ドリコムアイ.net…高校生の進路と教育を考えるWebマガジン

キャリア教育実践レポート

2007-02-13UP

「かながわキャリア教育実践推進プラン」
Part.1 神奈川県立横浜桜陽高等学校の実践例 vol.1

インタビュー
神奈川県立横浜桜陽高等学校
時乗洋昭
(ときのり ひろあき) 教頭

●キャリア教育実践レポート「愛知県のキャリア教育推進校」

Part.1 愛知県教育委員会と県立一色高等学校の実践レポート
vol.1 愛知県教育委員会

vol.2 愛知県立一色高等学校


●キャリア教育実践レポート「宮城県のキャリア教育推進校」

Part.1 宮城県泉館山高等学校の実践レポート
vol.1
vol.2


●キャリア教育実践レポート「東京都のキャリア教育推進校」

Part.1 東京都立本所高等学校の実践レポート
vol.1
vol.2


●キャリア教育実践レポート「専門高校の日本版デュアルシステム推進」

Part.1 茨城県立日立工業高等学校の実践レポート
vol.1

vol.2


●キャリア教育実践レポート「栃木県のキャリア教育研究開発推進」

Part.1 栃木県立栃木商業高等学校の実践レポート
vol.1
vol.2


●キャリア教育実践レポート「千葉県のキャリア教育研究開発推進」

Part.1 千葉県立浦安高等学校の実践レポート
vol.1
vol.2


●キャリア教育実践レポート「静岡県のキャリア教育研究開発推進」

Part.1 静岡県教育委員会高校教育課に聞く
vol.1
vol.2

Part.2 静岡県立静岡農業高等学校の実践レポート
vol.1
vol.2


キャリア教育実践レポート「かながわキャリア教育実践推進プラン」

Part.1 神奈川県の取り組み紹介
vol.1
vol.2

Part.2 神奈川県立横浜桜陽高等学校の実践例
vol.1

vol.2


Part.3 神奈川県立光陵高等学校の実践例
vol.1

vol.2


●キャリア教育実践レポート「産業社会と人間」

Part.1 晴海総合高校の「産業社会と人間」実践例
vol.1
vol.2
vol.3

Part.2 筑波大学附属坂戸高等学校の「産業社会と人間」実践例
vol.1
vol.2

Part.3 神奈川県立大師高等学校の「産業社会と人間」実践例
vol.1

vol.2
vol.3


●現在の高等学校におけるキャリア教育の実態

Part.1 文部科学省がキャリア教育を推進する背景


Part.2 全国高等学校進路指導協議会事務局長 千葉吉裕氏に聞く
vol.1 前編
vol.2 後編

 横浜桜陽高校は、2003年4月に日本初のフレキシブルスクール(単位制・全日制・普通科)として開設された新しい学校である。この学校の生徒は、1年次から自分の興味・関心や進路希望に基づいて自由に学習計画を立て、自分が作った時間割で学ぶことができ、3年間で必要な単位数を修得することで卒業が認められる。

 この横浜桜陽高校が神奈川県教育委員会から「キャリア教育実践推進モデル校」に指定されたのは2年前。現在は、高校3年間を見通した計画的なキャリア教育カリキュラムを研究実践している。

 今回は、この横浜桜陽高校で創立2年目から携わってきた時乗洋昭(ときのり ひろあき)教頭にお話を伺った。

90分単位の授業で
生徒が主体的に参加

 本校は、今から4年前に新しいタイプの学校としてスタートしました。本校のような「単位制」の学校で学ぶ生徒には、普通の高校以上に主体的に学びたいという気持ちを持つことが求められます。

 なぜなら、必履修科目と本校独自の科目、合わせて120を超える多彩な科目の中から自分で履修科目を選んで時間割を作成しなければならないのはもちろん、通常なら教室に座ってさえいれば、次々にいろいろな先生が来て行ってくれる授業も、本校では自分がその教室に出かけていくというところからアクションを起こさなければいけません。

 つまり、やる気がある生徒にとっては、興味のある分野を積極的に学ぶことができる素晴らしい環境である半面、自らの目的を見つけられない生徒にとっては“学びたいことを好きなだけ学べる”という本校の良さを生かさないまま、3年間を終えてしまう可能性があるといえるわけです。

 こうした特長を考えた結果、本校では創立当時からすべての授業を90分授業に設定し、50分授業ではできなかった、生徒が主体的に参加する授業を目指しました。先生方は90分をうまく工夫し、デザインして、先生が教える部分、生徒が考える部分、それを元にして発表する部分がもれなくあるような授業を行っていくことにしたのです。

 また、評価についても、単にテストの結果だけで生徒を評価するのではなく、興味・関心などいろいろな観点から見て評価していこうという取り組みを行ってきました。今年度からはそれをさらに制度化して、まず学習指導要領にある科目だけを「観点別評価」にしましたが、それ以外の学校設定科目についても来年度からこの評価方法を取り入れる予定です。

月1回の研究会を実施し、
研究授業の発表を行う

 こうした一連の取り組みを以前から行っていたため、2005年4月に神奈川県が「かながわキャリア教育実践推進プラン」を策定し、本校が「キャリア教育実践推進モデル校」に指定された時も、それによって今までと違う新しい取り組みを行っていくという動きは必要ありませんでした。本校が90分授業や観点別評価などでやってきたこと、やろうとしてきたことは、そのまま県が推進するキャリア教育の基本的な考え方に沿うものだからです。

 本校では、90分授業をより充実させるために、年度始めに教科ごとの研究テーマを決めて、それに沿った内容で90分授業を作り上げていくための研究会を月に1回程度行っています。そして11月中旬に、そこまでの半年で作り上げてきた授業を研究授業という形で発表し、教員だけでなく場合によっては県の教育委員会高校教育課の主事に来てもらうなどしてアドバイスしていただいております。それが本校のキャリア教育を推進することになると考えています。

図1 神奈川県立横浜桜陽高等学校「未来を形にする3つのキーワード」


「総合的な学習の時間」の中で
様々な活動を実施

 本校では「総合的な学習の時間」の中で、自分を知り、社会を知るための様々な活動をおこなっています。1年生は「自分を知る」というテーマで自己分析を行い、そこから自分にどんな職業が向いているのかを考えます。

 さらに世の中にはどんな仕事や資格があるのか、そしてその仕事に就いたり、資格を取るにはどうすればよいかを調べたりします。大学生が自分の将来への考えを聞かせてくれる“カタリバ”という団体に来てもらったり、各方面で活躍している社会人に来校してもらったりして話を聞く「その道のプロに聞く」といったことも実施しています。

 2年生は「研修旅行」を実施します。各々が、屋久島、四国、北海道、沖縄、上海の中から1か所を選び、その目的地がどのようなところで、何を見て、何を調べてくるのかを考えてから旅行に行きます。調べるテーマは目的地によってだいたい決まっていて、たとえば沖縄では平和学習、北海道は炭坑や環境問題などを調べることが多いです。そして旅行から帰ってきた後は、現地で学んだことをまとめて、みんなの前で発表します。この「研修旅行」関連の活動は約半年間にわたって実施しています。

 3年生は、前半は希望進路別に分かれて、自分の卒業後の進路に直結したことを調べます。たとえば4年制大学で文系、経済学を学びたいとしたら、それぞれの大学でカリキュラムや取得できる資格、就職率などがどう違うかを調べるなど、進路を実現させるための活動を行います。


■神奈川県立横浜桜陽高等学校
http://www.y-oyo-h.pen-kanagawa.ed.jp/