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つまずかない大学選びのルール
~つまずく可能性があることを知っておく~


工藤 啓
更新:2013/04/22

大学に限らず、就職や起業を選択しても必ず何かしらの壁にあたります。つまずきます。つまずかないようにしっかり準備をすることは言うまでもありませんが、つまずいたときすぐに身体を起こせることも大切なことです。

前回紹介した「つまずかない大学選びのルール」(山本繁著/ディスカヴァートゥエンティワン)では、新しい環境になって困らないようにしておくべき5つのことを紹介しています。

(1)大学内に居場所をつくる
(2)人とのかかわり方を学ぶ
(3)大学での勉強の仕方を学ぶ
(4)大学生活の目標を考える
(5)自ら動き出す

この5つは啓発的な言葉ではなく、実際に“つまずいてしまったひと”のつまずきポイントを調べたからこその言葉です。私は、大学や仕事でつまずいてしまったひとが、もう一度やり直すことを支援していますが、「本当にその通りだな」と思います。

高校までの生活とは異なり、大学や社会に出ると担任の先生があれこれやってくれることはありません。体育祭や文化祭、修学旅行のように誰もが参加する行事が十分に準備されていることもありません。

そのうえでつまずきやすいひとは(1)と(2)が苦手です。自分の居場所は自分で見つけなければなりません。また、年齢や経験の異なるひとたちと一緒になること、かかわり方がわからなかったり、苦手なままであったりするととても苦労します。毎日通う場所で気心を許せるひとが誰もいないと、そこに行くことがつらくなります。

ある男子大学生は、大学一年生の春にうまく友人を作れないまま、自宅と学校の往復で過ごしてきました。しかし、就職活動をする時期になって気が付いたのは、周囲から情報がまったく入ってこないことです。就活は大変な量の情報と格闘しなければなりません。100の情報があったとき、ひとりだと100を処理しなければなりませんが、50人の友人がいれば、ひとりが2の情報を処理してシェアすればいいわけです。

でも、それができないので勉強をしながら就活もする。情報を処理し切れなくなって臨んだ就活も結局うまくいきませんでした。彼の努力が足りなかったのではありません。大学というまったく新しい環境にうまく馴染むために重要な最初の春につまずいてしまったのです。

これから新しい学年へ進級したり、大学や専門学校に進学したり、職場に入っていく時期です。ぜひ、過去につまずいてしまったひとたちと同じ苦労をしないよう、しっかりと準備と行動をしてほしいと思います。また、周囲の大人はその準備をサポートできるよう、同じく準備をしていきたいですね。

工藤 啓
くどう けい

特定非営利活動法人「育て上げ」ネット理事長。1977年6月2日東京生まれ。大学中退後渡米。帰国後、ひきこもり、ニート、フリーター等の就労支援団体「育て上げ」ネット設立。2004年5月NPO法人化、現在に至る。
2005年…内閣府「若者の包括的な自立支援方策に関する検討会」委員/厚生労働省「キャリア・コンサルティング導入・展開事例検討委員会」委員/文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員/埼玉県「ニート対策検討委員会」委員/福島県「若者としごと」研究会アドバイザー/立川市教育委員会立川市学校評議員
著書「大卒だって無職になる」(エンターブレイン)、「ニート支援マニュアル」(PHP研究所)ほか

NPO法人「育て上げ」ネット
Lineup

【2015年 掲載】
84 親とのコミュニケーション~76

【2014年 掲載】
75 もし自分だったらどうする?~67

【2013年 掲載】
66 一声かける勇気~60

【2012年 掲載】
59 進学と奨学金~53

【2011年 掲載】
52 非日常下の成長~46

【2010年 掲載】
45 卒後生活への不安~37

【2009年 掲載】
36 仕事につながるナナメの関係~28

【2008年 掲載】
27 学校を辞めるということ~19

【2007年 掲載】
18 仕事を変えるとき~9

【2006年 掲載】
8 感情と積極性~1