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被災地貢献のカタチ
~東京から被災地を支援する~


工藤 啓
更新:2011/10/24

現地に行くことができなくてもできる貢献で真っ先に浮かぶのは募金や物資の提供でしょう。私もJustGiving Japanという、誰でもネットを通じて寄付を募れるサイトを使って支援金を募りました。また、被災地のNPOと連携をして不足する物資の提供を呼び掛けたりもしました。少しでも寄与できればと思っての行動ですが、多くの方が募金などはされており、もう少し目に見える貢献を望んでいるのではないかと思います。

そんなとき私のNPOで働く社員から提案を受けました。「津波で流され汚れてしまった写真を洗い、アルバムに整理して持ち主に返す活動をされているところがボランティアを探しています」と言うのです。これなら東京でもできることだと早速連絡を取り、活動に参加させていただくことにしました。

ダンボールに入ったたくさんの写真は泥や埃にまみれており、その汚れを水で洗い、乾燥させてアルバムへ納めます。地味な作業ではありますが、一枚一枚の写真に家族旅行やピースサインで映る元気な子どもの笑顔があります。それぞれの写真がご家族のもとに帰ることを祈りながら手を動かします。

現地に行くことができない若者も、写真を洗っては乾燥の作業を繰り返すなかで“誰かの役に立てる自分”に安堵し、悶々とした感情が晴れていくことを実感します。彼らの、いつも以上に一生懸命な姿にはとても感銘を受けました。

この作業は一階オフィスのドア付近で行っているのですが、その前を通る地域の方々も「いったい何をしているのか」と足を止めて見学します。「よろしかったらご一緒にどうですか」と声掛けすると、喜んで作業に参加してくださいます。また、写真の郵送料はボランティアの持ち出しであることを知ると、お財布から大切なお金を出して「これを使ってください」とご寄付くださることもあります。

私は、被災地にて復興に寄与する方々を尊敬します。それと同じように、遠く離れた東京で一枚一枚の写真を丁寧に洗う方々も素晴らしい貢献であると考えます。被災地貢献には多様なカタチがあり、自らができることを地道に、丁寧に行っていくことが一刻も早い復興への手助けになると信じています。

工藤 啓
くどう けい

特定非営利活動法人「育て上げ」ネット理事長。1977年6月2日東京生まれ。大学中退後渡米。帰国後、ひきこもり、ニート、フリーター等の就労支援団体「育て上げ」ネット設立。2004年5月NPO法人化、現在に至る。
2005年…内閣府「若者の包括的な自立支援方策に関する検討会」委員/厚生労働省「キャリア・コンサルティング導入・展開事例検討委員会」委員/文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員/埼玉県「ニート対策検討委員会」委員/福島県「若者としごと」研究会アドバイザー/立川市教育委員会立川市学校評議員
著書「大卒だって無職になる」(エンターブレイン)、「ニート支援マニュアル」(PHP研究所)ほか

NPO法人「育て上げ」ネット
Lineup

【2015年 掲載】
84 親とのコミュニケーション~76

【2014年 掲載】
75 もし自分だったらどうする?~67

【2013年 掲載】
66 一声かける勇気~60

【2012年 掲載】
59 進学と奨学金~53

【2011年 掲載】
52 非日常下の成長~46

【2010年 掲載】
45 卒後生活への不安~37

【2009年 掲載】
36 仕事につながるナナメの関係~28

【2008年 掲載】
27 学校を辞めるということ~19

【2007年 掲載】
18 仕事を変えるとき~9

【2006年 掲載】
8 感情と積極性~1