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考え方
~Glass half empty~


工藤 啓
更新:2014/03/03

家族や友達との関係がうまくいっていないことや学校や職場でもやもやしていることを、誰かに愚痴ってみたり、愚痴られたりします。自分のなかでうまく処理できないことを他人に話すことは精神的によいことであり、必要なことです。一方、カウンセラーでもない限りは、聞き手の立場として「そこまでネガティブにならなくても」と思うことがあります。

昨日、都内のカフェにいたのですが、若い女性が二人話をしていました。どうもお財布を落としてしまったらしく、心当たりのありそうなところに電話をかけています。その後、一緒にいた友人に「もうあきらめるしかないかな」「警察に届けるのではなく、持っていってしまったんじゃないか」と話しています。友人も丁寧に耳を傾けていました。

お財布には現金やクレジットカードが入っているかもしれませんし、免許証なども入れている場合があるでしょう。お金を失うことに加えて、クレジットカードや免許証は誰かがよくないことに使ってしまうリスクもありますし、何より一時的に止めたり、再発行するためにいろいろ面倒な手続きが必要になります。

客観的に見ると、カフェで友人に話をしているくらいなら、警察に届けたり、心当たりあるところに探しに行ってみたり、場合によってはクレジットカードなどが誰かに使われないよう対策を講じたりしたほうがいいように思います(既にしていたのかもしれませんが…)。

しかし、彼女がお財布をなくしてしまったことを楽観視せず、悲観的に捉えて友人に伝えることで、自らまたは友人が、「あそこにあるかもしれない」「ここにも電話してみよう」と次々にやるべきことが発見、整理されていっていました。

コップに半分入った水をみて、「半分“しか”水がない(Glass half empty)」という思考は一見ネガティブに見えますが、むしろ、慎重な性格であることや、常に最悪のケースを想定して物事を見ることができる、など肯定的に捉えることもできます。

物事の捉え方や考え方はひとそれぞれですが、“その捉え方”、“その考え方”そのものを肯定的に見、考えることもまた考え方のひとつなのだと思います。

工藤 啓
くどう けい

特定非営利活動法人「育て上げ」ネット理事長。1977年6月2日東京生まれ。大学中退後渡米。帰国後、ひきこもり、ニート、フリーター等の就労支援団体「育て上げ」ネット設立。2004年5月NPO法人化、現在に至る。
2005年…内閣府「若者の包括的な自立支援方策に関する検討会」委員/厚生労働省「キャリア・コンサルティング導入・展開事例検討委員会」委員/文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員/埼玉県「ニート対策検討委員会」委員/福島県「若者としごと」研究会アドバイザー/立川市教育委員会立川市学校評議員
著書「大卒だって無職になる」(エンターブレイン)、「ニート支援マニュアル」(PHP研究所)ほか

NPO法人「育て上げ」ネット
Lineup

【2015年 掲載】
84 親とのコミュニケーション~76

【2014年 掲載】
75 もし自分だったらどうする?~67

【2013年 掲載】
66 一声かける勇気~60

【2012年 掲載】
59 進学と奨学金~53

【2011年 掲載】
52 非日常下の成長~46

【2010年 掲載】
45 卒後生活への不安~37

【2009年 掲載】
36 仕事につながるナナメの関係~28

【2008年 掲載】
27 学校を辞めるということ~19

【2007年 掲載】
18 仕事を変えるとき~9

【2006年 掲載】
8 感情と積極性~1