65-2

調べてみること
~進学先の就職率は?~


工藤 啓
更新:2013/10/21

高校3年生はこれから進学先を絞り込み、さまざまな入試に向けて準備をされている頃だと思います。大学に進学するにせよ、専門学校に進学するにせよ、来年度以降に学んでいく学部・学科や専門領域をしっかり選んでいかなければなりません。特に、憧れの大学に学びたい学部がない場合や、その逆のパターンに直面すると大変迷われると思います。

ご存知の通り、近年、若い世代にとって正社員で就職することは大変難しくなっています。人気企業の倍率は高く、非常に狭き門です。それ以前に自分がやりたい仕事や、追及したい分野を決断することも大変です。そんな状況が長く続くなかで、進学希望先の学校の「就職率」がどれくらいか気になるのではないでしょうか。

テレビや新聞では、「今春大学を卒業する学生の内定率は○○%です」という数字を流しています。各学校も「卒業生の就職率○○%!」とPRされているのではないでしょうか。どれも80%とか90%を超えていて、「おっ、なんだかんだで就職できそうじゃないか」と感じるかもしれません。

そんなときも少し調べるだけでそれらの数字の意味を理解することができます。例えば、「就職率」と「就職(内定)率」は異なります。就職率とは、就職が決まった学生の数を卒業する学生の数で割って出します。もし、卒業後に就職するのではなく、大学院などに進学する学生が多いと、就職率は下がり(低く見え)ます。卒業者の50%が進学をして、もう一方の50%が全員就職できたとしても、就職率は50%です。

就職(内定)率の計算式はまた異なります。就職が決まったひとを、“就職を希望する学生”の数で割った数になります。卒業生ではなく、就職希望者だけです。アンケートで「あなたは就職を希望しますか」という項目に○をつけなかったり、そもそもアンケートに答えないひとは入りません。そもそも「希望」するかどうかはその日の気持ちに左右されることもあります。

「(内定)」とは、卒業する前に「内定」をもらったひとのことを指します。この「内定」はひとりで何十個も獲得する学生だっているはずです。よくないことですが、1人の学生が10社から内定をもらったとき、そのひとが就職するのは1社だけなのに、他の9社の数も就職者数に入れて計算しているような学校もあると聞きますし、本当は就職内定率なのに、それを就職率と混同して発表している学校も存在するそうです。

少しごちゃごちゃ書きましたが、大学選びのみならず、私たちの目の前にはすごそうな数字がたくさん並びます。しかし、それは何かを計算した「結果」を示しているだけです。それに一喜一憂したり、気持ちが左右されないよう、「結果」ではなく、それを算出した計算式や計算方法を少しだけ調べてみてはいかがでしょうか。もしかしたら、これまでとは全然違った「結果」に気がつくかもしれません。

工藤 啓
くどう けい

特定非営利活動法人「育て上げ」ネット理事長。1977年6月2日東京生まれ。大学中退後渡米。帰国後、ひきこもり、ニート、フリーター等の就労支援団体「育て上げ」ネット設立。2004年5月NPO法人化、現在に至る。
2005年…内閣府「若者の包括的な自立支援方策に関する検討会」委員/厚生労働省「キャリア・コンサルティング導入・展開事例検討委員会」委員/文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員/埼玉県「ニート対策検討委員会」委員/福島県「若者としごと」研究会アドバイザー/立川市教育委員会立川市学校評議員
著書「大卒だって無職になる」(エンターブレイン)、「ニート支援マニュアル」(PHP研究所)ほか

NPO法人「育て上げ」ネット
Lineup

【2015年 掲載】
84 親とのコミュニケーション~76

【2014年 掲載】
75 もし自分だったらどうする?~67

【2013年 掲載】
66 一声かける勇気~60

【2012年 掲載】
59 進学と奨学金~53

【2011年 掲載】
52 非日常下の成長~46

【2010年 掲載】
45 卒後生活への不安~37

【2009年 掲載】
36 仕事につながるナナメの関係~28

【2008年 掲載】
27 学校を辞めるということ~19

【2007年 掲載】
18 仕事を変えるとき~9

【2006年 掲載】
8 感情と積極性~1