25-1

キーワード
(前編)


工藤 啓
更新:2008/09/01

企業の新卒採用でも、NPO法人主催のインターンシップ事業でも、公的機関による支援プログラムでも、そのメインターゲットである若者の関心を喚起し、足を運んでもらうことが難しくなっています。景気回復による有効求人倍率の上昇(都市部)や社会参加への意欲など、さまざまな原因分析がなされているようですが、一番大きいのは単純に若者の数が減少していることだと思います。

若者100人のうち3人(3%)が関心を持つとすれば、1,000人であれば30人、100,000人であれば3,000人と、数に正比例して人数は変動します。少子化に伴い、今後は間違いなく若者の数は減少していくわけですから、どのような事業体であれ、若者を惹き付ける“何か”を持ってプロモーションしていかなければなりません。

もちろん、多額の費用を広告費に投入できればそれなりの効果はあるでしょう。しかし、それができない組織が大半です。その際に大切なのは「キーワード」ではないかと思います。広く若者に関わる先駆者は、このキーワードを“作る”のではなく、“実感”から抽出しています。

『若者の挑戦を支援できる社会環境の創造』を目的とする、NPO法人 NEWVERY(ニューベリー)※(旧団体名:コトバノアトリエ) 代表の山本繁氏は、高等教育機関が若者と保護者に対して提示するキーワードを「非中退者率(中退防止率/卒業率)」としています。
※NEWVERY http://www.newvery.jp/

就職氷河期が続いたこれまでは、卒業者の内、就職を希望する学生の何%が就職したのか、また、どのような企業から内定を獲得したかなど、就職への不安を払拭するためのキーワードを使ってきました。しかし、採用氷河期と言われるほど、学生が内定を貰い易い環境になったいま、相変わらず従来と同様の提示を続けていても、若者を惹き付ける材料にはなりづらいと分析します。

高等教育機関に入るのも、就職先を確保するのも以前と比べれば数字的に容易になったと思われるいま、未だに高止まりしているのは中途退学です。せっかく入学したが何らかの理由で辞めてしまう学生が多い。そのようなリスクに対して何を提供するのか。その実績はどうなのか。それらを端的なキーワードとして示すことで、新たな教育環境に一歩踏み出す若者に安心感を与えることが重要だと言っています。

私も、新しい環境に対する漠然とした不安が、いまの若者に比較的共通するテーマだと実感しています。山本氏の話は非常に共感できるものです。

工藤 啓
くどう けい

特定非営利活動法人「育て上げ」ネット理事長。1977年6月2日東京生まれ。大学中退後渡米。帰国後、ひきこもり、ニート、フリーター等の就労支援団体「育て上げ」ネット設立。2004年5月NPO法人化、現在に至る。
2005年…内閣府「若者の包括的な自立支援方策に関する検討会」委員/厚生労働省「キャリア・コンサルティング導入・展開事例検討委員会」委員/文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員/埼玉県「ニート対策検討委員会」委員/福島県「若者としごと」研究会アドバイザー/立川市教育委員会立川市学校評議員
著書「大卒だって無職になる」(エンターブレイン)、「ニート支援マニュアル」(PHP研究所)ほか

NPO法人「育て上げ」ネット
Lineup

【2015年 掲載】
84 親とのコミュニケーション~76

【2014年 掲載】
75 もし自分だったらどうする?~67

【2013年 掲載】
66 一声かける勇気~60

【2012年 掲載】
59 進学と奨学金~53

【2011年 掲載】
52 非日常下の成長~46

【2010年 掲載】
45 卒後生活への不安~37

【2009年 掲載】
36 仕事につながるナナメの関係~28

【2008年 掲載】
27 学校を辞めるということ~19

【2007年 掲載】
18 仕事を変えるとき~9

【2006年 掲載】
8 感情と積極性~1