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大卒だって無職になる
~若者のやる気だけが問題ではない~


工藤 啓
更新:2013/01/21

先日、新しい書籍を出版させていただきました。タイトルは「大卒だって無職になる“はたらく”につまずく若者たち」です。大学や短大、専門学校に進学できるひとが少なかった時代は、大学を卒業して仕事に就けないとは誰も考えませんでした。また、求人数が求職者数よりも多い、経済と景気のよい時期でもありました。

そういう状況のなかで生きてくると、大学を卒業しても仕事に就けないとか、一度会社を辞めるとなかなか再就職が難しい、といういまの日本の状況がどこかでピンとこないのかもしれません。有名な国立大学を卒業しても働き先を見つけられない若者や、大手建設会社に就職したけれど潰れてしまった若者。周りから見ると非の打ちどころがないのだが、働くにあたって見えづらい苦労をしていた若者。

大卒の彼らの話をすると、一部の大人からは「大学まで卒業したのに働けないなんていうことはない。あとは本人のやる気の問題ではないか」という声をいただきます。私が思うのは、働きたい若者に対しての求人が非常に少なく、また、その質も低下していること。そして何より、若者の“やる気”の問題と結論付けても、状況は変わらないし、問題が解決するわけでもないということです。

大学や専門学校への進学を考えるとき、これまでは卒業後の就職まで考えずに学びたい学校を選べばよかったのかもしれません。しかし、就職を強く意識するのであれば、どういう学校が自分にとって必要なカリキュラムを提供してくれるのかをしっかり見ないといけなくなりました。

「とりあえず大学に行っておけばなんとかなる」「みんな進学するから自分もそうする」ではなく、なぜ進学したいのか。その先にどんな将来を見据えるのかを改めて考えてみることも、時には必要でしょう。そういう「なぜ」や、「どうありたいか」を考える癖をつけておくと、何か壁にぶつかったときも長く立ち止まらずに再始動しやすいのではないかと思います。

●大卒だって無職になる“はたらく”につまずく若者たち
(工藤 啓 著/エンターブレイン)

工藤 啓
くどう けい

特定非営利活動法人「育て上げ」ネット理事長。1977年6月2日東京生まれ。大学中退後渡米。帰国後、ひきこもり、ニート、フリーター等の就労支援団体「育て上げ」ネット設立。2004年5月NPO法人化、現在に至る。
2005年…内閣府「若者の包括的な自立支援方策に関する検討会」委員/厚生労働省「キャリア・コンサルティング導入・展開事例検討委員会」委員/文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員/埼玉県「ニート対策検討委員会」委員/福島県「若者としごと」研究会アドバイザー/立川市教育委員会立川市学校評議員
著書「大卒だって無職になる」(エンターブレイン)、「ニート支援マニュアル」(PHP研究所)ほか

NPO法人「育て上げ」ネット
Lineup

【2015年 掲載】
84 親とのコミュニケーション~76

【2014年 掲載】
75 もし自分だったらどうする?~67

【2013年 掲載】
66 一声かける勇気~60

【2012年 掲載】
59 進学と奨学金~53

【2011年 掲載】
52 非日常下の成長~46

【2010年 掲載】
45 卒後生活への不安~37

【2009年 掲載】
36 仕事につながるナナメの関係~28

【2008年 掲載】
27 学校を辞めるということ~19

【2007年 掲載】
18 仕事を変えるとき~9

【2006年 掲載】
8 感情と積極性~1