Part.3

2008-05-19UP

行政の対応を探る
Vol.1 教員の事務負担軽減を提言に盛り込む

教育再生会議インタビュー
内閣官房 教育再生会議担当室 久芳全晴(くば まさはる)主査

『リメディアル教育の現場』

Part.1
リメディアル教育の背景と現状
学力不足を補うリメディアル教育が拡大

Part.2
大学の取り組みを探る

Part.2−@
専用組織(学習支援センター)を設けて学生に対応している例【明星大学】

Part.2−A
通常の授業でリメディアル教育を実施している例【関東学院大学】

Part.2−B
入学前教育(通学学習型)として実施している例【聖学院大学】

Part.2−C
入学前教育(自宅学習型)として実施している例【東京電機大学】

Part.3
リメディアル教育のこれから
新たな高大連携で基礎学力の定着を


『忙しい先生の業務効率化と円滑な学校運営』

Part.1
文部科学省「教員勤務実態調査」を読む

Part.1 vol.1
高校教員の労働時間は1日10時間強

Part.1 vol.2
自由もゆとりもない先生たち

Part.2
学校教員の負担を考える

Part.2 vol.1
「忙しい」が教員の心とからだを蝕む

Part.2 vol.2
生徒と向き合えない教育現場

Part.3
行政の対応を探る

Part.3 vol.1
教員の事務負担軽減を提言に盛り込む

Part.3 vol.2
教員の勤務負担軽減めざす事業を開始

Part.4
教職に意欲と誇りを持てる環境づくりを


『専門学校とAO入試』

Part.1
AO入試の現況と専門学校

Part.2
アドミッション・ポリシーが明確な専門学校版AO入試

Part.3
明確な基準を設けAO入試を導入

Part.4
基準づくりの議論が必要に

Part.5
専門学校版AO入試の具体例

Part.5 vol.1
独自色を生かした「AO入学制度」

Part.5 vol.2
高校から信頼されるAO入試をめざす

Part.6
高校と専門学校の連絡を密にすることが重要

Part.7
情報交換の場をつくることが必要

Part.8
AO入試のアンケートと研究会を実施


『高校における「奉仕」活動のあり方』

Part.1
東京都立高校の「奉仕」必修化への取り組み 2007年度からすべての都立高校で「奉仕」を必修化

Part.2
東京都教育委員会インタビュー
社会貢献の精神や方法を学べるように全国で初めて「奉仕」を必修化

Part.3
奉仕体験活動の先行事例を見る

Part.3 vol.1
商業高校の特色を生かし地域に貢献する「まちおこし体験活動」を計画

Part.3 vol.2
2年生全員が参加する社会体験活動で進路選択や学習の姿勢が変化

Part.3 vol.3

「奉仕」のための組織づくりを進め生徒は自主的に活動に取り組む

Part.3 vol.4
福祉や国際ボランティアなどを2週間の総合的な学習の時間に体験

Part.4
文部科学省インタビュー

奉仕体験活動の位置づけ明確化などで各学校の取り組みを支援
Part.4 vol.1

Part.4 vol.2

Part.5
日本ボランティア学習協会インタビュー

ボランティア活動の教育力を活用して新たな教育の展開を
Part.5 vol.1

Part.5 vol.2

Part.5 vol.3

 教員の勤務実態が具体的なデータとなって明らかになり、中央教育審議会や教育再生会議など、行政側から教員の勤務負担軽減が必要との提言が相次いで出された。その具体的な内容について、内閣官房教育再生会議担当室の・久芳全晴主査(取材当時※)に、報告に盛り込まれた教員の事務負担軽減の必要性や実現に向けた道筋などを中心に話を伺った。

