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若者が問題なのか
~車両内での出来事~


工藤 啓
更新:2007/05/21

今月9日、北海道のJR留萌線の秩父別駅で、高校生が車内奥までつめなかったため、26人が乗車できずにタクシーで代行輸送されたという報道がありました。

運転手のアナウンスで高校生がつめなかったことがクローズアップされましたが、その高校生のコメントには「大人が荷物を椅子に置いて動かしもしなかった」というのもありました。事実はわかりませんが、高校生(若者)のマナーの悪さが、事実確認前に先行してはいなかったでしょうか。

電車、たばこ、携帯電話と、さまざまなところでマナーが取り上げられますが、どうも若者に分が悪い感じがします。以前、電車内でこのような出来事に遭遇しました。

電車内で携帯電話を使い、大きな声で話す若者に対して注意をする年配に対して、その若者は怪訝そうな顔をしつつも、携帯電話で話すのを止めたところ、「ピリリー」っと、別の場所で呼び出しサイレンが鳴ったのです。それはスーツに身を包んだ、これも年配の方でした。若者への注意の声が比較的大きかったものですから、車内の人間であれば、誰もがその出来事を知っているにもかかわらず、携帯電話がなった男性は通話のスイッチを押し、話し始めました。おそらく、取引先からだと思います。

それに対して、通話を止めた若者が注意をしてきた男性に、「あいつにも注意しろよ」と電話で話す男性を指さして怒鳴りました。最初に注意をした男性は、通話中の男性にも注意をします。

「あなたも車内で電話するのを止めなさい。あの彼(若者)もそうしたのを見ていたでしょう」

当たり前の感覚を持っていれば、その場で通話を始めることもしませんが、その男性の言葉はびっくりするようなものでした。

「私のは仕事の電話なんだ。あの(若者の)おしゃべりとは違うんだ」と。

次の駅に到着し、注意された男性はばつ悪そうに下車。若者は隣にいた友人と“大人”のマナーに対して文句を言い続け、双方に注意をした男性は呆然としている。そのような出来事がありました。

車内通話をするのは若者が多いというイメージはないでしょうか。車内通話のマナーに対して、おしゃべりか仕事かは関係あるのでしょうか。そして、勇気を持って注意したひとが割を食ってしまう環境で、これから先、同様の状況で再び注意をしようと思うのでしょうか。たった数分の出来事のなかで、マナーについて考えさせられてしまいました。

工藤 啓
くどう けい

特定非営利活動法人「育て上げ」ネット理事長。1977年6月2日東京生まれ。大学中退後渡米。帰国後、ひきこもり、ニート、フリーター等の就労支援団体「育て上げ」ネット設立。2004年5月NPO法人化、現在に至る。
2005年…内閣府「若者の包括的な自立支援方策に関する検討会」委員/厚生労働省「キャリア・コンサルティング導入・展開事例検討委員会」委員/文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員/埼玉県「ニート対策検討委員会」委員/福島県「若者としごと」研究会アドバイザー/立川市教育委員会立川市学校評議員
著書「大卒だって無職になる」(エンターブレイン)、「ニート支援マニュアル」(PHP研究所)ほか

NPO法人「育て上げ」ネット
Lineup

【2015年 掲載】
84 親とのコミュニケーション~76

【2014年 掲載】
75 もし自分だったらどうする?~67

【2013年 掲載】
66 一声かける勇気~60

【2012年 掲載】
59 進学と奨学金~53

【2011年 掲載】
52 非日常下の成長~46

【2010年 掲載】
45 卒後生活への不安~37

【2009年 掲載】
36 仕事につながるナナメの関係~28

【2008年 掲載】
27 学校を辞めるということ~19

【2007年 掲載】
18 仕事を変えるとき~9

【2006年 掲載】
8 感情と積極性~1