第7回 Part.2

2007-10-29UP

多様な惑星系の統一的な形成理論を追究(2)


東京工業大学大学院 理工学研究科
井田 茂研究室

第10回
ヒートアイランドや都市型強雨の実態を解明
《首都大学東京大学院 都市環境科学研究科  高橋日出男気候学研究室》
Part.1
Part.2
Part.3
Part.4

第9回
「超能力」を題材に心の不思議に迫る
《明治大学 情報コミュニケーション学部 石川幹人研究室》
Part.1

Part.2
Part.3
Part.4


第8回
食品のおいしさや健康効果を探る
《実践女子大学 生活科学部 田島眞研究室》
Part.1

Part.2
Part.3
Part.4


第7回
多様な惑星系の統一的な形成理論を追究
《東京工業大学大学院 理工学研究科 井田 茂研究室》
Part.1

Part.2
Part.3
Part.4


第6回
化石を通じて未来の環境変動を予測
《早稲田大学 教育学部地球科学教室 平野弘道研究室》
Part.1
Part.2
Part.3
Part.4


第5回
対象地域に継続的にかかわりながら人を中心に据えたまちづくりを研究
《埼玉大学 教養学部 梶島邦江研究室》
Part.1
Part.2
Part.3
Part.4


『新・研究室はオモシロイ』(全16回)
雑誌「ドリコムアイ」に掲載された記事をPDFファイルでご覧いただけます。

 前回は1995年に初めて太陽系以外の惑星(系外惑星)がみつかり、その後も次々に系外惑星が発見され、しかも、それらの姿は多種多様で、太陽系形成標準モデルを適用するだけでは説明がつかないというところまで話した。

 では、太陽系形成標準モデルでは、どのようにして太陽系が形成されたと考えられているのだろうか。

ダストが固まって微惑星になり
微惑星が衝突合体して惑星に


 太陽系の形成標準モデルについて井田先生に説明していただいた内容をまとめると、次のようなシナリオになる。

 いまから46億年前、銀河を漂う星間雲(ガスや塵など)の密度の高い部分(分子雲コア)が、自分たちの重力で収縮し、中心に原始太陽が形成される。同時に、原始太陽を取り巻く円盤が形成される。分子雲コアは、最初はゆっくり回転しているが、収縮するにつれて回転が速まり、遠心力が効いて平たい円盤状になる。


▲東京工業大学大学院 理工学研究科 井田茂教授

 この円盤は、98〜99%が水素とヘリウムのガスで、ごく一部が固体成分の塵(ダスト)でできている。そのダストが少しずつ固まって1キロメートルから10キロメートルぐらいの微惑星が生まれ、微惑星同士がお互いの重力で衝突合体を繰り返し、固体の原始惑星がかたちづくられる。

 円盤の外側のほうでは、太陽重力の影響が弱まるため微惑星をより多く集められることや、固体材料として氷が増えることによって、より大きな原始惑星がゆっくりとできる。その原始惑星は自身の重力でガスを引き付け、巨大ガス惑星(木星、土星)ができる。

 さらに、その外側では、原始惑星の成長に時間がかかったためにガスが消失して、ガスをまとうことのできない巨大氷惑星(天王星、冥王星)ができる



▲太陽系形成標準モデル

ダストが太陽に落ちないで
微惑星になれるかを検証


 太陽系形成標準モデルの概略は上記のようなものだが、この理論には未解決の問題もいくつか残されていて、井田先生の研究室では、その問題の解明に取り組んできた。なかでも重大なテーマとして、「ダスト落下問題、微惑星形成問題」と「惑星落下問題」があるという。そこで、まず「ダスト落下問題、微惑星形成問題」のポイントを教えていただくことにした。

「ダストから微惑星がつくられるといいましたが、本当にダストがくっついてキロメートルサイズの微惑星になれるのか、という疑問があります。

 というのは、小さなダストはガスと一緒に太陽の周りを回り、微惑星になるとガスと関係なく回るようになります。しかし、ダストがメートルサイズの塊の状態では、ガスとの摩擦で回転する勢いを失って、次々に太陽に落ちていってしまう。そうなると微惑星はできず、惑星もできません」

 これについて標準モデルでは、ダストはメートルサイズを一気に飛び越して(実際には1〜10年程度かかるが、太陽系形成過程のなかでは一瞬の出来事)キロメートルサイズの微惑星が無数にできるという考え方が提示されている。

 ただ、この説には異論もある。観測によって、円盤のなかは乱流状態で、渦巻いているようなところがあることがわかっている。そういう状態で、ダストが集まって固まることができるのか、という指摘だ。この疑問について、井田先生は次のように考えている。

「渦巻いているからダストが集まれない、という単純なものではないと思います。渦巻いているような円盤には、どこかに淀みがあるのではないか。空間的にまだら模様になっていて、ダストが集まってくるような場所があり、そこで微惑星ができるのではないかと考えています。

 しかし、現時点では望遠鏡の分解能の限界があり、そうした理論を裏づけるデータを得ることができません。いま、日米欧が共同で、チリのアタカマ高地に電波望遠鏡群を建設していて、それが完成すれば詳細な観測が可能になるので、ダスト落下問題、微惑星形成問題も大きく進展することが期待できます」




【用語解説】
『ウィキペディア 日本語版』2007年10月19日(金)掲載の最新版から引用(http://ja.wikipedia.org/

惑星系(わくせいけい):恒星を中心として、その周りを公転する惑星などの天体の集まりのこと。地球が属する太陽系は惑星系の1つ。近年、太陽近傍の恒星に、その周りを公転する惑星があることが発見され始め、その数は200を超えている。

太陽系(たいようけい):銀河系に多数存在する惑星系の一つ。太陽および太陽の周囲を公転する天体と微粒子、さらに太陽活動が環境を決定する主要因となる空間から構成される領域をいう。

恒星(こうせい):主に水素、ヘリウムの核融合エネルギーにより自ら輝く天体。恒星内では、核融合による光子などの放射と熱膨張による拡張する力と、原子同士の引力の収縮力がバランスをとっている。このバランスが崩れると、恒星は不安定期を迎え、天体としての寿命を終える。晩年はその質量によって異なる運命をたどる。太陽も恒星の1つ。

惑星(わくせい):太陽など恒星の周りを回る天体のうち、褐色矮星の理論的下限質量(木星質量の十数倍)程度よりも低質量のもの。地球、木星、天王星など。


《つづく》
(次回は「私たちが住んでいる地球は何世代目かのもの」です)



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■井田研究室
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