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キーワード
(後編)


工藤 啓
更新:2008/09/08

「公を私がもっと豊かにする時代」をミッションとする株式会社エンパブリック( http://empublic.jp )代表取締役の広石拓司氏は、若者へのキーワードを「自己成長」と分析します。広石氏は社会企業家の育成、学生と企業のインターンシップ事業などを手がけるなかで、若者が求めることが変化してきたと語ります。非常に印象的だったのは、「少し前までは、“インターンシップ”という言葉に若者が惹かれて来たが、いまはそれをキーワードにすると逆に難しい」ということです。

「社会をよくするために」「自分の街を盛り上げるために」というキーワードだけでも十分インパクトがあった時代は過去のものとなり、いまはその行動を通じて“自分が成長した実感”を得られることが重要視されています。お話を伺ったときには、まさに「目からうろこ」で、私と同じように感じられる人は多いのではないでしょうか。

キーワードで付け加えるならば、社会がセンセーショナルに取り上げる若者像を示す言葉も変化しています。特に社会から離れざるを得ない状況にある若者は、自ら学校に行かない「登校拒否」から始まり、学校に行けない「不登校児童」、自宅から出ることができない「ひきこもり」、働くことに希望が持てなくなった「ニート」、最近では、「ネットカフェ難民」、「軽度発達障害」なども広くキーワードとして活用されるようになりました。

若者の関心を惹き付けるにせよ、社会構造の狭間に陥ってしまった若者にスポットを当てるにせよ、もちろん、商品を売ることや、サービスを提供することも含め、「キーワード化」は非常に重要な位置を持っています。時代や活用ツールが変化すれば、若者が興味を持つキーワードも変化します。逆に言えば、事業内容や提供されるサービスに変化がさほどなくとも、その「見せ方」や「切り口」を時代のニーズに合わせることによって、再び注目を集めることが可能となります。

よくよく関心を持って見回してみると、若者が集う場、活用するサービス、参加するプログラム、積極的に参加する講座などは、とても吟味され、ニーズを的確に捉えたキーワードが散りばめられています。いまどきの若者を知るためには、使われているキーワードに着目していくのもひとつの手立てなのではないでしょうか。

工藤 啓
くどう けい

特定非営利活動法人「育て上げ」ネット理事長。1977年6月2日東京生まれ。大学中退後渡米。帰国後、ひきこもり、ニート、フリーター等の就労支援団体「育て上げ」ネット設立。2004年5月NPO法人化、現在に至る。
2005年…内閣府「若者の包括的な自立支援方策に関する検討会」委員/厚生労働省「キャリア・コンサルティング導入・展開事例検討委員会」委員/文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員/埼玉県「ニート対策検討委員会」委員/福島県「若者としごと」研究会アドバイザー/立川市教育委員会立川市学校評議員
著書「大卒だって無職になる」(エンターブレイン)、「ニート支援マニュアル」(PHP研究所)ほか

NPO法人「育て上げ」ネット
Lineup

【2015年 掲載】
84 親とのコミュニケーション~76

【2014年 掲載】
75 もし自分だったらどうする?~67

【2013年 掲載】
66 一声かける勇気~60

【2012年 掲載】
59 進学と奨学金~53

【2011年 掲載】
52 非日常下の成長~46

【2010年 掲載】
45 卒後生活への不安~37

【2009年 掲載】
36 仕事につながるナナメの関係~28

【2008年 掲載】
27 学校を辞めるということ~19

【2007年 掲載】
18 仕事を変えるとき~9

【2006年 掲載】
8 感情と積極性~1