16-2

若者とITを考える
(後編)


工藤 啓
更新:2007/10/29

日本にインターネットが広がって10年余りが経ちました。日本においては、IT分野は世界に遅れを取っているようです。シリコンバレーで活躍されていたアリエル・ネットワーク株式会社代表取締役社長の小松宏行さんは、「この世界はオープンソース。誰でも国境を越えてつながることができる。しかし、英語を苦手と考える日本の若者の参加は少ない。学歴よりも、技術よりも、勇気が大切」とおっしゃっていました。

その話を若年者IT基礎訓練プログラム参加者にすると、「ヤンキースの松井や、セルティックの中村でなくても、世界に出られる可能性があるんですね。ひきこもっている僕でも、自宅からネットを通じて世界に飛び出せるかもしれない」と冗談交じりに話していました。彼は高校中退で、パソコンもメールとインターネットくらいしかできませんでしたが、案外、日本を越えて世界に飛び出そうとしているのではないか。そう思わせるくらいに熱中しています。

25歳で働いた経験のない女性は、「人と話をする仕事は苦手。正社員で採用されることは諦めていました。でも、IT業界は求人がすごくあって、企業の人の話でも人材不足は本当みたいで、希望が持てます」と、IT関連企業の方から聞いた人材不足の深刻な状況に対し、前向きに講座を受講できるようになりました。

私は、若者の就労を支援しているなかで、いま、IT(プログラミング)に大きな期待を抱いています。人材不足であることはもちろんですが、体力ではなく、体が強くない人や、アトピーなどで汗がかけない人などにもチャンスがある業界に思えるからです。

もちろん、職場によっては、寝る暇もなく、過重労働を強いられるところもあるかもしれません。逆に、素晴らしい職場もあるでしょう。スキルを身につけるのは本人次第ですが、就業先はこちらでも選定のお手伝いができます。若者自身とNPO、そして企業が一体となって支援できる新たな可能性を、若者とITの関係に見出しています。

工藤 啓
くどう けい

特定非営利活動法人「育て上げ」ネット理事長。1977年6月2日東京生まれ。大学中退後渡米。帰国後、ひきこもり、ニート、フリーター等の就労支援団体「育て上げ」ネット設立。2004年5月NPO法人化、現在に至る。
2005年…内閣府「若者の包括的な自立支援方策に関する検討会」委員/厚生労働省「キャリア・コンサルティング導入・展開事例検討委員会」委員/文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員/埼玉県「ニート対策検討委員会」委員/福島県「若者としごと」研究会アドバイザー/立川市教育委員会立川市学校評議員
著書「大卒だって無職になる」(エンターブレイン)、「ニート支援マニュアル」(PHP研究所)ほか

NPO法人「育て上げ」ネット
Lineup

【2015年 掲載】
84 親とのコミュニケーション~76

【2014年 掲載】
75 もし自分だったらどうする?~67

【2013年 掲載】
66 一声かける勇気~60

【2012年 掲載】
59 進学と奨学金~53

【2011年 掲載】
52 非日常下の成長~46

【2010年 掲載】
45 卒後生活への不安~37

【2009年 掲載】
36 仕事につながるナナメの関係~28

【2008年 掲載】
27 学校を辞めるということ~19

【2007年 掲載】
18 仕事を変えるとき~9

【2006年 掲載】
8 感情と積極性~1