1-1

生活コスト
~1人暮らしにかかる経費~


工藤 啓
更新:2006/04/10

先日、都内の高校1年生に「職業講話」なるものをするよう依頼された。1年間に数十回の講演をするのですが、中学生や高校生の前で話をすることは稀である。担当の先生との打ち合せでは、進路指導に役立つ話をしてほしいと言われたけれども、自分が高校生のとき、外部講師の話などまともに聞いた記憶がないのだ。どこかの企業の社長さんがアリガタイ話をしていたような。

いろいろな人にどうしたらいいものか相談したのだけれど、高校生は大変だよ、と口をそろえる。話の内容もさることながら、一瞬でもつまらないと判断したら、まったく聞く耳を持たないからだという。さて、どうしたものかと本気で悩んでしまった。

これまで支援してきた若者は大学生以上が大半なのだが、いつもビックリさせられるのは、その生活コスト感覚がほとんどないことだ。地方から出てきて、1人暮らしをしている大学生などは知っているが、実家から学校へ通っている場合は、1ヶ月の生活費がどれくらいかかるのか知らないことは少なくない。

ニートやフリーターになってしまった若者への就業支援も大切だけれども、働くこと以前に、もっと知っておかなければならないことがあるのではないかとは常々考えていた。そこで、担当の先生にお願いをして、生活コストを知るためのワークショップを開催させていただくことにした。

「明日から1人暮らしをしなければならなくなってしまった」という設定にし、1ヶ月間、それぞれの生徒さんが必要だと思う生活費の最低額を算定するのが第一段階である。通信費、食費、水道光熱費、交際費、家賃までは想像がつく。知っている生徒さんは、敷金と礼金を項目に書いているが、かなり少数派だ。

友達同士での相談にも飽きてきたころにタイムアップ。高校生の平均的な1ヶ月の生活費は15万円ほどだった。でも、その金額では自立して生活してくことはできないのだよ。生活にかかる経費はまだまだあるのだ。

工藤 啓
くどう けい

特定非営利活動法人「育て上げ」ネット理事長。1977年6月2日東京生まれ。大学中退後渡米。帰国後、ひきこもり、ニート、フリーター等の就労支援団体「育て上げ」ネット設立。2004年5月NPO法人化、現在に至る。
2005年…内閣府「若者の包括的な自立支援方策に関する検討会」委員/厚生労働省「キャリア・コンサルティング導入・展開事例検討委員会」委員/文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員/埼玉県「ニート対策検討委員会」委員/福島県「若者としごと」研究会アドバイザー/立川市教育委員会立川市学校評議員
著書「大卒だって無職になる」(エンターブレイン)、「ニート支援マニュアル」(PHP研究所)ほか

NPO法人「育て上げ」ネット
Lineup

【2015年 掲載】
84 親とのコミュニケーション~76

【2014年 掲載】
75 もし自分だったらどうする?~67

【2013年 掲載】
66 一声かける勇気~60

【2012年 掲載】
59 進学と奨学金~53

【2011年 掲載】
52 非日常下の成長~46

【2010年 掲載】
45 卒後生活への不安~37

【2009年 掲載】
36 仕事につながるナナメの関係~28

【2008年 掲載】
27 学校を辞めるということ~19

【2007年 掲載】
18 仕事を変えるとき~9

【2006年 掲載】
8 感情と積極性~1