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シンユウがたくさん
(後編)


工藤 啓
更新:2008/03/17

「親友」は、“親しい”間柄にある友達を言い示す、ということに驚いたと前回は触れました。それでは、いまどきのワカモノは、親しい以上の友達をどう表現しているのでしょうか。

そこで登場するのが第三のシンユウである「信友」です。親しい友達を信用しないということではなく、「信友」の言うことに余計な疑問を持たないということです。仮に、それがにわかに信じがたいことであっても、彼/彼女だからこそ信じられる。人間関係がかなり密な段階を示すのではないでしょうか。

もう、この第三の段階まで来れば、昔の「親友」と同様なのではないかと感じるのですが、そうではないそうです。それが第四のシンユウである「心友」です。自分の心を開いて話しができる無二の存在です。確かに、心を完全に開いて話しができる友達は大変貴重ですが、これを聞いたときに、私はマンガ「ドラえもん」に登場するジャイアン(剛田 武)が浮かびました。

なぜ、友達にこのようなランク付けのようなものをするのでしょうか。好き嫌いならまだ理解ができますが、きっちりと人間関係を区分することには冷たさすら感じられる気もします。ただ、少し冷静に考えてみると、もしかしたら、それは「自分を守る」ためのシグナルなのではないかと思うのです。

最近、「学校裏サイト」がメディアで取り上げられていますが、クラス内では仲良く付き合っているつもりでも、ネット上の掲示板などで中傷していたり、他の友達には携帯メールで悪口を言っていたりするような報道があります。本当は一部の特別な事象を大きく取りあげているだけなのかもしれません。しかし、「全て本当のことだとしたら」と考えてみると、誰にどこまで、何を話せるのか悩むのも無理はありません。悩むというより、恐れるべきものなのかもしれません。

TPOに合わせたコミュニケーションで自分を守る世代。私には、大人社会で垣間見えるようなことが、いつの間にか、若者にも伝播しているように思えます。私たちの時代の「言葉」は、いまどきのワカモノに同じ意味を持って使われているとは限らないのです。

工藤 啓
くどう けい

特定非営利活動法人「育て上げ」ネット理事長。1977年6月2日東京生まれ。大学中退後渡米。帰国後、ひきこもり、ニート、フリーター等の就労支援団体「育て上げ」ネット設立。2004年5月NPO法人化、現在に至る。
2005年…内閣府「若者の包括的な自立支援方策に関する検討会」委員/厚生労働省「キャリア・コンサルティング導入・展開事例検討委員会」委員/文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員/埼玉県「ニート対策検討委員会」委員/福島県「若者としごと」研究会アドバイザー/立川市教育委員会立川市学校評議員
著書「大卒だって無職になる」(エンターブレイン)、「ニート支援マニュアル」(PHP研究所)ほか

NPO法人「育て上げ」ネット
Lineup

【2015年 掲載】
84 親とのコミュニケーション~76

【2014年 掲載】
75 もし自分だったらどうする?~67

【2013年 掲載】
66 一声かける勇気~60

【2012年 掲載】
59 進学と奨学金~53

【2011年 掲載】
52 非日常下の成長~46

【2010年 掲載】
45 卒後生活への不安~37

【2009年 掲載】
36 仕事につながるナナメの関係~28

【2008年 掲載】
27 学校を辞めるということ~19

【2007年 掲載】
18 仕事を変えるとき~9

【2006年 掲載】
8 感情と積極性~1