Part.5 専門学校版AO入試の具体例 vol.2

2007-07-23UP

高校から信頼されるAO入試をめざす


香川栄養専門学校
染谷 忠彦 広報部長

『リメディアル教育の現場』

Part.1
リメディアル教育の背景と現状
学力不足を補うリメディアル教育が拡大

Part.2
大学の取り組みを探る

Part.2−@
専用組織(学習支援センター)を設けて学生に対応している例【明星大学】

Part.2−A
通常の授業でリメディアル教育を実施している例【関東学院大学】

Part.2−B
入学前教育(通学学習型)として実施している例【聖学院大学】

Part.2−C
入学前教育(自宅学習型)として実施している例【東京電機大学】

Part.3
リメディアル教育のこれから
新たな高大連携で基礎学力の定着を


『忙しい先生の業務効率化と円滑な学校運営』

Part.1
文部科学省「教員勤務実態調査」を読む

Part.1 vol.1
高校教員の労働時間は1日10時間強

Part.1 vol.2
自由もゆとりもない先生たち

Part.2
学校教員の負担を考える

Part.2 vol.1
「忙しい」が教員の心とからだを蝕む

Part.2 vol.2
生徒と向き合えない教育現場

Part.3
行政の対応を探る

Part.3 vol.1
教員の事務負担軽減を提言に盛り込む

Part.3 vol.2
教員の勤務負担軽減めざす事業を開始

Part.4
教職に意欲と誇りを持てる環境づくりを


『専門学校とAO入試』

Part.1
AO入試の現況と専門学校

Part.2
アドミッション・ポリシーが明確な専門学校版AO入試

Part.3
明確な基準を設けAO入試を導入

Part.4
基準づくりの議論が必要に

Part.5
専門学校版AO入試の具体例

Part.5 vol.1
独自色を生かした「AO入学制度」

Part.5 vol.2
高校から信頼されるAO入試をめざす

Part.6
高校と専門学校の連絡を密にすることが重要

Part.7
情報交換の場をつくることが必要

Part.8
AO入試のアンケートと研究会を実施


『高校における「奉仕」活動のあり方』

Part.1
東京都立高校の「奉仕」必修化への取り組み 2007年度からすべての都立高校で「奉仕」を必修化

Part.2
東京都教育委員会インタビュー
社会貢献の精神や方法を学べるように全国で初めて「奉仕」を必修化

Part.3
奉仕体験活動の先行事例を見る

Part.3 vol.1
商業高校の特色を生かし地域に貢献する「まちおこし体験活動」を計画

Part.3 vol.2
2年生全員が参加する社会体験活動で進路選択や学習の姿勢が変化

Part.3 vol.3

「奉仕」のための組織づくりを進め生徒は自主的に活動に取り組む

Part.3 vol.4
福祉や国際ボランティアなどを2週間の総合的な学習の時間に体験

Part.4
文部科学省インタビュー

奉仕体験活動の位置づけ明確化などで各学校の取り組みを支援
Part.4 vol.1

Part.4 vol.2

Part.5
日本ボランティア学習協会インタビュー

ボランティア活動の教育力を活用して新たな教育の展開を
Part.5 vol.1

Part.5 vol.2

Part.5 vol.3

 香川栄養専門学校は、系列の女子栄養大学および女子栄養大学短期大学部におけるAO入試の成果を踏まえて、今年度からAO入試を実施している。AO入試に対する考え方、学科によって異なるAO入試の実施方法、高校への配慮などについて、染谷忠彦広報部長に話をうかがった。

系列大学・短大のAO入試で
手応えつかむ


 香川栄養専門学校は、今年度からAO入試を開始した。これは、系列の女子栄養大学、女子栄養大学短期大学部におけるAO入試の実績を踏まえたものだ。染谷忠彦広報部長は説明する。

「女子栄養大学短期大学部は一昨年から、女子栄養大学は昨年からAO入試を導入しました。私たちは、しっかりしたAO入試を行いたいと考えていたので、大学、短大とも内容は厳しいものにしています。

 オープンキャンパス時に行うAO入試説明会への参加や志望理由書の提出が必須なのは当然ですが、試験当日は模擬授業を受けたあと、800字以上のレポートを書いてもらいます。さらに、面接では10分〜20分のプレゼンテーションをしてもらいます。

 受験する生徒にとっては、かなりきついAO入試なのですが、大学も短大も、ぜひ入学したいという生徒が志願してくれました。しかも、説明会にはきたけれどAO入試は受けなかったという人も、大部分が推薦入試か一般入試で入学しているんです。生半可な気持ちでAO入試にチャレンジしようとしているわけではないんですね。

 そういう実績があったので、香川栄養専門学校でAO入試を実施しても、意欲的な生徒が志願してくれるのではないかと考えるようになったのです」



▲ 染谷 忠彦 広報部長

東専各のAO入試導入に賛同し
専門学校のAO入試に踏み切る


 大学、短大におけるAO入試の実績に加えて、東京都専修学校各種学校協会(東専各)が「専門学校版AO入試」導入を決めたことが直接的なきっかけとなって、専門学校でのAO入試実施に踏み切ることになった。

「私たちもそうですが、専門学校のAO入試については各校によっていろいろな意見があると思います。しかし、各校が加わっている団体がAO入試をやろうと決めたわけですから、それには賛同すべきだと思います。そういうことも踏まえて、専門学校でAO入試を始めることにしたのです」

学科の志望者層に適した
2パターンのAO入試


 香川栄養専門学校には、栄養士科、調理師科、製菓科の3学科がある。各学科ともAO入試を行うが、実施方法は(1)栄養士科、(2)調理師科と製菓科で多少異なっている。これは学科によって志望者層が異なることを踏まえて、それぞれ適切な方法を設定したからだ。

