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今回は、乳幼児から高齢者までを対象に快適な衣服づくりの研究に取り組んでいる日本女子大学家政学部被服学科の大塚美智子先生の研究室を訪ねている。
大塚先生の研究室では、花王との共同研究で、フィット性を向上させたパンツ型紙おむつを開発している。今回は、この共同研究の内容について教えていただくことにしよう。
フィット性の高い紙おむつを
花王との共同研究で開発
「花王は、以前から紙おむつを商品化していましたが、それまでの考え方を変えて新しい発想で紙おむつをつくっていきたいとのことで、2002年に担当スタッフの方が私のところに相談にこられました。スタッフの方との話し合いを通じて、いまあるおむつの延長線上ではなく理想のおむつを1からつくっていきましょう、ということで意見が一致し、共同研究をスタートさせたのです」
共同研究は、従来のおむつを検証することから始まり、大塚先生はある欠点に気がついた。
「おむつは、花王以外のメーカーも含めてですが、肌触り、保温性、汗の発散性などについてはかなりよくできていました。しかし、サイズフィット性や姿勢への配慮がほとんど欠如していたのです。そこで、サイズフィット性と姿勢への配慮は私が担当し、それ以外は花王のスタッフが担当して共同研究を進めることにしました」
大塚先生は、乳幼児の体型と動作にフィットするおむつをつくるため、体型特徴の分析に取りかかった。
「まず、従来のおむつがどのような形状をしているのか詳しく調べたのですが、赤ちゃんのお尻は本当におむつの形状の延長線上にあるのか疑問を感じ、確かめてみることが必要だと考えました。
幸い、花王では以前から社員のお子さんたちをモニターにして身体の計測をしていました。そこで、私もその場に出向いて、お子さんたちに協力していただき、身体に布を当てて立体裁断で赤ちゃんの体表面の型を取ったのです。その結果、従来のおむつは赤ちゃんの身体の形状と少し違うけれど、そんなに的はずれではないことがわかったので、従来の形状をベースにしてフィット性や姿勢への配慮を考えていくことにしました」
乳幼児の身体を詳細に計測し
データから体型特徴を分析
次のステップとして大塚先生は、乳幼児の体型特徴を明らかにするため、モニターの身体計測を始めた。計測項目は、身長、胸囲、腰囲、体重はもちろん、大腿付け根囲、腹部前側長(脇線より前側の長さ)、腹部後側長(脇線より後ろ側の長さ)、股上前後長(身体中心における前ウエストから後ろウエストまでの長さ)など23項目におよぶものだった。
「計測したのは、6か月から50か月までの赤ちゃんや幼児で、2〜3年かけて419名のデータを蓄積しました。そして、高齢者ボディを開発したときと同様に、蓄積したデータから主成分分析によって体型特徴を明らかにしていきました。
それとは別に、赤ちゃんの身体の3次元形状も計測しました。赤ちゃんに研究室の3次元計測装置を使うのはムリなので、スライディングゲージを持っていきました。これは、たくさんの細い棒が密集しているもので、身体に棒の片側を当てるとスライドして反対側に身体の形状が現れるのです。そうして、何とか赤ちゃんの身体の型を取ることができました」
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 大塚 美智子(おおつか みちこ) 1954年、福岡県生まれ。1976年、日本女子大学家政学部被服学科卒業。1980年、お茶の水女子大学大学院家政学研究科被服学専攻修了。相模女子大学短期大学部助手、学習院女子短期大学講師、日本女子大学講師、聖徳学園短期大学専任講師、聖徳大学短期大学部助教授を経て1999年、日本女子大学家政学部助教授。2004年から現職。博士(学術)。主な著書に『新版家政学事典』(朝倉書院)『衣生活の科学』(アイ・ケイコーポレーション)『繊維便覧』(丸善)などがある。
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