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人生に区切りはない
~在学中でもインドに修行へ~


工藤 啓
更新:2012/06/04

1通のメールをもらいました。都内の大学3年生からです。昨年11月には公認会計士試験に合格し、4年生になる前の3月には内定を貰っています。それも多くの学生が憧れる企業です。メールの文面からは実直な性格で、他者に気遣いと配慮ができるようなイメージを持ちました。

在学中に公認会計士試験に合格し、早い段階で有名企業から内定を得ている学生がなぜ私のところに相談に来るのかはよくわかりませんでした。しかし、興味があったので会ってみることにしました。

彼には夢がありました。日本の未来を変え、誰もが将来に希望や夢が持てる社会をつくりたいという非常に素晴らしい夢です。いつかは自ら起業し、日本社会が抱えるさまざまな課題を持続的な仕組みを持って解決し、夢を実現したいということです。

このような相談を受けたとき、ほんの少しだけ先に生まれた私たちはどのような言葉を伝えるべきでしょうか。在学中に起業するもよし、内定を貰っている企業で経験やネットワークを創るもよし。どのような選択をしても夢につながる手段であり、どれも重要な決断であると私は思いました。

そしてそのようなことを伝えようとしたところ、彼は「すでに卒業に必要な単位を取り終えていますので、インドにある企業で働きながら世界を見てこようと思います。半年ほど」と言うのです。驚きました。長期休みでも、休学でも、学校から与えられたカリキュラムでもなく、自ら主体的に人生を切り開くべく行動し、資格取得も就職(内定)という区切りを自らがつくれるよう考えています。感動すら覚えました。

多かれ少なかれ、誰もが何となくそこに存在している区切りに合わせて生きています。しかし、自らの志や情熱にその区切りが適切でないこともあります。そんなとき、誰かに決められた区切りよりも、自分が信じる道を歩むことを優先し、心の赴くままに行動していく若者たちを私は応援していきたいと思っています。きっと彼ら/彼女らはいまよりもずっと良い、新しい社会のつくり手、担い手になる人材になり得ると考えるからです。

工藤 啓
くどう けい

特定非営利活動法人「育て上げ」ネット理事長。1977年6月2日東京生まれ。大学中退後渡米。帰国後、ひきこもり、ニート、フリーター等の就労支援団体「育て上げ」ネット設立。2004年5月NPO法人化、現在に至る。
2005年…内閣府「若者の包括的な自立支援方策に関する検討会」委員/厚生労働省「キャリア・コンサルティング導入・展開事例検討委員会」委員/文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員/埼玉県「ニート対策検討委員会」委員/福島県「若者としごと」研究会アドバイザー/立川市教育委員会立川市学校評議員
著書「大卒だって無職になる」(エンターブレイン)、「ニート支援マニュアル」(PHP研究所)ほか

NPO法人「育て上げ」ネット
Lineup

【2015年 掲載】
84 親とのコミュニケーション~76

【2014年 掲載】
75 もし自分だったらどうする?~67

【2013年 掲載】
66 一声かける勇気~60

【2012年 掲載】
59 進学と奨学金~53

【2011年 掲載】
52 非日常下の成長~46

【2010年 掲載】
45 卒後生活への不安~37

【2009年 掲載】
36 仕事につながるナナメの関係~28

【2008年 掲載】
27 学校を辞めるということ~19

【2007年 掲載】
18 仕事を変えるとき~9

【2006年 掲載】
8 感情と積極性~1