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「ことが」と「のが」の
用法の違いが明らかに
最近のコンピュータによる日本語研究のなかから、現代語、古典語それぞれについて代表的な成果を教えていただくことにしよう。まずは現代語から。
「現代語の研究で、わかりやすい例としては『こと』と『の』の研究があります。何々した『こと』が何々の原因になった、という言い方がありますね。こういうとき『こと』は『の』に置き換えることもできる。値段が下落した『の』が目を引いた、というように。実は、これは日本語の研究のなかで昔から問題になっているテーマの1つなのです。そこで、『こと』と『の』を中心とした日本語の従属節のつくり方について、コンピュータを使って研究してみたのです」
近藤先生は、日本経済新聞のデータを使って、この研究を進めた。1年間の記事のなかから『こと』と『の』が、とくに『が』で受けられる節(それぞれ『ことが節』『のが節』と名付けている)をコンピュータを使ってすべて抜き出したのだ。
その結果、1年間の記事の総語数約3500万語のなかで、『ことが』は2万6000件、『のが』は2万5000件あり、数としてはほぼ拮抗していることがわかった。そして、その用例を調べてみると、意外なことがわかってきた。
「ことが」は抽象的表現を受け
「のが」は具体的な表現を受ける
「これまでも『ことが』と『のが』については、いろいろな説があったのですが、実際に調べてみた人はいなかった。頭でシミュレーションして、少し差があるかなと考えるぐらいでした。私の研究は実際に調べることを眼目にしていますので、新聞記事を網羅的に調べてみたのです。
その結果、たとえば、何々させるという使役の表現は『こと』を使わないとダメだということがハッキリしてきました。具体例で見ると、国債を発行すると伝えられた『こと』が株式需給を悪化させる、といった用例がありますが、この場合は『の』ではダメなんです。
では、なぜダメなのか。それを追究していって、『こと』のほうは抽象的な内容を受け取る表現であり、『の』のほうはより具体的な内容を受け取る表現であることがわかってきました。
『の』について見ると、向こうから彼がくる『の』が見える、家を出る『の』が遅くなった、というような表現があります。この場合は『こと』だと、おかしい。『の』には物事を生き生きと描写するような力があるんですね。
こういうことは、頭のなかで考えているだけでは、ぼんやりとしかわからなかった。コンピュータを使って、実例で裏付けることで非常に明確にわかるようになったのです」
■参考資料:竹取物語のKWIC形式のデータベース
http://klab.ri.aoyama.ac.jp/data/taketori.htm
■青山学院大学 文学部日本文学科
http://www.cl.aoyama.ac.jp/japanese/
■青山学院大学
http://www.aoyama.ac.jp/
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