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シンユウがたくさん
(前編)


工藤 啓
更新:2008/03/10

先日、都内で講演をしました。若者とコミュニケーションの関係性について、日ごろの活動を通じて考えていることをお話ししました。寒い中、会場にいらっしゃった方々は、常日ごろから何らかの形で若者とかかわりがあるように感じられました。講演が終わり、パネルディスカッションに移るまでの時間、水の入ったペットボトルを片手に座席に座っていたところ、年配の方から声をかけられました。

挨拶もそこそこに、突然、「私は中学生とかかわることが多いのですが、最近の中学生はシンユウがたくさんいるというのをご存知ですか」と聞かれました。親友がたくさんいるのはとてもよいことだとは思うけれど、私にとっての親友はごくごく少数で、たくさんいるというわけではありませんとお答えしたところ、「私たちの世代もそんなものですよ」とうなずかれました。

最近では、とても仲の良い友達から、学校で挨拶を交わす程度の友達までをすべて「シンユウ」と呼ぶそうです。ただし、それぞれの「シンユウ」には当てはめるべき漢字が異なり、ある意味、ランク付けされています。

第一のシンユウは「新友」です。小学校から中学校、中学校から高校、大学、バイト先、就職先など、新しい環境で出会った仲間のことを表します。まだ、互いのことをよく知らず、これから仲良くできるのか。価値観は合うのか。プライベートでも時間を共有するのか。不安と期待が入り混じったなかで会話を交わす“これから”の関係である時期にある友達を示します。

第二のシンユウは「親友」です。時間を共有し、プライベートで一緒に出かけたりする友達です。私がイメージする親友は、切っても切れない“親”とのつながりほど強い関係なのですが、そうではありません。文字通り、“親しい”友達のことで、驚いたのは、そこに信頼関係の有無が強く問われないということです。

時代が変われば、言葉の意味に変化が起こることは特別珍しいことではありませんが、これまで使っていた「親友」という言葉の意味づけが、ただ“親しい”友達であるということには驚きがありました。

工藤 啓
くどう けい

特定非営利活動法人「育て上げ」ネット理事長。1977年6月2日東京生まれ。大学中退後渡米。帰国後、ひきこもり、ニート、フリーター等の就労支援団体「育て上げ」ネット設立。2004年5月NPO法人化、現在に至る。
2005年…内閣府「若者の包括的な自立支援方策に関する検討会」委員/厚生労働省「キャリア・コンサルティング導入・展開事例検討委員会」委員/文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員/埼玉県「ニート対策検討委員会」委員/福島県「若者としごと」研究会アドバイザー/立川市教育委員会立川市学校評議員
著書「大卒だって無職になる」(エンターブレイン)、「ニート支援マニュアル」(PHP研究所)ほか

NPO法人「育て上げ」ネット
Lineup

【2015年 掲載】
84 親とのコミュニケーション~76

【2014年 掲載】
75 もし自分だったらどうする?~67

【2013年 掲載】
66 一声かける勇気~60

【2012年 掲載】
59 進学と奨学金~53

【2011年 掲載】
52 非日常下の成長~46

【2010年 掲載】
45 卒後生活への不安~37

【2009年 掲載】
36 仕事につながるナナメの関係~28

【2008年 掲載】
27 学校を辞めるということ~19

【2007年 掲載】
18 仕事を変えるとき~9

【2006年 掲載】
8 感情と積極性~1