天文学史上に残る出来事だった
系外惑星の発見
太陽系形成理論を再検証するきっかけともなった、系外惑星の発見。それは、天文学史上の大事件だった。井田先生の話をもとに経緯を簡単にまとめると次のようになる。
1940年代頃から、ほかの恒星での惑星探し「プラネット・ハンティング」が始まった。系外惑星発見、という発表は何度かあったが、それらは結果的に否定された。そして、半世紀を経た1995年8月、当時の最高技術を持っていたカナダの観測チームが「ほかの恒星には惑星はない」と結論する論文を発表した。
銀河系には、環境の異なる中心部を除いても数百億個以上の恒星があるのに、惑星があるのは太陽系だけなのか、地球は孤独な存在なのか。
ところが、すぐに事態は一変する。同年10月、スイスのチームがペガサス座51番星に惑星を発見した、と発表したのだ。それは、ほかのチームも観測に成功し、さらに数々の検証を経て惑星であることが確認された。そして、その後の1年間で約10個の惑星が発見され、2002年には発見された惑星は100個に達した。
異形の惑星の多様性を明らかにし
統一的な惑星系形成理論を考察
系外惑星の発見自体が衝撃的な出来事だったが、驚くべきことは惑星の存在だけではなかった。発見された系外惑星の多くは、太陽系の姿からは想像するのも難しい「異形の惑星」だったのだ。
たとえば、恒星の表面をかすめるような至近距離を数日で高速回転する灼熱巨大惑星「ホット・ジュピター」や、彗星のように中心星からの距離を大きく変えて灼熱から酷寒までの四季変化を繰り返しながら周回する楕円軌道巨大惑星「エキセントリック・プラネット」などがある。
井田先生は、こうした系外惑星系の研究に取り組んでいる。では、具体的には何に着目し、どのような方向で研究を進めていこうとしているのだろうか?
「まず、系外惑星系の多様性を知るということが非常に重要です。どんな変わった惑星系があり、それはどのくらいの確率で存在するのかを観測をもとにして探る。それがわかったら、なぜ、そんな惑星系ができたのかという個別の形成モデルを考える。そういうことを繰り返して、さまざまな惑星系に適用できる一般的な惑星系形成モデルを構築したい、というのが1つの方向です。
もう1つの方向は、地球のような生命居住可能惑星について考えていくことです。そうした惑星はどのくらいの確率で存在するのか、そこに海はできるのか、どのような大気ができるのか、そのような惑星を観測するにはどうしたらいいのか、といったことを探っていきたいと思っています。
どちらの方向にしても、系外惑星系については学内の観測グループと密接に連携しながら研究を進めています。観測計画を立てるときにも意見を述べたり、観測の結果、出てきたデータについて議論して論文を書いたりしています」
【用語解説】『ウィキペディア 日本語版』2007年10月19日(金)掲載の最新版から引用(http://ja.wikipedia.org/)
惑星系(わくせいけい):恒星を中心として、その周りを公転する惑星などの天体の集まりのこと。地球が属する太陽系は惑星系の1つ。近年、太陽近傍の恒星に、その周りを公転する惑星があることが発見され始め、その数は200を超えている。
太陽系(たいようけい):銀河系に多数存在する惑星系の一つ。太陽および太陽の周囲を公転する天体と微粒子、さらに太陽活動が環境を決定する主要因となる空間から構成される領域をいう。
恒星(こうせい):主に水素、ヘリウムの核融合エネルギーにより自ら輝く天体。恒星内では、核融合による光子などの放射と熱膨張による拡張する力と、原子同士の引力の収縮力がバランスをとっている。このバランスが崩れると、恒星は不安定期を迎え、天体としての寿命を終える。晩年はその質量によって異なる運命をたどる。太陽も恒星の1つ。
惑星(わくせい):太陽など恒星の周りを回る天体のうち、褐色矮星の理論的下限質量(木星質量の十数倍)程度よりも低質量のもの。地球、木星、天王星など。
《つづく》
(次回は「月の形成について」です)
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