと声高にいう学校が増えてきたのです。それはちょっとおかしい。学校のなかには、合格内定を早めに出しているのだから願書受付も早めていいのではないかと勘違いしているところがあるのかもしれません。ですから、まだ私個人の段階ですが、やはりガイドラインをつくらざるを得ないのかなと感じています。結果的にどうなるかは別にしても、少なくとも問題提起をして明確な議論をしていく必要はあると思います」


しっかりしたAO入試は
高校も評価


 AO入試未実施校でも「関心を示していない専門学校はない」(重里副会長)状況だというが、高校の先生方もAO入試を注視しているそうだ。

「大専各では、定期的に進路指導の先生方との会合を設けて、いろいろな話をうかがっているのですが、その場でもAO入試が議論の対象になっています。

 先生方は、主に大学を例に話をされるのですが、エントリーという名で意思表示をした生徒に何らかのものを書かせて、それだけで実質的に合格させるようなAO入試は疑問視されています。生徒が簡単に合格できると思ってしまうことによる学習モチベーションの低下、あるいは早期に進学先が決まることで、それ以降の学習モチベーションの維持が難しくなることなどを懸念されているのです。

 その一方で、本来の意味でのAO入試を実施しているところは評価されています。生徒の資質や適性などを含めて、しっかり選考をしている大学もあるので、そういうAO入試なら批判するものではない、という声を実際に聞いています。

 ですから、大専各としてAO入試のガイドラインを検討する場合は、そういう声を反映させて、先生方にも納得していただけるような内容にしていきたいと考えています」

内定後の学習意欲の維持や
安易な応募への対策が重要


 東京、愛知、大阪と大都市圏ごとに、専門学校のAO入試の動きを探ってきたが、どこにも共通する最大のポイントは「時期」といえるだろう。

 正式な出願は9月中旬(東京の場合、事務手続き開始が9月15日以降)あるいは10月1日以降だとしても、エントリーの受付開始は7月1日(東京)、6月1日(愛知)など1学期中に始まり、8月頃から合格内定を出すケースもある。そうなると、内定以降、生徒の学習意欲を維持するのが難しくなる。また、生徒が早く進学先を決めたくて安易にAO入試を選ぶ可能性もある。

 この問題については、東京都専修学校各種学校協会でも愛知県専修学校各種学校連合会でも、ほぼ同様の基準を設けている。学習意欲の維持のためには、内定後、各専門学校が継続的に課題を課すことになっている。また、生徒の安易な応募をチェックするため、登録書類(エントリーシートなど)には担任か保護者の署名が必要と定めている。

 ただ、このうち内定後に課す課題については、専門学校ごとの対応になる。それぞれの専門学校が、生徒本人はもちろん高校の先生や保護者も納得できるように、課題の課し方や内容を工夫していくことが重要になりそうだ。


■社団法人 大阪府専修学校各種学校連合会
http://osaka-senkaku.or.jp/