第6回 Part.3

2007-06-18UP

化石を通じて未来の環境変動を予測(3)


早稲田大学 教育学部地球科学教室
平野弘道研究室

第10回
ヒートアイランドや都市型強雨の実態を解明
《首都大学東京大学院 都市環境科学研究科  高橋日出男気候学研究室》
Part.1
Part.2
Part.3
Part.4

第9回
「超能力」を題材に心の不思議に迫る
《明治大学 情報コミュニケーション学部 石川幹人研究室》
Part.1

Part.2
Part.3
Part.4


第8回
食品のおいしさや健康効果を探る
《実践女子大学 生活科学部 田島眞研究室》
Part.1

Part.2
Part.3
Part.4


第7回
多様な惑星系の統一的な形成理論を追究
《東京工業大学大学院 理工学研究科 井田 茂研究室》
Part.1

Part.2
Part.3
Part.4


第6回
化石を通じて未来の環境変動を予測
《早稲田大学 教育学部地球科学教室 平野弘道研究室》
Part.1
Part.2
Part.3
Part.4


第5回
対象地域に継続的にかかわりながら人を中心に据えたまちづくりを研究
《埼玉大学 教養学部 梶島邦江研究室》
Part.1
Part.2
Part.3
Part.4


『新・研究室はオモシロイ』(全16回)
雑誌「ドリコムアイ」に掲載された記事をPDFファイルでご覧いただけます。

化石の保存状態がいい
北海道で調査を実施


 研究室として対象にしている時代は白亜紀だが、その調査対象地は北海道が中心になっている。これは、アンモナイトに関連して触れたように化石の保存状態がいいためだ。また、対象とする化石類は、大きく見ると3つに分かれている。それは、大型軟体動物化石(アンモナイト類、二枚貝のイノセラムス類など)、微化石(放散虫、有孔虫、渦鞭毛藻、花粉など)、そして炭素同位体だ。

 研究室に所属する卒論生、大学院生も基本的に、こうした化石類の研究に取り組んでいる。たとえば2007年度の場合、卒論生は5人いて、夏に2か月程度、北海道に赴いて調査を行う予定になっている。調査する地層は白亜紀のものと決まっているが、研究テーマは、アンモナイト類、イノセラムス類と炭素同位体、花粉胞子類、渦鞭毛藻類、放散虫と1人ずつ異なっている。

地質調査による地質図作成と
化石採集を同時に進める


「今年度の卒論生は全員、北海道の同じ場所で調査を行うことになっています。現地では、地質調査をして、5000分の1ぐらいの地質図をつくることが研究のベースになります。その調査をしながら、各自がターゲットにしている化石の採集も行います。大型化石の人は、岩石を割って化石の有無を確かめ、あったら持って帰ります。微化石の人は、その場では有無がわからないので、とにかく岩石を持って帰ります。

 化石そのものの調査は現地ではできないので、秋になってから研究室で行うことになります。たとえば、アンモナイトだったら、小さなタガとハンマーで岩石を削り、形がある程度見えてきたら、小型の削岩機を使ってアンモナイトの周りに石がついていない状態にします。そうすると、種のレベルでの同定、つまりどの種類のアンモナイトかを決めることができます。それから、作成した地質図と照合して、対象地域ではどういう種類が多かったかを明らかにしていきます。

 微化石の場合は、肉眼では見えませんから、細かく粉砕したのちに薬品処理をしたり遠心分離器にかけたりして、化石を取り出します。それを顕微鏡や電子顕微鏡で見て、1つずつ種類を決めていきます。そして、地質図と関連づけながら結果をまとめていきます」

 卒論生の研究は、そこまで進めるので精一杯だという。とはいえ、種を特定できると、産出した地層の時代をほぼ決めることができる。明治以降の膨大な調査の積み重ねによって、どの種がどの時代に存在していたかを照合できるようになっているからだ。また逆に、こうした研究が時代区分の精度をさらに上げることにもつながっていく。

 そして、大学院生になると、アンモナイトを水平方向(巻きながら成長した方向)にスライスして内部の様子を観察するなど、より詳細な研究に取り組むことになる。


■早稲田大学
http://www.waseda.jp/top/index-j.html