 栄養士科の場合、AO入試の流れは次のようになる。

(1)オープンキャンパス時に実施する「栄養士科AO入試説明会」(今年度は6月16日と7月15日のいずれか。以下の日付も今年度)に参加し、教育内容を十分に理解する。
(2)エントリーシートを提出(7月2日〜20日)。
(3)試験(7月29日)。約10分の個別面談で教育内容の理解度や意思などの確認を行う。
(4)内定通知を本人および高校に郵送(8月10日)。
(5)出願書類提出(10月1日〜5日)。この出願書類は調査書を含む。
(6)合格発表。結果を本人および高校に郵送(10月19日)。
(7)入学手続き(11月2日まで)。

 調理師科と製菓科の場合は、次のような流れになる。

(1)学校説明会・体験入学セミナーへの参加。学校説明会(5月〜9月までに6回設定)に1回参加し、セミナー(同期間に10数回設定)に2回参加することが条件になる。
(2)エントリーシートを提出(7月2日〜9月20日)。
(3)内定通知を本人および高校に郵送。時期はエントリーシート受付後、随時。
(4)出願書類提出。まず入学志願票を9月18日〜28日の間に提出し、調査書を10月1日〜12日の間に提出する。
(5)合格発表。結果を本人および高校に郵送。時期は、調査書受領の直後。
(6)入学手続き(合格日より3週間以内)。

 選考方法は、栄養士科の場合はエントリーシートによる書類審査と試験(面談)の総合評価により判定する。調理師科と製菓科の場合、試験は設定していないが、体験入学セミナー時に面談を行う。その内容とエントリーシートによる書類審査を総合して判定する。

 なお、前記したように調理師科と製菓科は、学校説明会とは別に体験セミナーに2回、参加することになっている。これは、和食、洋食、中華、菓子などを実際につくってみることで、入学後、何をどんなふうに学ぶかを十分に理解し、そのうえでエントリーしてもらうためだ。


エントリーシートには
担任の署名を求める


 東専各のガイドラインでは、応募書類に担任または保護者の署名を求めることや、内定後に専門学校が継続的な課題を課すことが定められているが、香川栄養専門学校のAO入試は、それに沿ったものになっている。

 署名については、栄養士科の場合は「クラス担任または進路指導担当教員の了承印」が必要で、調理師科と製菓科の場合は「保護者ならびにクラス担任の署名・捺印」が必要となっている。


合格後の継続的課題も
学科ごとに設定


 課題については、栄養士科、調理師科と製菓科は、それぞれ入学手続き後に継続的課題を課すことになっている。

 栄養士科の場合は、11月か12月に合格者に課題を送付する。課題は、日本語力や理科など入学後も重要になるものを課す予定だ。合格者は、その課題を1月に提出。学校側は、添削して2月に返送する。

 また、3月末に1週間程度の勉強会を開催する。これは、もともと短大のAO入試および推薦入試の合格者を対象に実施しているもので、今年度から専門学校栄養士科のAO入試合格者も対象に加える。この勉強会では、入学後に必要となる内容を集中的に学ぶことができる。

 調理師科と製菓科の場合は、個々に課題を出すかたちではなく、合格後も体験入学セミナーに参加させる。合格前と異なるのは、実技だけでなく講義を受講し、その内容を後日、レポートにまとめて提出することだ。これを数回繰り返すことによって、入学後も重要になる教科や、包丁の使い方など実技面で勉強しておくとよいことに気づかせるとともに、入学に向けての意識を高めていく。

AO入試で合格しなければ
推薦や一般に志願する高校生も


 専門学校としてのAO入試は初めてだが、大学、短大での経験があるため、AO入試で求める人材像は明確だ。

「食について関心を持っている人たちのなかで、ぜひ本校で学びたい、という強い希望を持っている人を採りたいですね。そういう人がかなりいることは、大学、短大のAO入試で分かりましたから。専門学校のほうでも、すでに『どうしても入学したい』という意欲的な人たちが出てきています。そういう人たちは、AO入試から積極的にチャレンジして、もしAO入試がダメでも推薦入試や一般入試を受けるといってくれています」


高校との信頼関係を築き
AO入試の発展を図る


 動き出したばかりのAO入試だが、今後、発展させていくには、高校との信頼関係が大切だと染谷部長は指摘する。

「高校の先生方は、生徒が安易に学校を選んでしまうことを心配されている面もあると思います。たしかに、あまり学校を調べないで、イメージだけで決めてしまう生徒もいるようです。ですから、私たちは学校説明会や体験入学セミナーに参加した生徒には、ほかの学校も見学することを奨めています。

 それから、生徒が体験入学セミナー時の面談でAO入試を受けたいという意志を表明した場合は、エントリーする前に私たちが高校を訪問するようにしてします。先生方に経緯をお話しして、ご理解をいただくためです。

 あとは選考から入学までの指導を含めて、しっかりしたAO入試を行い、先生方から信頼されるようになりたいと思っています。

 入試や学校に対する評価は、入学後2〜3カ月もすればハッキリします。生徒は、5月頃には出身高校に報告にいきますから、その時点で、入学してよかったかどうかが先生方には分かるわけです。

 私たちは、生徒に『この学校に入ってよかった』と思ってもらいたい。そして、将来の目的に向かって勉強してもらいたい。そういう理念を持ってAO入試を行っています。それを高校の先生方にご理解いただけるように、今後も努力していくつもりです」


■香川栄養専門学校
http://www.kagawa-eiyo.ac.jp/