第5回 東京の専門学校(4) vol.2

2007-04-09UP

グラフィック・メディア専門科
(後編)


学校法人 日本プリンティングアカデミー
(東京都文京区)

第12回 東京の専門学校(11)
鉄道交通ビジネスコース
vol.1 前編

第11回 東京の専門学校(10)
製菓・カフェ経営科
vol.1 前編
vol.2 後編

第10回 東京の専門学校(9)
薬業科
vol.1 前編
vol.2 後編

第9回 東京の専門学校(8)
1級自動車エンジニア科
vol.1 前編
vol.2 後編

第8回 東京の専門学校(7)
写真科
vol.1 前編
vol.2 後編

第7回 東京の専門学校(6)
バイオリン製作科
vol.1 前編

vol.2 後編

第6回 東京の専門学校(5)
声優・アナウンス専門課程
vol.1 前編

vol.2 中編
vol.3 後編

第5回 東京の専門学校(4)
グラフィック・メディア専門科
vol.1 前編

vol.2 後編

第4回 東京の専門学校(3)
眼鏡学科
vol.1 前編

vol.2 後編

第3回 東京の専門学校(2)
サッカーエキスパート学科

vol.1 前編
vol.2 後編

第2回 東京の専門学校(1)
ショップビジネス学科
vol.1 前編

vol.2 後編

第1回 プロローグ
東京の専門学校


『キーワードで探る専門学校のカリキュラム』(全20回)
雑誌「ドリコムアイ」に掲載された記事をPDFファイルでご覧いただけます。

従来のインターンシップと一線を画す
学校付属工場での「実践体験」


――実践体験とはインターンシップのことですか。

 就業体験という意味ではインターンシップに違いありませんが、企業に学生を出向して行われるタイプのインターンシップではありません。JPAは、学内に印刷会社と遜色ない設備をすべて備えています。いわば医学部の付属病院のように付属工場があるわけです。その設備を使って行うのが、JPAの実践体験です。

 たとえば全国の印刷業界で活躍する卒業生から、さまざまな印刷業務の依頼があります。その依頼を受けて、印刷機器を使ったオペレーティング業務はもちろん、印刷物として納品するまでのやり取りや、企画立案、デザインワーク、得意先との打ち合わせ、そして見積もりや請求など、一連の流れのすべてを経験するわけです。


 あるいは、JPAの所在地である文京区の情報を集めた「WAVE文京」というオールカラーのタウン誌を発行しています。このタウン誌の企画はもちろん学生が担当します。また、地元のショップへの広告営業や集金、取材や記事作成なども学生が行います。

 つまり、印刷会社やその関連会社の仕事と何ら変わらない第一線の業務がすべて体験できるわけです。私たちは実践体験を「仕事」と呼んでいます。

――いわば会社の機能を備えた学校ということですね。

 そう考えていただいていいと思います。知識だけでは本当に理解できたといえないのが仕事です。印刷会社とひと口にいっても、そこでは、印刷のオペレーティング業務ばかりでなく、マーケティングや営業、さらにはそれらをトータルした経営が行われているのです。その連携や協働のあり方は、企業出向による短期間の就業体験で理解できるものではありません。

 教室での修学や現場見学で身につけた知識や技術が、仕事のなかで体得できるカリキュラム、それがJPAの大きな特徴です。こういった体験が、将来の経営者として欠かせない課題発見や問題解決能力の育成に結びつくのだと考えています。

 JPAは、単に印刷オペレーティングを習得するための学校ではありません。印刷業界が求める技術はもちろん、経営力やマーケティング力、それに思考力などの実践能力を開発する「印刷メディアに関するビジネス道場」といった方がふさわしいかもしれませんね。

――大卒者や社会人経験者向けのコースもあるのですね。

 2年制のグラフィック・メディア特進科のことですね。2年間で専門科と同等の能力が得られる特別なコースです。また、JPAならではの設備や開発力の業界還元を目的にした、新入社員研修支援コースなども設けています。

――資格取得には対応していますか。

 印刷業界からのニーズが高い、カラーコディネータ検定、情報処理検定、ビジネスマナー検定、DTPエキスパートなどの資格が、在学中に取得可能です。


▲タウン誌「WAVE文京」
(クリックで拡大します)

■ Reporter's note 

 本や雑誌、新聞やチラシは、見た目に変わらなくても、製品になるまでの工程は大きく変わりました。印刷技術が飛躍的に進化したからです。

 かつて主流だった活版印刷では、手書きの原稿と、文字の大きさや書体、位置などを含む全体構成を指定したレイアウト用紙を頼りに、文選工といわれる職人が、ひと文字ひと文字選んで並べた版をもとに印刷していました。

 その発明時期は諸説あって定かではありませんが、羅針盤、火薬とともにルネサンスの3大発明に数えられることはよく知られています。その後写真組版(写植)が開発され、オフセット印刷が台頭しますが、活版に取って代わるまでに普及したのは20世紀も後半のことです。

 そして21世紀、印刷革命といわれた写植を凌駕する技術が生まれ、瞬く間に普及しました。デスクトップ・パブリッシング(DTP)です。かつて文選工や写植オペレーターに委ねられていた職人的な技術は、いまではコンピュータが担います。代わって、人にはよりグラフィカルなテクニックやセンス、そして最新技術に適応し、開発する力が求められるようになりました。

 今回訪ねた日本プリンティングアカデミー(JPA)は、印刷会社とともに、こういった技術の変遷を受け止めて今日を迎えた専門学校です。グラフィック・メディアを冠した学科名は、デジタル化を進める印刷業界と一緒に歩を進めてきた証といえるでしょう。

 さまざまな用途に使えるパソコンと違って、印刷機器はとても特殊です。その仕組みや操作法を知り、システムや用途に精通するには、実際に触れて体験する以外に方法はありません。また、出版社や雑誌社に限らず、企業や学校、さらには一般家庭とも取り引きをする印刷会社の営業、そして経営の現場で即戦力となるには、オーソドックスなビジネススキルだけでは不足です。将来像をピンポイントにまで絞り込んだJPAは、まさに専門学校の中の専門学校、そんな感じのする学校でした。


■学校法人 日本プリンティングアカデミー
http://www.jpa.ac.jp/