東京の専門学校

都心の専門学校ならではの、特色ある学科やコースを取材

9-1

第9回 vol.1
1級自動車エンジニア科〔4年制〕
(前編)

東京工科自動車大学校
(東京都世田谷区)
※組織名称、施策、役職名などは原稿作成時のものです
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全国から入学者を集める東京の専門学校にスポットをあて、教職員インタビューを通じてそのカキュラムに迫ります。
2001年からはじまった1級自動車整備士の資格試験は超難関で知られます。専門学校では、その養成をにらんだ4年制の学科が目につくようになってきました。2008年度新設の1級自動車エンジニア科もそのひとつ。東京工科自動車大学校を訪ね、佐藤康夫校長に話を伺いました。

メーカー開発部門のニーズをヒアリングして
1級整備士養成に通じるカリキュラムを開発

▲佐藤 康夫校長

――2008年度の新設。難関といわれる1級自動車整備士の養成に乗り出すわけですね。

1級自動車整備士については、これまでも、2年制の自動車整備科から内部進学できる2年制のコースがありましたから、新たに養成するというわけではありません。

2008年度に新しく開設した4年制の1級自動車エンジニア科では、単に整備技能の高度化を図るのではなく、むしろ自動車メーカーの設計や開発部門をにらんだカリキュラム編成をしています。1級整備士の資格はその延長線上にあると考えてもらった方がいいのではないでしょうか。

カリキュラムを編成するにあたっては、2006年度に文部科学省の委託を受けてまとめた「自動車の専門的知識技術を基盤とした実験・開発技術者育成のための4年制カリキュラム開発」をベースにしました。自動車メーカーに従事する開発・採用・技術教育の担当者などを、ヒアリング調査してつくり上げたカリキュラムです。

ヒアリングの過程で、設計・開発部門では、工学的基礎知識を重視しているといった、人材ニーズにまつわるいくつかのポイントが浮かび上がってきました。

専門学校の自動車整備科の出身者は、自動車の構造についての知識は十分に持っています。また、大学の工学部出身者にはない、分解・調整したり組み立てたりといった技能も身につけています。けれど、2年間という短い修学期間内に、技能の修得を優先したカリキュラムを編成する必要があるため、対象を特定しない知識はできるだけ削り落とさざるを得ないというのも事実です。

対して大卒者には、たとえば材料力学や流体力学などの基礎知識は備わっています。しかしその一方で、そういった知識を必要とする技術開発現場との接点は薄いということもわかりました。工学部では、必ずしも自動車技術への応用を見込んで知識を修得するわけではありませんからね。

大卒者と専門学校卒者が就職で競合してこなかったのはそのためです。

大卒者はメーカーに採用されることはあっても、資格や技能がないので、整備等の現場に立つことはできません。

――4年制にしたことで、大卒者並みの知識の修得も可能になると……。

そうですね。しかも、対象はあくまで自動車ですから、たとえばボディーに使われている材質はこうで、その強度をこうだといったように、設計や開発の現場に直結する専門知識を具体的に学ぶことができるようになります。

これは学ぶ者にとっても大きなメリットなのではないでしょうか。ここに入学してくるのは自動車好きの学生ばかりです。どのプログラムも常に自動車をイメージしながら学ぶわけですから、興味や関心を失うことがありません。

《つづく》

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