ドリコムアイ.net…高校生の進路と教育を考えるWebマガジン
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Part.1

2008-01-07UP

文部科学省「教員勤務実態調査」を読む
Vol.1 高校教員の労働時間は1日10時間強


編集部

シリーズ6 〜 シリーズ3

『リメディアル教育の現場』

Part.1
リメディアル教育の背景と現状
学力不足を補うリメディアル教育が拡大

Part.2
大学の取り組みを探る

Part.2−@
専用組織(学習支援センター)を設けて学生に対応している例【明星大学】

Part.2−A
通常の授業でリメディアル教育を実施している例【関東学院大学】

Part.2−B
入学前教育(通学学習型)として実施している例【聖学院大学】

Part.2−C
入学前教育(自宅学習型)として実施している例【東京電機大学】

Part.3
リメディアル教育のこれから
新たな高大連携で基礎学力の定着を


『忙しい先生の業務効率化と円滑な学校運営』

Part.1
文部科学省「教員勤務実態調査」を読む

Part.1 vol.1
高校教員の労働時間は1日10時間強

Part.1 vol.2
自由もゆとりもない先生たち

Part.2
学校教員の負担を考える

Part.2 vol.1
「忙しい」が教員の心とからだを蝕む

Part.2 vol.2
生徒と向き合えない教育現場

Part.3
行政の対応を探る

Part.3 vol.1
教員の事務負担軽減を提言に盛り込む

Part.3 vol.2
教員の勤務負担軽減めざす事業を開始

Part.4
教職に意欲と誇りを持てる環境づくりを


『専門学校とAO入試』

Part.1
AO入試の現況と専門学校

Part.2
アドミッション・ポリシーが明確な専門学校版AO入試

Part.3
明確な基準を設けAO入試を導入

Part.4
基準づくりの議論が必要に

Part.5
専門学校版AO入試の具体例

Part.5 vol.1
独自色を生かした「AO入学制度」

Part.5 vol.2
高校から信頼されるAO入試をめざす

Part.6
高校と専門学校の連絡を密にすることが重要

Part.7
情報交換の場をつくることが必要

Part.8
AO入試のアンケートと研究会を実施


『高校における「奉仕」活動のあり方』

Part.1
東京都立高校の「奉仕」必修化への取り組み 2007年度からすべての都立高校で「奉仕」を必修化

Part.2
東京都教育委員会インタビュー
社会貢献の精神や方法を学べるように全国で初めて「奉仕」を必修化

Part.3
奉仕体験活動の先行事例を見る

Part.3 vol.1
商業高校の特色を生かし地域に貢献する「まちおこし体験活動」を計画

Part.3 vol.2
2年生全員が参加する社会体験活動で進路選択や学習の姿勢が変化

Part.3 vol.3

「奉仕」のための組織づくりを進め生徒は自主的に活動に取り組む

Part.3 vol.4
福祉や国際ボランティアなどを2週間の総合的な学習の時間に体験

Part.4
文部科学省インタビュー

奉仕体験活動の位置づけ明確化などで各学校の取り組みを支援
Part.4 vol.1

Part.4 vol.2

Part.5
日本ボランティア学習協会インタビュー

ボランティア活動の教育力を活用して新たな教育の展開を
Part.5 vol.1

Part.5 vol.2

Part.5 vol.3

 高校教員の多忙さが指摘されるようになって久しい。さまざまな雑務に追われて本来の業務に時間がとれないのが実情だともいわれる。先生はどうして忙しいのか? この状況を改善する手段はないのだろうか?

 Part.1は、文部科学省がまとめた報告書をもとに、高校教員の勤務実態を検証する。

40年ぶりの全国的な調査で
教員の勤務実態が明らかに


 文部科学省は、2006年に公立小・中学校、公立高校の教員の勤務実態を調査し、高校については2007年3月に「教員勤務実態調査(高等学校)報告書」をまとめた。

 これは、2006年6月2日に「簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律」(行革推進法)が公布・施行され、教職員給与の大幅な見直しを行うことが要請されたためだ。

 この要請を受けて、文部科学省は、教員の勤務のあり方や給与制度を検討する際の基礎的な資料を収集するために、公立小・中学校および公立高校(全日制、定時制)の教員を対象に勤務実態調査を実施することになった。教員の勤務実態に関する全国的な調査は、1966年に実施した「教員勤務状況調査」以来、40年ぶりのことだ。

 高校の調査時期は2006年10月〜12月。この期間のなかで、2週間ずつ3期に分けて調査を実施した。

 調査対象は、各期120校で3期合計360校。学校の重複はない。各学校には在籍教員数分の調査票を送付した。第1期は6434名、第2期は6620名、第3期は6530名が対象となり、有効回答率はそれぞれ80%前後だった。

 回答者の職階は、校長1.9%、教頭・副校長2.9%、教諭77.5%、講師4.8%、養護教諭2.3%、実習助手5.5%、その他0.7%、無回答・不明4.4%となっている。

高等学校教員の労働時間・残業時間の内訳

学校での労働時間は10時間
持帰り時間は26分


 では、高校教員の勤務実態はどのようなものなのだろうか? ここでは、報告書のなかから全日制課程の教員について、主な内容を見ていくことにしよう。なお、以下で取り上げる数値は、第1期から第3期までを合わせた全体の数値を使っている。

