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孤立しやすいとき
~夏休みを超えた就活生~


工藤 啓
更新:2012/10/22

今年の夏も、多くの学生からインターンシップ希望のご連絡をいただきました。大学の単位になるプログラムを活用する学生もいれば、人づてや、自ら探して連絡をくれる学生もいます。一人ひとり話を聞いていくと、就職のためのインターンシップというよりは、自分の能力や知識、有限の時間を社会のために活用したい。社会課題の解決に取り組んでみたい、という声がとても多いのに驚きます。

ある大学四回生の学生と就職活動について話をしました。彼女は既に内定を獲得しており、卒業論文を書き上げることが直近の課題でした。その一方、同じ大学のみならず、他の大学の友人との関係性、距離感が微妙になっているという話を聞きました。

「自分は夏休み前に内定をいただくことができました。でも、まだ就活を続けている友達とは、夏休みに遊びに行こうという話もし辛く、相手も『気にしなくていいよ』と言ってくれるのですが、やっぱり連絡が取りづらくなってしまって…」

これから夏休みが終わり、後期が始まります。まだまだあきらめずに就活を続ける学生と、既に卒後の進路が決まった学生がどのようにコミュニケーションを取っていくのか。四年生になると卒業論文のこともあるでしょうし、卒業旅行の計画も立て始めるようになるでしょう。

この話を聞いて、私は引き続き就職活動を続ける学生が、学内や家庭、自らのコミュニティから孤立しないよう、それぞれがどのようにかかわるのがいいのかを考えるようになりました。もちろん、下手な気遣いをすることなく、いつものように仲良く学び、笑い合えばいいのだと思います。それでも、当事者同士は互いに配慮せざるを得ないようにも思えます。

育て上げネットは、若者の持続的な社会参加と経済的自立をサポートするための組織ですが、これまでは大学生の就職活動を支援したことがありません。けれども、このような状況を聞き、何か小さくともできることに取り組んで行こうと思っています。

工藤 啓
くどう けい

特定非営利活動法人「育て上げ」ネット理事長。1977年6月2日東京生まれ。大学中退後渡米。帰国後、ひきこもり、ニート、フリーター等の就労支援団体「育て上げ」ネット設立。2004年5月NPO法人化、現在に至る。
2005年…内閣府「若者の包括的な自立支援方策に関する検討会」委員/厚生労働省「キャリア・コンサルティング導入・展開事例検討委員会」委員/文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員/埼玉県「ニート対策検討委員会」委員/福島県「若者としごと」研究会アドバイザー/立川市教育委員会立川市学校評議員
著書「大卒だって無職になる」(エンターブレイン)、「ニート支援マニュアル」(PHP研究所)ほか

NPO法人「育て上げ」ネット
Lineup

【2015年 掲載】
84 親とのコミュニケーション~76

【2014年 掲載】
75 もし自分だったらどうする?~67

【2013年 掲載】
66 一声かける勇気~60

【2012年 掲載】
59 進学と奨学金~53

【2011年 掲載】
52 非日常下の成長~46

【2010年 掲載】
45 卒後生活への不安~37

【2009年 掲載】
36 仕事につながるナナメの関係~28

【2008年 掲載】
27 学校を辞めるということ~19

【2007年 掲載】
18 仕事を変えるとき~9

【2006年 掲載】
8 感情と積極性~1