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中学4年生
(後編)


工藤 啓
更新:2009/06/29

義務教育を終えて、高校への進学を果たした若者のなかに“中学4年生”がいます。それを感じるのは、高校進学の選択が“他立的”である場合です。ただ、自分自身を振り返れば、やはり、“他立的”であったと思います。加えて、「中学を卒業したら高校へ進学するものだ」と疑いなく考えてもいました。私も、しっかりと“中学4年生”を経験していたわけです。

「なぜ高校に進学するのか」について、当時、明確な答えを持っていなかったと思います。しかし、「なぜその高校なのか」については理由がありました。中学の部活(サッカー部でした)の顧問と何度も相談し、自分の学力で入れる範囲のなかから自分が望み、かつ、顧問から見て、私に適しているだろう部活のある高校を選択したという理由です。

“中学4年生”が“高校1年生”になるには何が必要なのでしょうか。私は二つあると思います。ひとつは、自分がその「場」にいることを説明できること。周囲が聞いたら「えっ」と思う説明でも、自分なりに腑に落ちていればよいと思います。もうひとつは、その「場」にいられるのは、多くの場合、自分だけのチカラでないことを理解していること。授業料は誰が払ってくれているのか。保護者からの授業料はもちろんですが、税金だって使われています。お金のことのみならず、先生や地域の方々も学校という「場」を支えてくださっているはずです。それが理解できれば、「みんなが行くから」とか、「親が行けといった」などという言葉が簡単には出てこないはずです。

私は、“中学4年生”という現象は、大人の側にも責任があると言いました。それは大人の側が、彼ら/彼女らに対していろいろな「なぜ」「どうして」を質問することで、自分のいられる「場」への理解を促していないのではないかという疑問があるからです。質問されれば考えます。そのようなきっかけを皆で創り出す、そういう社会を創り出さなければならないのではないでしょうか。

工藤 啓
くどう けい

特定非営利活動法人「育て上げ」ネット理事長。1977年6月2日東京生まれ。大学中退後渡米。帰国後、ひきこもり、ニート、フリーター等の就労支援団体「育て上げ」ネット設立。2004年5月NPO法人化、現在に至る。
2005年…内閣府「若者の包括的な自立支援方策に関する検討会」委員/厚生労働省「キャリア・コンサルティング導入・展開事例検討委員会」委員/文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員/埼玉県「ニート対策検討委員会」委員/福島県「若者としごと」研究会アドバイザー/立川市教育委員会立川市学校評議員
著書「大卒だって無職になる」(エンターブレイン)、「ニート支援マニュアル」(PHP研究所)ほか

NPO法人「育て上げ」ネット
Lineup

【2015年 掲載】
84 親とのコミュニケーション~76

【2014年 掲載】
75 もし自分だったらどうする?~67

【2013年 掲載】
66 一声かける勇気~60

【2012年 掲載】
59 進学と奨学金~53

【2011年 掲載】
52 非日常下の成長~46

【2010年 掲載】
45 卒後生活への不安~37

【2009年 掲載】
36 仕事につながるナナメの関係~28

【2008年 掲載】
27 学校を辞めるということ~19

【2007年 掲載】
18 仕事を変えるとき~9

【2006年 掲載】
8 感情と積極性~1