 まず、学校での1日の労働時間量を見ると、10時間00分となっている。これには残業時間量1時間43分が含まれる。また、このほかに学校から自宅に持ち帰って仕事をした「持帰り時間量」が26分となっている。つまり、高校教員の1日の労働時間量は、トータルで約10時間30分ぐらいになるわけだ。

 なお、本調査では、「残業時間帯」は出勤時刻から退勤時刻までのうち「正規の勤務時間帯」を除いた時間帯、「持帰り時間帯」は調査票の「業務記録」の開始時刻である5:00から出勤時刻までと退勤時刻から翌日の5:00までと設定されている。

労働時間は教頭・副校長が長く
持帰り時間は教諭が長い


 労働時間量(持帰りを含まない。以下同)を教員の属性別に見ると、次のような傾向がある。

 性別では、男性が10時間06分、女性が9時間46分で、男性のほうが20分長い。職階別では、教頭・副校長が最も長く、校長が9時間44分、教諭が10時間03分であるのに対し、教頭・副校長は10時間58分となっている。年齢別(職階の影響がないように教諭のみ集計。以下同)では、30歳以下が10時間41分、31〜40歳が10時間22分、41〜50歳が10時間02分、51歳以上が9時間33分で、年齢が若い教諭ほど長くなっている。

 残業時間量を教員の属性別に見ても、ほぼ同様の傾向があり、これが労働時間量の違いに反映されているといえそうだ。

 持帰り時間量は、性別、年齢別ではほとんど違いがない。しかし、職階別では校長が15分、教頭・副校長が16分なのに対し、教諭は29分と長くなっている。

生徒指導業務が75%だが
学校運営業務も2時間強


 次に高校教員がどのような業務をどのくらいの時間、行っているのかを見ていくことにしよう。

 本調査では、教員の業務を22項目に分類し、個別業務に費やした時間量を集計するとともに、個別業務を大きく4つのグループに分けた時間量も集計している。

 4つのグループと個別業務の時間量、および22項目の分類の1つではあるが労働時間量に含めていない「休憩・休息」の時間量は次のようになる。なお、集計方法の関係でグループの時間量が個別業務の合計と一致しない場合もある。また、各グループの個別業務は22項目の分類順序に沿って列記した。

(1)生徒の指導に直接的にかかわる業務:5時間03分
   朝の業務:29分
   授業:2時間25分
   学習指導:17分
   生徒指導(集団):23分
   生徒指導(個別):21分
   部活動:34分
   生徒会指導:02分
   学校行事:28分
(2)生徒の指導に間接的にかかわる業務:2時間36分
   授業準備:1時間31分
   成績処理:53分
   学年・学級経営:11分
(3)学校の運営にかかわる業務およびその他の校務:2時間13分
   学校経営:30分
   会議・打合せ:31分
   事務・報告書作成:28分
   校内研修:03分
   校務としての研修:05分
   会議:10分
   その他の校務:23分
(4)外部対応:07分
   保護者・PTA対応:03分
   地域対応:00分
   行政・関係団体対応:02分
(5)休憩・休息:30分

 生徒の指導に直接的・間接的にかかわる時間の合計は7時間39分で、労働時間量の75%強を占めている。なかでも最も多いのが、当然のことながら授業で、全体の約25%を占める。これに、授業準備、成績処理を加えると4時間49分で、労働時間量のほぼ半分になる。

 その一方で、学校経営、会議・打合せ、事務・報告書作成といった学校運営関連の業務にもそれぞれ約30分を費やしている。

残業は授業準備と部活動が中心
持帰りは授業準備と成績処理が大半


 労働時間のうち残業(出勤時刻から正規の業務開始時刻までも含む)ではどのような業務を行っているのかも見ておこう。時間量が長い順に上位をピックアップすると次のようになる。

 朝の業務:17分
 授業準備:16分
 部活動:14分
 成績処理:08分
 学校行事:06分
 学校経営:06分
 事務・報告書作成:06分 

 同様に、持帰り時間の業務について上位をピックアップすると次のようになる。

 授業準備:11分
 成績処理:06分
 その他の校務:02分
 事務・報告書作成:01分

 前述したように、職階別に見ると持帰り時間量が長いのは教諭だが、それは持帰り業務の中心が授業準備、成績処理であることからも裏づけられたかたちだ。

休日も出勤が1時間15分で
持帰りが1時間26分


 休日の勤務実態についても見ておこう。本調査では、休日については出勤から退勤までの時間帯を「残業時間」、それ以外の時間帯を「持帰り時間」としていて、残業時間量は1時間15分、持帰り時間量は1時間26分となっている。

 休日の残業時間量を業務別に見ると、部活動が43分と圧倒的に長く、その他の校務、授業準備、学習指導、成績処理などがそれぞれ4〜5分で続いている。

 休日の持帰り時間の業務は、授業準備が22分、成績処理が21分、部活動が21分で、この3業務が持帰り時間量の約75%を占めている。


■文部科学省『教員勤務実態調査報告書について』(2007年5月23日発表)
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/19/05/07052313.htm