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被災地貢献のカタチ
~現地に行けない若者たち~


工藤 啓
更新:2011/10/11

東日本大震災から半年が経過し、復興の兆しがはっきり見える地域もあれば、まだまだ支援の手が届かずに苦しい状況が続いている地域もあります。ひとりの国民として微力であっても復興への協力、貢献を続けていきたいと考えています。

多くの社会人や学生が被災地に入り、炊き出しなど被災者のために行動し、津波が運んだ泥を自宅から撤去する泥出し作業に取り組むなど、いまも現地で活動されています。隣人の名前も知らない地域社会になってきているとか、助け合いの精神が“昔に比べて”希薄になっているなど、過去そうであった時代と比較をしていまの若者にいろいろな言葉が投げかけられます。しかし、自らの力を社会のために使いたいというひとたちは世代に関わらずたくさんいることに改めて社会は気づいたのではないかと思います。

その一方で、大変な被害を受けた地域や人々のために何か貢献したいと思っていても、環境や状況が現地に行くことを許さず、悶々とした気持ちで日常を過ごしている若者にたくさん出会います。

現地に行きたいのに「危ないから」という理由で保護者から許可をもらえない女子高生は、「同じ高校生が被災地でボランティア活動をしているのに、一緒に行くことができない自分が許せないんです」と語気を荒げて話してくれました。断続的に訪れる地震速報にわが子を心配する保護者の気持ちも理解できます。他方で、友人らが現地に続々と入っていくことを見ていることしかできない自分が情けなく感じることもまた共感できるところであります。

私がご支援差し上げている若者も現地での貢献を希望しながら、体調不良や心の病などにより被災地に駆け付けられないものがたくさんいます。ある男性は「普段、誰の役にも立っていないのだからこんなときくらいは…」と伏し目がちに話してくれました。きっと若者に限らず、さまざまな理由で現地の役に立ちたいけれども、という心情の方がいらっしゃると思います。私は仮に現地に行くことができなくとも、“いまいる場所”で貢献できる方法がたくさんあるのではないかと思っています。

工藤 啓
くどう けい

特定非営利活動法人「育て上げ」ネット理事長。1977年6月2日東京生まれ。大学中退後渡米。帰国後、ひきこもり、ニート、フリーター等の就労支援団体「育て上げ」ネット設立。2004年5月NPO法人化、現在に至る。
2005年…内閣府「若者の包括的な自立支援方策に関する検討会」委員/厚生労働省「キャリア・コンサルティング導入・展開事例検討委員会」委員/文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員/埼玉県「ニート対策検討委員会」委員/福島県「若者としごと」研究会アドバイザー/立川市教育委員会立川市学校評議員
著書「大卒だって無職になる」(エンターブレイン)、「ニート支援マニュアル」(PHP研究所)ほか

NPO法人「育て上げ」ネット
Lineup

【2015年 掲載】
84 親とのコミュニケーション~76

【2014年 掲載】
75 もし自分だったらどうする?~67

【2013年 掲載】
66 一声かける勇気~60

【2012年 掲載】
59 進学と奨学金~53

【2011年 掲載】
52 非日常下の成長~46

【2010年 掲載】
45 卒後生活への不安~37

【2009年 掲載】
36 仕事につながるナナメの関係~28

【2008年 掲載】
27 学校を辞めるということ~19

【2007年 掲載】
18 仕事を変えるとき~9

【2006年 掲載】
8 感情と積極性~1