第6回 Part.3

化石を通じて未来の環境変動を予測(3)


早稲田大学 教育学部地球科学教室
平野 弘道 研究室
※部署名、役職名、研究内容などは取材当時のものです
更新::2007/06/18

化石の保存状態がいい
北海道で調査を実施

研究室として対象にしている時代は白亜紀だが、その調査対象地は北海道が中心になっている。これは、アンモナイトに関連して触れたように化石の保存状態がいいためだ。また、対象とする化石類は、大きく見ると3つに分かれている。それは、大型軟体動物化石(アンモナイト類、二枚貝のイノセラムス類など)、微化石(放散虫、有孔虫、渦鞭毛藻、花粉など)、そして炭素同位体だ。

研究室に所属する卒論生、大学院生も基本的に、こうした化石類の研究に取り組んでいる。たとえば2007年度の場合、卒論生は5人いて、夏に2か月程度、北海道に赴いて調査を行う予定になっている。調査する地層は白亜紀のものと決まっているが、研究テーマは、アンモナイト類、イノセラムス類と炭素同位体、花粉胞子類、渦鞭毛藻類、放散虫と1人ずつ異なっている。

地質調査による地質図作成と化石採集を同時に進める

「今年度の卒論生は全員、北海道の同じ場所で調査を行うことになっています。現地では、地質調査をして、5,000分の1ぐらいの地質図をつくることが研究のベースになります。その調査をしながら、各自がターゲットにしている化石の採集も行います。大型化石の人は、岩石を割って化石の有無を確かめ、あったら持って帰ります。微化石の人は、その場では有無がわからないので、とにかく岩石を持って帰ります。

化石そのものの調査は現地ではできないので、秋になってから研究室で行うことになります。たとえば、アンモナイトだったら、小さなタガとハンマーで岩石を削り、形がある程度見えてきたら、小型の削岩機を使ってアンモナイトの周りに石がついていない状態にします。そうすると、種のレベルでの同定、つまりどの種類のアンモナイトかを決めることができます。

それから、作成した地質図と照合して、対象地域ではどういう種類が多かったかを明らかにしていきます。

微化石の場合は、肉眼では見えませんから、細かく粉砕したのちに薬品処理をしたり遠心分離器にかけたりして、化石を取り出します。それを顕微鏡や電子顕微鏡で見て、1つずつ種類を決めていきます。そして、地質図と関連づけながら結果をまとめていきます」

卒論生の研究は、そこまで進めるので精一杯だという。とはいえ、種を特定できると、産出した地層の時代をほぼ決めることができる。明治以降の膨大な調査の積み重ねによって、どの種がどの時代に存在していたかを照合できるようになっているからだ。また逆に、こうした研究が時代区分の精度をさらに上げることにもつながっていく。

そして、大学院生になると、アンモナイトを水平方向(巻きながら成長した方向)にスライスして内部の様子を観察するなど、より詳細な研究に取り組むことになる。

《つづく》

●次回は最終回「中国での地層調査と今後の展望ついて」です。

▲平野 弘道 教授

 

Lineup

第15回
工学院大学
工学部電気システム工学科

第14回
日本女子大学
家政学部被服学科

第13回
慶應義塾大学 経済学部

第12回
成蹊大学
理工学部情報科学科

第11回
早稲田大学
スポーツ科学学術院

第10回
首都大学東京大学院
都市環境科学研究科

第9回
明治大学
情報コミュニケーション学部

第8回
実践女子大学 生活科学部

第7回
東京工業大学大学院
理工学研究科

第6回
早稲田大学
教育学部地球科学教室

第5回
埼玉大学 教養学部

第4回
東京農工大学大学院
工学教育府応用化学専攻

第3回
青山学院大学
文学部日本文学科

第2回
東京理科大学
薬学部生命創薬科学科

第1回
東京大学大学院
情報理工学系研究科