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大卒だって無職になる
~無職よりも無縁が怖い~


工藤 啓
更新:2013/02/04

拙著「大卒だって無職になる“はたらく”につまずく若者たち」で伝えたかったことはいろいろありますが、少なくとも無職になっている事実は事実として知ってもらう以上に、無職になるよりも、そこから抜け出せない状況に陥ってしまったときの厳しさ、つらさを感じてもらえればと思いました。

極端に言いますと、無職になることはそれほど怖くありません。誰もが憧れた日本を代表する企業がものすごい勢いで社員の数を減らしています。既に誰も、自分が所属している会社なりが未来永劫安泰であるとは考えていないでしょう。むしろ、一度や二度、無職(失業)することは人生で起こり得るサプライズどころか、驚きでもなんでもないかもしれません。

学歴にかかわらず、私が無職になって困っている若者の話を聞いていて思うのは、無職になることよりも、無縁になることのほうがよっぽど怖いということです。無縁とは家族以外のひととの関係が切れてしまうことです。もちろん、家族とも縁がなくなってしまう若者もいます。

もともと、自宅と会社の往復だけで、職場を通じた人間関係しかなかったひともいますし、無職になったことで友人や知人との距離を置くようになったひともいます。そうなると相談をしたり、助けを求めたりできなくなりますし、向こうから助言や情報も入ってこなくなります。インターネットでも情報は取れますが、やはり、信頼できるひとからの情報のほうが安心です。

会社に属するということは、景気が悪くなったり、経営がうまくいかなくなったりで、自分の努力を超えた力が働いて失業することはあります。しかし、仕事の有無とは別に、ひととのつながりを大切にすることは、自らの行動で育める部分はかなり大きいと思います。家族や親族、友人や知人、地域の方々との関係は見えないセーフティーネットになり得ます。うまくいっているときこそ、つながりを強くすること、たくさん持つことに、時間や労力を費やしておきたいものです。

●大卒だって無職になる“はたらく”につまずく若者たち
(工藤 啓 著/エンターブレイン)

工藤 啓
くどう けい

特定非営利活動法人「育て上げ」ネット理事長。1977年6月2日東京生まれ。大学中退後渡米。帰国後、ひきこもり、ニート、フリーター等の就労支援団体「育て上げ」ネット設立。2004年5月NPO法人化、現在に至る。
2005年…内閣府「若者の包括的な自立支援方策に関する検討会」委員/厚生労働省「キャリア・コンサルティング導入・展開事例検討委員会」委員/文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員/埼玉県「ニート対策検討委員会」委員/福島県「若者としごと」研究会アドバイザー/立川市教育委員会立川市学校評議員
著書「大卒だって無職になる」(エンターブレイン)、「ニート支援マニュアル」(PHP研究所)ほか

NPO法人「育て上げ」ネット
Lineup

【2015年 掲載】
84 親とのコミュニケーション~76

【2014年 掲載】
75 もし自分だったらどうする?~67

【2013年 掲載】
66 一声かける勇気~60

【2012年 掲載】
59 進学と奨学金~53

【2011年 掲載】
52 非日常下の成長~46

【2010年 掲載】
45 卒後生活への不安~37

【2009年 掲載】
36 仕事につながるナナメの関係~28

【2008年 掲載】
27 学校を辞めるということ~19

【2007年 掲載】
18 仕事を変えるとき~9

【2006年 掲載】
8 感情と積極性~1