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自分のミタメ
~美形と美人~


工藤 啓
更新:2006/06/12

私が髪の毛をいじり始めたのは、確か中学校に入学したくらいだっただろうか。制服を着るようになったからだろうか、初恋の女性ができたからだろうか、その理由は忘れてしまいました。それまでは寝癖100%のまま、眠い目を擦って登校していたのですが、朝少しだけ早く起き、髪を濡らし、整髪料とドライヤーを駆使して、自分が納得いくまでガチャガチャやっていました。

いまの中学生を見ると、やはりそれほど意識の変化はないのかなと思います。特に男の子なんかは、“中学デビュー”ですと言わんばかりに、髪の毛のセットが板についていません。きっとこれからもっとお洒落に目覚め、髪の毛だけでなく、洋服や靴、バックなどにも気遣いをしていくのでしょう。眉毛の手入れをしている学生を見ると、私のころよりずっとミタメを気にしているのだなと思うこともあります。

先日、フェイシャルセラピストのかづきれいこさんとお話をさせていただく機会がありました。医療機関と連携し、傷ややけど痕のカバー、それにともなう精神的なケアも行なう“リハビリメイク”の第一人者であるかづきさんに、「最近の若者はとてもお洒落で、ミタメもよいです。私のころとは比べものにならないです」と伝えたところ、こんな話をされました。

「いまの若い方々は、美形であろうと努力をしています。しかし、本当に重要なのはそこに心があること。つまり、外見だけの美形ではなく、心までも磨く“美人”を目指してほしいですね」

思春期にミタメを意識し始めること、つまり、美形になりたいと思うことはとても自然なことです。「最近の若者はミタメが奇抜だ」と言われる方もいますが、かわいい、とか、きれいという感覚、価値観は時代とともに移り変わりますから、奇抜に見えるのも仕方がないかもしれません。

それよりも、同じように綺麗に見えたり、格好よく思えたり、または、奇抜に感じるような外見でも、心の部分はどうでしょうか。個人の感覚や価値観を超え、美形と美人が見分けられると思います。そのとき、美形の若者には心の研磨を、美人には素直な褒め言葉をかけてあげましょう。身近にいる若者のミタメ、それは美形になろうとしているだけでしょうか。それとも心が伴う美人になろうとしているのでしょうか。

工藤 啓
くどう けい

特定非営利活動法人「育て上げ」ネット理事長。1977年6月2日東京生まれ。大学中退後渡米。帰国後、ひきこもり、ニート、フリーター等の就労支援団体「育て上げ」ネット設立。2004年5月NPO法人化、現在に至る。
2005年…内閣府「若者の包括的な自立支援方策に関する検討会」委員/厚生労働省「キャリア・コンサルティング導入・展開事例検討委員会」委員/文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員/埼玉県「ニート対策検討委員会」委員/福島県「若者としごと」研究会アドバイザー/立川市教育委員会立川市学校評議員
著書「大卒だって無職になる」(エンターブレイン)、「ニート支援マニュアル」(PHP研究所)ほか

NPO法人「育て上げ」ネット
Lineup

【2015年 掲載】
84 親とのコミュニケーション~76

【2014年 掲載】
75 もし自分だったらどうする?~67

【2013年 掲載】
66 一声かける勇気~60

【2012年 掲載】
59 進学と奨学金~53

【2011年 掲載】
52 非日常下の成長~46

【2010年 掲載】
45 卒後生活への不安~37

【2009年 掲載】
36 仕事につながるナナメの関係~28

【2008年 掲載】
27 学校を辞めるということ~19

【2007年 掲載】
18 仕事を変えるとき~9

【2006年 掲載】
8 感情と積極性~1