EYE's Journal

いま知りたい教育関連のテーマについて、ドリコムアイ編集部が取材・調査

14-2

シリーズ14 看護師への進路を考える ~治療と回復を助ける専門職~
Part.2 
看護学部 学部長インタビュー(1)
学部連携が可能にする新しい学び
専門性を持つ看護師を育成

城西国際大学 看護学部 看護学科
看護学部長 飯田 加奈恵 教授
※組織名称、施策、役職名などは原稿作成時のものです
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城西国際大学は8学部を有する総合大学だ。看護学部と密接な関係を持つ薬学部、福祉総合学部のほか、国際コミュニケーション能力を養う国際人文学部、最先端の観光をめざす観光学部など多彩な学部を擁している。幅広い学習領域を活かして、他学部と連携した特色ある看護教育を展開。飯田加奈恵学部長に話を伺う。

人としての幅と
深みを備えた看護師を育てたい

▲飯田 加奈恵教授(看護学部長)

生まれたばかりの赤ちゃんから年配の人まで、看護師が向き合わなければならない患者はさまざまな年代や背景を持っている。また、ともに働く看護師や医師をはじめ、多くの人たちとコミュニケーションをとりながら看護にあたっていかなければならない。そのために必要なことは、大きく2つあると飯田加奈恵教授は話す。

「1つは、人を思いやるこころ。相手を思いやるこころ、相手に寄せる深い関心が、相手の立場や状況への気づきを生み的確なサポートへとつながっていくのです。

たとえば、患者さんが動こうとしたときに、自分ひとりで動きたいと思っているのか、それとも手助けを求めているのか、そこを感じ取る感覚が看護には必要だからです。

2つめは、探求するこころ。なぜそのような事が起きるのか。どう対処すればよいのか。科学的根拠をもって看護にあたることは、日々進化する医療現場において欠かせないスキルといえます。そのためにも学生自らが“学びたい”“知りたい”と思える環境づくりを大切にしたいと考えています」

このような意味からも、学生の探究心に応えるべく同学部は、薬学部や福祉総合学部など、他学部との連携による教育に力を入れている。

薬学や福祉介護の知識、
国際性を身につけた看護師育成をめざす

これまでの医療は医師が中心だったが、現在では薬剤師や各種検査技士などと緊密に連携したチーム医療が求められている。

飯田教授は「在学中にコ・メディカル(医療従事者)との連携を経験できることが大きな特長です」と語る。

実習先とは単なる学生の受け入れ先としてではなく、連絡を密に取りながら地域の医療問題、福祉問題の解決に立ち向かうパートナーとして協力していく。また昨年末には、看護、薬、福祉総合の3学部をつなぐ教育・研究期間として「地域福祉・医療教育センター」が発足。学部を超えた教員交流や、地域の医療・福祉への貢献活動が始まっている。

「医師と複数の専門家によるチーム医療を有機的に高度化していくためには、優秀な看護師が必要になります。その期待に応える新しい看護学部であると同時に、将来的にリサーチナース(治験担当看護師)などへのキャリアアップを目指すうえでも有利な教育環境だと思います」

さらに、キャンパスでは看護学部実習棟も建設された。最新の情報通信機器が整備され、教員によるデモ・ビデオを病床のモニターで視聴しながら実学を学ぶなど、さまざまに活用していくという。

「環境も設備も大変充実していますが、やはり教員と学生のふれあいを大切にしたいですね。それによって看護の崇高な使命感と強い意志を持っていただきたいのです。

とくに大切なのは『気づける力』。指示に従うだけでなく、患者の容態変化などにいち早く気づき、自ら思考して的確な判断や行動ができる看護師になっていただきたい。3学部の連携はその意味でも大きな力になるはずです」

《Part.3 看護学部学部長インタビュー(東京女子医科大学)につづく》

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