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孤立しやすいとき
~夏休み~


工藤 啓
更新:2012/10/01

「スネップ」という言葉をご存知でしょうか?「スネップ」とは、他者との接触のない無業者(Solitary Non-Employed Persons)の頭文字をとったものです。総務省の「社会生活基本調査」という調査から

20歳以上59歳以下の在学中でない未婚者で、普段の就業状態が無業のうち、一緒にいたひとが家族以外に一切いなかったひとびと(調査された連続2日間)

無業で孤立しているひとが日本に100万人以上いることがわかりました。ここでは在学中とありますので高校生や大学生などは含まれませんが、在学中でも望まない形で「孤立」している学生もいるのではないかと感じています。

学校には、夏休みや冬休み、春休みと比較的長期間、部活などがない限り登校することのない休みがあります。僕は毎日部活があったので、お休みなのに学校へ行っていましたが、そうではない友人もたくさんいました。

いま、育て上げネットでは小・中学生の居場所のようなもの(学習スペース)を持っています。担当のスタッフより、「夏休みの間はなるべく多く、長く開所したい」と話がありました。理由を聞くと、両親が共働きで、学校もなく、学童や習い事に通うことがない子どもたちのなかに、ほとんどの時間を自宅にひとりで過ごさなければならない子どもたちがいる。彼らが、少しでも寂しくないよう、友人と会える時間と機会を提供したいというものでした。

そこから話が膨らみ、最後はNPO法人トチギ環境未来基地、NPO法人キズキと協働し、ご寄付を募って、2泊3日のキッズ・サマーキャンプを行いました。私は実家が自営業であったため、夏休みはいつも以上に家族といる時間が多かったのですが、共働きが当たり前になったいま、夏休みのような長期のお休みに孤立しやすい子どもたちがいることを知り、少しでも多くの楽しい機会を提供すること。それが大人社会に求められているのだと感じています。

工藤 啓
くどう けい

特定非営利活動法人「育て上げ」ネット理事長。1977年6月2日東京生まれ。大学中退後渡米。帰国後、ひきこもり、ニート、フリーター等の就労支援団体「育て上げ」ネット設立。2004年5月NPO法人化、現在に至る。
2005年…内閣府「若者の包括的な自立支援方策に関する検討会」委員/厚生労働省「キャリア・コンサルティング導入・展開事例検討委員会」委員/文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員/埼玉県「ニート対策検討委員会」委員/福島県「若者としごと」研究会アドバイザー/立川市教育委員会立川市学校評議員
著書「大卒だって無職になる」(エンターブレイン)、「ニート支援マニュアル」(PHP研究所)ほか

NPO法人「育て上げ」ネット
Lineup

【2015年 掲載】
84 親とのコミュニケーション~76

【2014年 掲載】
75 もし自分だったらどうする?~67

【2013年 掲載】
66 一声かける勇気~60

【2012年 掲載】
59 進学と奨学金~53

【2011年 掲載】
52 非日常下の成長~46

【2010年 掲載】
45 卒後生活への不安~37

【2009年 掲載】
36 仕事につながるナナメの関係~28

【2008年 掲載】
27 学校を辞めるということ~19

【2007年 掲載】
18 仕事を変えるとき~9

【2006年 掲載】
8 感情と積極性~1