東京の専門学校

都心の専門学校ならではの、特色ある学科やコースを取材

17-1

第17回 vol.1
スポーツ栄養コース〔栄養士科〕
(前編)

東京健康科学専門学校
(東京都品川区)
※組織名称、施策、役職名などは原稿作成時のものです
公開:
 更新:

全国から入学者を集める東京の専門学校にスポットをあて、教職員インタビューを通じてそのカキュラムに迫ります。
日本中が栄養失調だらけだった戦後間もないころ、栄養状態の改善を目的にした栄養士法が制定され、新しい資格職が生まれました。そして時はすぎ、飽食、グルメの時代。栄養士の当初の使命はすでに達成され、いまでは健康生活を支えるエキスパートとしての期待が寄せられます。しかし、健康の3大要素は栄養、運動、休養。食にアプローチするだけでは、健康生活を語ことはできません。運動系の専門学校として知られる東京健康科学専門学校(東京・品川区)が栄養士科を擁し、その中にはスポーツ栄養コースがあると聞いて、同校の永井猛 本部長と専任講師の白砂智恵美先生を訪ねました。

▲栄養士科 永井猛 本部長(写真右)、白砂智恵美 先生

――トップアスリートには、食事を管理する専属の栄養士がいる場合があります。スポーツ栄養コースは、そういった栄養士を養成するコースですか。

白砂  もちろん、それを将来の目標に学んでいる学生もいます。けれど、スポーツ栄養士は、学校を卒業してすぐになれるような職業ではありません。栄養士としての実績を積み、スポーツ界で認められる必要があります。

スポーツ栄養コースは、厚生労働省指定の栄養士養成施設であると同時に、健康・体力づくり事業財団から健康運動実践指導者の養成校としても認められた学校ならではのコースです。栄養士養成に加えて、健康運動実践指導者の資格取得をにらんだカリキュラムを編成しているので、その分進路の間口が広いのは確か。スポーツ栄養士の分野で活躍する栄養士になる足がかりとしても有効だと思います。

――健康運動実践指導者とはどういった資格ですか。

永井  健康的な生活習慣の確立をめざして、1988年に厚生労働省が策定した「アクティブ80ヘルスプラン」の一環でスタートした資格です。アクティブ80とは、80歳になっても社会参加できる元気なからだを保つといったような意味で、そんな健康社会の実現に向けて「自ら見本を示せる実技能力」をもち、特に「集団に対する運動指導技術に長けた者」を認定して、健康運動実践指導者の称号が与えられます。

フィットネスクラブやアスチックジム、エアロビック教室などのインストラクターやトレーナーなどに普及した資格です。

――栄養士と同じように、卒業と同時に与えられる資格ですか。

永井  認定試験に合格する必要があります。その試験は養成校の修了者、または財団が行う講習会に参加して、規定の33単位を修得した者のみが受験できます。また、講習会の受講にも制限があって、体育系大学・専修学校の修了者、3年以上運動指導に従事した者、インストラクターやトレーナーといった運動指導の有資格者、あるいは医療や教育の資格取得者でなければ受講できませんが、東京健康科学専門学校は養成校なので、受講しなくても認定試験が受けられます。

試験は筆記と実技です。筆記で試される知識の中には一部栄養学や生理学といった栄養士養成のカリキュラムに共通する科目も含まれますが、ほとんどは運動にまつわる科目で、体力測定と評価、運動指導の心理学、健康づくりと運動プログラム、ケガの予防や救急処置といった内容で構成されます。

また、実技試験では、試験官を前に指導者役となって、自分で作成した指導案にしたがった運動指導を実演しなければなりません。指導メニューは水泳、有酸素運動、ウォーキングのいずれか。3種のどれになるかは当日までわからないので、すべての準備をしておく必要があります。

――栄養士養成プログラムに加えて、運動指導者もとなると、カリキュラムはハードですね。

白砂  確かに、他の栄養士養成校に比べればずいぶんハードだと思います。栄養学の幅広い知識を身につけ、学内外の実習もこなしながら、運動も学ぶわけですからね。

運動に関する科目としては、「ストレッチング理論と実際」、「スポーツ医学」、「体操」、「スポーツ心理学」、「救急処置法」、「健康運動実践演習」、「テーピング基礎演習」、「水泳・水中運動」、「エアロビックダンス」、「フィットネス実習」、「スポーツ栄養学」などをカリキュラムに組み込んでいます。

――運動好きであることが条件…?

白砂  条件というわけではありませんが、運動嫌いではクリアできないカリキュラムでしょうね。もっとも、そんな学生はいませんが……。

学内のスイミングプールやエアロビックススタジオなどを使った授業もありますが、それは指導者としての技能の獲得が目的ですから、運動種目の得手不得手とか、経験の有無はまったく問題ではありません。

《つづく》

新着記事 New Articles