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原体験を見る
(前編)


工藤 啓
更新:2009/03/02

ひとを雇うというのはとても難しいものです。ハローワークなどで専門家の指導を受けて作成された履歴書や職務経歴書は、どれも似通ったものになります。採用面接も1時間程度ですし、採用を判断する材料はほとんどないといってもいいくらいです。

一方、どんなに素晴らしいひとでも、組織の雰囲気や仕事のやり方が合わなければ、仕事は続きません。1日8時間以上もの時間を仕事に費やすわけですから、「嫌だな、やりたくないな」という思いを抱えながらでは苦しくなってしまいます。

書類選考と短時間の面接で採用・不採用を決めなければならない。しかし、マッチングがうまくいかないと、採用した会社も、採用された本人もハッピーになれません。採用者、求職者がどちらもハッピーになれるマッチングのためには何が必要なのでしょうか。わからないときは、わかっているひとに聞くのが一番いい。

早速、私は複数の経験豊富な人事担当者に聞いて回りました。すると多くの方々が「なぜ、その仕事に就きたいと思ったのか。その原体験を聞きなさい」と言います。つまり、その会社で働きたい理由でもなく、仕事で達成したいことでもなく、目の前の求職者がこの仕事を選ぶに至った、何かしらの体験・経験が大事だというのです。そして、「相手が語る原体験が、募集している業務内容と合致している場合は、採用者も求職者もハッピーになれる」とも言っていました。

なるほど、人事採用のプロは“原体験”を聞いて、採用の判断材料を作っているわけです。となれば、求職者は職場選びにあたっては、会社がどうかということも大切ですが、業務内容と自分の原体験が合っているのかを真剣に考えなければなりません。そして、採用面接では、“原体験”を真摯に語ることで採用に一歩近づけるということになります。

同じようなことは書籍やネットでも書いてあることかもしれませんが、実際に「採用することを仕事にする」担当者から聞くと、“ズシン”と重たいものがあります。

工藤 啓
くどう けい

特定非営利活動法人「育て上げ」ネット理事長。1977年6月2日東京生まれ。大学中退後渡米。帰国後、ひきこもり、ニート、フリーター等の就労支援団体「育て上げ」ネット設立。2004年5月NPO法人化、現在に至る。
2005年…内閣府「若者の包括的な自立支援方策に関する検討会」委員/厚生労働省「キャリア・コンサルティング導入・展開事例検討委員会」委員/文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員/埼玉県「ニート対策検討委員会」委員/福島県「若者としごと」研究会アドバイザー/立川市教育委員会立川市学校評議員
著書「大卒だって無職になる」(エンターブレイン)、「ニート支援マニュアル」(PHP研究所)ほか

NPO法人「育て上げ」ネット
Lineup

【2015年 掲載】
84 親とのコミュニケーション~76

【2014年 掲載】
75 もし自分だったらどうする?~67

【2013年 掲載】
66 一声かける勇気~60

【2012年 掲載】
59 進学と奨学金~53

【2011年 掲載】
52 非日常下の成長~46

【2010年 掲載】
45 卒後生活への不安~37

【2009年 掲載】
36 仕事につながるナナメの関係~28

【2008年 掲載】
27 学校を辞めるということ~19

【2007年 掲載】
18 仕事を変えるとき~9

【2006年 掲載】
8 感情と積極性~1