子供と向き合う時間を増やすため
教員の事務負担軽減などが必要


――第2次報告では、教員が子どもと向き合う時間を増やすことについて触れていますが、こうした提言が出てきた背景には何があるのでしょうか。

久芳 ここ数年、新聞などで学校の教員が非常に多忙であることが報道されています。教育再生会議でも、教育委員会の方、小学校副校長の方、教員をなさっていた方などをはじめ各委員の方々が、教員が多忙であることは教育問題の一つの根っこであろうという認識を持たれておられました。

 ちょうど第2次報告のまとめに向けた議論をしているとき、文部科学省から教員勤務実態調査の結果が発表されたのですが、それを見ると、1日あたりの教員の残業時間は平均で約2時間、月にすると平均34時間の残業をしていることが明らかになりました。

 教員が多忙である状況も当然改善していかなくてはいけませんが、それとともに、頑張っている教員の処遇を充実させることも必要です。

 教員は、その職務と勤務態様の特殊性から、一般企業と違って時間外勤務手当は支給されず、給料の4%を教職調整額として一律に支給されていますが、長時間に及んでいる残業の実態に鑑みると現状に合っていません。

 ただ、処遇の充実といっても一律に考えるのではなく、提言ではメリハリのある給与体系の実現を求めています。文部科学省の教員勤務実態調査を見ても、残業時間の長い教員もいれば短い教員もいます。たとえば、教頭・副校長は最も忙しく、教諭より約1時間残業時間が長くなっています。若手の教員の残業時間も長くなっています。そういう実態を踏まえながら、第2次報告ではメリハリある給与体系にすべきとの提言がまとめられました。これについては、08年4月を目途に制度改正をしていくように提言しています。


学校の事務の共同実施や
外部委託も有効な手段


――第2次報告の提言では、教員の事務負担軽減につながるものとして、学校の事務の共同実施や外部委託なども具体的に示していますが、これはどのような経緯で出てきたのでしょうか。

久芳 委員の方々が、マネジメントという観点から、調査や事務的なことは各分野の専門の職員に任せるなどして教員が授業に集中できる体制をつくるべきではないか、という意見を会議の中で述べられました。

 議論を積み重ねていったところ、事務負担軽減の方法として、各種調査や提出書類の簡素化・軽減、複数の小・中学校の事務を共同実施する体制の整備、事務の外部委託、地域の人材の協力、教育現場のIT化を進めることなどが提言に盛り込まれました。


――教員の事務負担軽減に関連することで、第3次報告に盛り込まれたものはありますか。

久芳 第3次報告には7つの柱があります。そのうち4つめの柱である「学校の責任体制の確立」の中で、「ITの導入、事務の共同処理等により現場の無駄を廃し、事務体制の効率化を図る」などを提言しています。また、事務負担軽減とは異なりますが、5つめの柱である「現場の自主性を活かすシステムの構築」の中で、社会人等から教員を大量採用することによる学校の活性化、教員養成の抜本的な改革などについて提言しています。

文部科学省や教育委員会が
提言実現へ動き出す


――教員の事務負担軽減は、実際にはどのように進めていくのでしょう?

久芳 教育再生会議の提言を踏まえ、文部科学省や各自治体の教育委員会に取り組んでいただくことになります。

――たとえば、事務の共同化や外部委託について、教育再生会議から文部科学省の特定の部署に事業としての取り組みを申し入れているのですか。

久芳 教育再生会議は総理大臣、官房長官、文部科学大臣、有識者委員で構成されていますので、教育再生会議の報告を踏まえ、内閣として取り組んでいくことになります。すでに、文部科学省から学校に対して出される調査依頼の削減統合や、08年度予算において事務の外部化などのための予算が計上されていると聞いています。また、教育委員会レベルで取り組むべきことについては、各教育委員会でも取り組んでいくことになります。

※教育再生会議は08年2月26日付で解散し、提言のフォローアップを行う教育再生懇談会が同日付で設置されている。久芳氏は現在、教育再生懇談会担当室主査だが、本文は教育再生会議についてインタビューしたものであるため、当時の役職名を使用した。


■教育再生会議とは(別ウィンドウが開きます)