Part.2

2008-03-31UP

学校教員の負担を考える
Vol.1 「忙しい」が教員の心とからだを蝕む


編集部

『リメディアル教育の現場』

Part.1
リメディアル教育の背景と現状
学力不足を補うリメディアル教育が拡大

Part.2
大学の取り組みを探る

Part.2−@
専用組織(学習支援センター)を設けて学生に対応している例【明星大学】

Part.2−A
通常の授業でリメディアル教育を実施している例【関東学院大学】

Part.2−B
入学前教育(通学学習型)として実施している例【聖学院大学】

Part.2−C
入学前教育(自宅学習型)として実施している例【東京電機大学】

Part.3
リメディアル教育のこれから
新たな高大連携で基礎学力の定着を


『忙しい先生の業務効率化と円滑な学校運営』

Part.1
文部科学省「教員勤務実態調査」を読む

Part.1 vol.1
高校教員の労働時間は1日10時間強

Part.1 vol.2
自由もゆとりもない先生たち

Part.2
学校教員の負担を考える

Part.2 vol.1
「忙しい」が教員の心とからだを蝕む

Part.2 vol.2
生徒と向き合えない教育現場

Part.3
行政の対応を探る

Part.3 vol.1
教員の事務負担軽減を提言に盛り込む

Part.3 vol.2
教員の勤務負担軽減めざす事業を開始

Part.4
教職に意欲と誇りを持てる環境づくりを


『専門学校とAO入試』

Part.1
AO入試の現況と専門学校

Part.2
アドミッション・ポリシーが明確な専門学校版AO入試

Part.3
明確な基準を設けAO入試を導入

Part.4
基準づくりの議論が必要に

Part.5
専門学校版AO入試の具体例

Part.5 vol.1
独自色を生かした「AO入学制度」

Part.5 vol.2
高校から信頼されるAO入試をめざす

Part.6
高校と専門学校の連絡を密にすることが重要

Part.7
情報交換の場をつくることが必要

Part.8
AO入試のアンケートと研究会を実施


『高校における「奉仕」活動のあり方』

Part.1
東京都立高校の「奉仕」必修化への取り組み 2007年度からすべての都立高校で「奉仕」を必修化

Part.2
東京都教育委員会インタビュー
社会貢献の精神や方法を学べるように全国で初めて「奉仕」を必修化

Part.3
奉仕体験活動の先行事例を見る

Part.3 vol.1
商業高校の特色を生かし地域に貢献する「まちおこし体験活動」を計画

Part.3 vol.2
2年生全員が参加する社会体験活動で進路選択や学習の姿勢が変化

Part.3 vol.3

「奉仕」のための組織づくりを進め生徒は自主的に活動に取り組む

Part.3 vol.4
福祉や国際ボランティアなどを2週間の総合的な学習の時間に体験

Part.4
文部科学省インタビュー

奉仕体験活動の位置づけ明確化などで各学校の取り組みを支援
Part.4 vol.1

Part.4 vol.2

Part.5
日本ボランティア学習協会インタビュー

ボランティア活動の教育力を活用して新たな教育の展開を
Part.5 vol.1

Part.5 vol.2

Part.5 vol.3

 定年を前に学校を去る教員、心を患って休職する教員が増えている。その要因がPart.1で見た「多忙」にあることは容易に想像がつくが、同じ多忙でも、意味のある多忙と、徒労感をともなう多忙は別ものだ。当然、解決に向けた手だてや、その優先順位も違ってくる。教職員組合関係者に聞いた現場の実情を交えながら、学校教員の負担について考えてみたい。

退職者、精神性疾患者が急増

 グラフ(1)は、文部科学省が3年ごとに行っている「学校教員統計調査(高等学校)」の離職教員に関する調査から、「定年(勧奨)」「死亡」を理由とするものを除いた、いわば自主退職者数の推移である。含まれる理由は(1)病気(2)転職(3)大学等入学(4)その他。1998年(総数3,301人)と2001年(同3,368人)に大きな差は見られないが、理由「その他」の急増によって、2004年には前回調査比で13.1%増の、3,874人にまで増えている。

 2007年12月末、文部科学省は、学校教員の負担を裏づける調査結果を発表した。「教育職員に係る懲戒処分等の状況について」――日の丸・君が代問題や、不祥事によって懲戒処分を受けた教員についての報告としか思えない表題ながら、そこには「病気休職」する学校教員、および「精神性疾患者」の内訳が含まれているのだ。

 同報告によると、2006年度、病気で休職する公立の小・中・高校、中等教育学校、特別支援学校の教員は7,655人。うち、精神性疾患による者が4,675人で、その割合は61.1%にものぼる。

 厚生労働省の2005年「患者調査」によると、人口10万人に対する主な傷病の患者数は6,696人。そのうち「精神および行動の障害」および「神経系の疾患」による者は9.2%の619人である。教員だけを対象とした実態調査と、限られた病院のデータをもとにしたサンプル調査による推計を単純に比較することはできないにしても、61対9の差はあまりにも大きい。


グラフ(1) 高校教員の退職理由

 また、精神性疾患を理由に休職する教員が増え続けているのも気ががりである(グラフ(2)参照)。1996年度の1,385人が翌年度には1,609人に増え、2000年度はさらに2,262人に増加、2005年度の4,178人に続き、2006年度もまた増えた。この10年、一度も減ることなく増え続けている。1996年度に比べて、10年後にあたる2006年度の精神性疾患による休職者は、実に約3.4倍にものぼっている。

 2006年10月、安倍内閣のもとで設置された教育再生会議は、翌2007年1月の第一次報告の中で「あらゆる手だてを総動員し、魅力的で尊敬できる先生を育てる」とうたい上げ、次の4つの提言を行った。

 (1)社会の多様な分野から優れた人材を積極的に大量に採用する
 (2)頑張っている教員を徹底的に支援し、頑張る教員をすべての子供の前に
 (3)不適格教員は教壇に立たせない。教員養成・採用・研修・評価・分限の一体的改革
 (4)真に意味のある教員免許更新制の導入

 同報告がいう「頑張っている教員」の中に、精神を患うまでに頑張っている教員は含まれていたのだろうか。「優れた人材の積極的採用」をいう前に、優れた人材が退職しないような職場づくりが必要という意見は出たのだろうか。



グラフ(2) 病気休職中教員の精神性疾患の内訳