連載にあたって


工藤 啓
更新:2006/04/10

ここ数年、何かと若者がクローズアップされるようになりました。若者についての書籍もたくさん出版されています。社会全体が若者を理解しようと躍起になっているようにすら見えます。しかし、若者は若者であって、いつの時代にも大人には理解できない存在であるように思うのです。「最近の若者は・・・」とひとまとめに括るのは少々乱暴かと思いますが、たくさんの名称をつけ、細分化に細分化を重ねても、かえって若者を理解することが難しくなってしまうのではないでしょうか。

私は、若者の自立を支援するNPOを生業にしています。目の前にいる若者を定義にあてはめれば、ニートであったり、フリーターであったりしますし、○○型といった類型化も可能です。確かに、A君は○△□なタイプだからこういう形で支援していこう、とザックリわけてしまうこともあります。

しかし、若者は外部の刺激を受けて成長します。実際の支援現場において、初日に決めた支援方法が翌日にはまったく別の方法に変わっていることはザラにあります。時に、ザックリとした類型化も必要ですが、大人の側も若者の成長に合わせた柔軟な視点や思考を持っていなければならないのです。おそらく、若者の変化についていけなくなったとき、「最近の若者は…」と言ってしまうのでしょう。保護者でも、教師でも、上司でも、どの立場においても共通することなのではないでしょうか。

この連載で、私は“ワカモノ”について書かせていただくことになりました。いまのワカモノは高度情報社会の到来とグローバル化のなかで育っているため、そうではない人間には理解できないと思われがちです。これが事実である側面もありますが、一方、高校生や大学生、ニートやフリーターと関わってみると、案外、“そこらへんのワカモノ”だと感じることもあります。

この“そこらへん”がどこらへんなのかはよくわかりませんが、たぶん、「自分も同じようなことしていた」とか、「その頃にはそういうこと、考えていたよな」と思える、懐かしさを感じるような部分ではないかと思います。時代が移り変わり、育った環境が違っても、ワカモノであるからこその変わらないモノがあります。この連載を通じて、わからないワカモノではなく、変わらないワカモノの姿をお伝えできればと考えています。

工藤 啓
くどう けい

特定非営利活動法人「育て上げ」ネット理事長。1977年6月2日東京生まれ。大学中退後渡米。帰国後、ひきこもり、ニート、フリーター等の就労支援団体「育て上げ」ネット設立。2004年5月NPO法人化、現在に至る。
2005年…内閣府「若者の包括的な自立支援方策に関する検討会」委員/厚生労働省「キャリア・コンサルティング導入・展開事例検討委員会」委員/文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員/埼玉県「ニート対策検討委員会」委員/福島県「若者としごと」研究会アドバイザー/立川市教育委員会立川市学校評議員
著書「大卒だって無職になる」(エンターブレイン)、「ニート支援マニュアル」(PHP研究所)ほか

NPO法人「育て上げ」ネット
Lineup

【2015年 掲載】
84 親とのコミュニケーション~76

【2014年 掲載】
75 もし自分だったらどうする?~67

【2013年 掲載】
66 一声かける勇気~60

【2012年 掲載】
59 進学と奨学金~53

【2011年 掲載】
52 非日常下の成長~46

【2010年 掲載】
45 卒後生活への不安~37

【2009年 掲載】
36 仕事につながるナナメの関係~28

【2008年 掲載】
27 学校を辞めるということ~19

【2007年 掲載】
18 仕事を変えるとき~9

【2006年 掲載】
8 感情と積極性~1