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調べてみること
~「みんな」って何人?~


工藤 啓
更新:2013/10/07

テレビとかネットを眺めていると、「なんと、82%のひとが使っています!」とか、「3人に1人が選んでいます!」といった数字やコメントが出てきます。ボーっとしていると、「えっ、そんなにたくさんのひとが?」と思ってしまいます。しかし、そんなときこそ、驚きの数字がどのように算出されたのかを調べてみたいものです。

私は、「一般的に~」や「みんな使っているよ」という言葉に反応してしまいます。友人と何気ない会話をしているときも、「みんな」と聞くと、「そのみんなって誰? 何人くらいのこと?」と聞いてしまいます。それは相手の友達5人くらいかもしれませんし、仕事仲間10人かもしれません。日本人の1%(1,000万人以上!)ということもあるでしょう。

その「みんな」が示す人数や数量はどれくらいでもかまいません。ただ、3人に1人が選んでいるとき、3人のうち1人なのか、30万人のうち10万人なのかが知りたいのです。たった1人が選んでも33%、10万人が選んでいても33%です。同じ33%でも、選んでいる人数は全然違います。

「一般的に~」も同じです。一般というと何やら世界とか国といった本当に大きな範囲で“当たり前”として共有されているように思ってしまいます。そんなに当たり前のことを知らない自分は、なんて世間知らずなのだろうと感じがちです。

しかし、その「一般」もよくよく聞いてみると、そのひとの友達コミュニティだったり、インターネットで見ている一部のサイトだったり、都道府県や市区町村の範囲だったりします。使っている側に悪気はないでしょうし、私もふとした瞬間に使ってしまう言葉です。それでも、なんだか自分だけが知らないのかなと思うのではなく、どれくらいのひとたちの間で話題になっていることなのか、いわゆる「母数」に興味を持って調べてみると、案外、狭い世界のなかで当たり前であっても、自分を含むほとんどのひとは知りようがないことだったりします。

そういう意味で、曖昧な言葉を真に受けるのではなく、一呼吸置く意味を含めて、調べてみる癖をつけておくのは大切なことだと思います。ただ、無意識に使っていることもありますので、あんまりそのような言葉が出るごとに、相手に問い詰めるようなことはやめましょう。

工藤 啓
くどう けい

特定非営利活動法人「育て上げ」ネット理事長。1977年6月2日東京生まれ。大学中退後渡米。帰国後、ひきこもり、ニート、フリーター等の就労支援団体「育て上げ」ネット設立。2004年5月NPO法人化、現在に至る。
2005年…内閣府「若者の包括的な自立支援方策に関する検討会」委員/厚生労働省「キャリア・コンサルティング導入・展開事例検討委員会」委員/文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員/埼玉県「ニート対策検討委員会」委員/福島県「若者としごと」研究会アドバイザー/立川市教育委員会立川市学校評議員
著書「大卒だって無職になる」(エンターブレイン)、「ニート支援マニュアル」(PHP研究所)ほか

NPO法人「育て上げ」ネット
Lineup

【2015年 掲載】
84 親とのコミュニケーション~76

【2014年 掲載】
75 もし自分だったらどうする?~67

【2013年 掲載】
66 一声かける勇気~60

【2012年 掲載】
59 進学と奨学金~53

【2011年 掲載】
52 非日常下の成長~46

【2010年 掲載】
45 卒後生活への不安~37

【2009年 掲載】
36 仕事につながるナナメの関係~28

【2008年 掲載】
27 学校を辞めるということ~19

【2007年 掲載】
18 仕事を変えるとき~9

【2006年 掲載】
8 感情と積極性~1