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生活コスト
~お金の稼ぎかた~


工藤 啓
更新:2006/04/17

1ヶ月の生活費を、携帯電話を使って計算していく。平均15万円という数字は決して突飛なものではないが、その内訳には足りないものがたくさんある。具体的にあげていくと、高校生から「知らないよぉ」と悲鳴と笑いが起こる。

国民年金が13,580円、それに加えて、国民健康保険料、住民税、それらを支払った残りは貯金可能な額である。この時点で、月額必要経費は20万円を超えてしまった。全体的にショックを受けているように見える。

さて、自分自身で計上した生活費に各種税金を加えた総額であるが、その総額をいかにして支払うのかを考える必要がある。月給が1億円なら、生活費が5,000万円だっていいのだ。

試行錯誤しながら、月の生活費を稼げる目処がたった生徒さんもいれば、自らが算出した生活費を修正している生徒もいる。

イマドキの高校生と言うべきだろうか、時給かける労働時間の公式を使って生活費を稼ぎ出そうとする生徒がとても多い。ワークシートには、日給かける労働日数、月給かける1月という枠があるにもかかわらず。生活費が数百万円に達した生徒の1人は、時給に1ヶ月の総時間以上の時間数をかけていた。

月給制を選択した生徒には、会社負担の税金分は好きに使っていいことを伝えた。すると、近くに座っていた生徒の「俺も正社員にしておけばよかったぁ。損した」という叫び声が聞こえた。

私は、自身の力で暮らしていけるのであれば、その働きかた(労働形態)は個人の価値観次第だと思っている。しかし、フリーターにも自由や不安というメリット・デメリットがあるように、正社員にだってある。生涯年収2億円の違いで正社員とフリーターの差異を理解させるのもインパクトがあるが、生活コストの観点から働きかたを考えるのも進路決定に大きな影響を与えることがわかった。「一人暮らしを甘く見ていた。もっと真剣に考えないと」というアンケート回答に、“知る”という成長を見た気がした。

工藤 啓
くどう けい

特定非営利活動法人「育て上げ」ネット理事長。1977年6月2日東京生まれ。大学中退後渡米。帰国後、ひきこもり、ニート、フリーター等の就労支援団体「育て上げ」ネット設立。2004年5月NPO法人化、現在に至る。
2005年…内閣府「若者の包括的な自立支援方策に関する検討会」委員/厚生労働省「キャリア・コンサルティング導入・展開事例検討委員会」委員/文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員/埼玉県「ニート対策検討委員会」委員/福島県「若者としごと」研究会アドバイザー/立川市教育委員会立川市学校評議員
著書「大卒だって無職になる」(エンターブレイン)、「ニート支援マニュアル」(PHP研究所)ほか

NPO法人「育て上げ」ネット
Lineup

【2015年 掲載】
84 親とのコミュニケーション~76

【2014年 掲載】
75 もし自分だったらどうする?~67

【2013年 掲載】
66 一声かける勇気~60

【2012年 掲載】
59 進学と奨学金~53

【2011年 掲載】
52 非日常下の成長~46

【2010年 掲載】
45 卒後生活への不安~37

【2009年 掲載】
36 仕事につながるナナメの関係~28

【2008年 掲載】
27 学校を辞めるということ~19

【2007年 掲載】
18 仕事を変えるとき~9

【2006年 掲載】
8 感情と積極性~1