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仕事選び
~自分のためでなく~


工藤 啓
更新:2006/05/08

職業選択にあたり、普通は、自分のやりたいこと、月額の給料、福利厚生の充実度、アクセス条件、職場の雰囲気など、自らの価値観とそれらの諸条件を比較していくものです。各項目を重要度の高い順に整理し、そのなかでも特にゆずれない項目を明確にしておきます。どのような働き方を選ぶにせよ、自分が納得して働いていくために、とても重要な選択プロセスです。

しかし、最近では少しばかり若者の仕事選びに変化が見られるようになりました。学生でも、フリーターでも、将来の仕事について話を聞くと、「親が安心できるように、安定した企業で働きたい」とか、「これ以上、親に迷惑をかけたくないので正社員の仕事を探そうと思います」と、自分自身のためというよりも、親に喜んでもらう、安心してもらうために仕事や働き方を決めようとする若者がとても目立ちます。

もちろん、それが悪いわけではありませんが、自分の将来などはさておき、まずは“親のため”というスタンスでいる若者に驚くほど多く出会うのです。その理由は、高校や大学を中退せざるを得なかった若者は、親に恥ずかしい思いをさせてしまったという罪悪感から。大卒後、就職したのに辞めてしまったり、大卒フリーターであったりした若者は、親の期待に応えてあげられなかったという後悔から。

しかしながら、自分よりも、親の幸せのために、仕事を選択することは、本当に若者自身のためになるのかと言えば、甚だ疑問です。

そのような想いを持つ子どもを見て、親自身はどう感じるのでしょうか。実際に話を聞いてみると、ほとんどの場合は、「自分らしく働いて欲しい」「私たちのことを気にする必要などないのに…」と当惑すらしています。

私は、そのような親孝行な若者に、もっと自分のために仕事選択をするように勧めています。ひとの人生の中で、何らかの形で働いている時間は相当量になります。自分自身が後悔しないよう、自分の人生は自分のために使うのが第一義であるべきではないでしょうか。

工藤 啓
くどう けい

特定非営利活動法人「育て上げ」ネット理事長。1977年6月2日東京生まれ。大学中退後渡米。帰国後、ひきこもり、ニート、フリーター等の就労支援団体「育て上げ」ネット設立。2004年5月NPO法人化、現在に至る。
2005年…内閣府「若者の包括的な自立支援方策に関する検討会」委員/厚生労働省「キャリア・コンサルティング導入・展開事例検討委員会」委員/文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員/埼玉県「ニート対策検討委員会」委員/福島県「若者としごと」研究会アドバイザー/立川市教育委員会立川市学校評議員
著書「大卒だって無職になる」(エンターブレイン)、「ニート支援マニュアル」(PHP研究所)ほか

NPO法人「育て上げ」ネット
Lineup

【2015年 掲載】
84 親とのコミュニケーション~76

【2014年 掲載】
75 もし自分だったらどうする?~67

【2013年 掲載】
66 一声かける勇気~60

【2012年 掲載】
59 進学と奨学金~53

【2011年 掲載】
52 非日常下の成長~46

【2010年 掲載】
45 卒後生活への不安~37

【2009年 掲載】
36 仕事につながるナナメの関係~28

【2008年 掲載】
27 学校を辞めるということ~19

【2007年 掲載】
18 仕事を変えるとき~9

【2006年 掲載】
8 感情と積極性~1