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こんな言葉に要注意
~「別に。」と「けど。」~


工藤 啓
更新:2006/07/10

他者とかかわることがシンドイと感じる若者とたくさん出会っていますと、ちょっとした言動の端々に共通な点があるように感じます。特に、こちらからの質問に対して「別に。」と答える場合や、会話の最後が「けど。」で終わってしまうようなときです。

考えてみると、「別に」はそれだけで文章を完結できる言葉ではなく、通常は「別に○○ではない」と否定で締めくくることが多いのですが、「別に○○ではないが、△△である」と自分の意見が後に隠れている可能性があります。また、「けど」は次に本意の言葉を続けるためのものであり、それだけで主張が終わることは意味を成しません。

実際、「別に。」や「けど。」で言葉を終わらせるような若者に対して、「別に…なに?」とか、「けど…なに?」と追いかけるような質問をすると、彼ら(彼女ら)の本音や主張が出てきます。これを“わざわざ”追いかけ質問をしなければ、それらの言葉は他者に伝わることなく流れ消えてしまうでしょう。また、若者も流れ消されることに慣れてしまっていて、初めから聞いてもらえないものとして後に続く言葉を出そうとはしません。

私は、これを若者自身の自己主張力の低下と捉えてしまってはいけないと思います。家庭には疲れ切った共働きの両親、学校の先生は忙しく、じっくりと若者(子ども)の話を聞いてあげることが難しい状況です。友人同士の会話も端的でわかりやすく、メールで速打できる文字数に絵文字を加えなければ“うっとうしい奴”になります。

そのような環境でもうまく適応できる若者は、いわゆる、“コミュニケーション能力”が高いのかもしれません。しかし実際は、伝えたいことを完結に短く伝えることは若者でなくとも困難です。だから、せめて大人の側の人間は意識的に「聴く」必要があるのです。カウンセラーのような専門家の真似をする必要はありません。若者の「別に。」と「けど。」の後ろに隠れている本心の部分を見つけてあげるお手伝いで十分です。

それを繰り返すことで、若者は「別に。」と「けど。」から「。」を取り、後に続く言葉をきっちりと言えるようになるのです。

工藤 啓
くどう けい

特定非営利活動法人「育て上げ」ネット理事長。1977年6月2日東京生まれ。大学中退後渡米。帰国後、ひきこもり、ニート、フリーター等の就労支援団体「育て上げ」ネット設立。2004年5月NPO法人化、現在に至る。
2005年…内閣府「若者の包括的な自立支援方策に関する検討会」委員/厚生労働省「キャリア・コンサルティング導入・展開事例検討委員会」委員/文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員/埼玉県「ニート対策検討委員会」委員/福島県「若者としごと」研究会アドバイザー/立川市教育委員会立川市学校評議員
著書「大卒だって無職になる」(エンターブレイン)、「ニート支援マニュアル」(PHP研究所)ほか

NPO法人「育て上げ」ネット
Lineup

【2015年 掲載】
84 親とのコミュニケーション~76

【2014年 掲載】
75 もし自分だったらどうする?~67

【2013年 掲載】
66 一声かける勇気~60

【2012年 掲載】
59 進学と奨学金~53

【2011年 掲載】
52 非日常下の成長~46

【2010年 掲載】
45 卒後生活への不安~37

【2009年 掲載】
36 仕事につながるナナメの関係~28

【2008年 掲載】
27 学校を辞めるということ~19

【2007年 掲載】
18 仕事を変えるとき~9

【2006年 掲載】
8 感情と積極性~1