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残る仕事、残らない仕事
~ひとでないとできない仕事とは~


工藤 啓
更新:2014/06/09

自動運転の「無人自動車」を実用化するといったニュースをよく目にします。車はひとが運転するものと思っていましたが、これが実現すると車、タクシー、トラック、バスなどに加え、さまざまな「乗り物」は、ひとが運転をしなくてもよくなります。運転免許はなくなるかもしれません。

自動車に限らず、身の回りでもこれまでひとが行っていたものが、無人になっているものに気がつきます。例えば、スーパーやコンビニでは、自分で商品バーコードを読み取り、支払いを済ませられるものが増えましたし、毎日使っている駐輪場も自分でお金を払って出し入れしています。いまでは切符を買うことも少なくなり、改札もカードで読み取るだけです。

これまではひとがいなければできなかったことも、いまではひとがいなくてもできる。つまり、そのような仕事はなくなる可能性が高い、もしくは、トラブルに備えて一人だけ部屋で待機しているようになるということです。工場などもロボット化が進み、巨大な工場でたくさんの製品が製造されているにも関わらず、そこにいるひとの数はごくわずかということも当たり前になってきています。

逆に、これから残っていく仕事はひとでないとできない、またはロボットでもできるけれどひとであったほうがよいものが残っていきます。ひとつは何かを「創る」ことが考えられます。「こんなものがあったらいいな」と想像したものを実際に「創造」することです。前回のコーディングが重要だと認識されているのはこれにあたるのでしょう。

また、レストランのウェイター/ウェイトレス、介護などはどうでしょうか。ロボットでもできそうですが、多くのひとが「やっぱりひとにやってほしい」と思いやすい仕事かもしれません。一方、これらのサービス業は一部の特別な仕事を除いて、アルバイトやパート、あまり高くない給与で働くひとが、いまは担っています。もちろん、このような仕事の価値(給与を含む)をあげていくことも重要かもしれませんが、そのためには現在のサービスに、より高いお金を支払うことになるかもしれません。誰もが「少しでも安く」と考えていたら難しいでしょう。

これからどのような仕事がなくなるのかはわかりませんが、なくなりそうな仕事は調べれば何となくわかります。また、なくならない仕事に就くためにはどのような知識や経験、技能や技術が必要かも調べると書いてあります(真意はともかく)。

一方、ひとでないとできない仕事を大切に残していかなければならないとしたら、それは一人ひとりがそのためにどうしたらいいのかを考え、ひとりの消費者以上の視点で発言や行動をしなければなりません。

少なくとも、いま目の前にあることは、20年後、30年後はかなり変化します。その変化に無関心でいるのではなく、想像力を働かせながら自分はどうしていきたいかを考えるというのはとても大切なことだと思います。

工藤 啓
くどう けい

特定非営利活動法人「育て上げ」ネット理事長。1977年6月2日東京生まれ。大学中退後渡米。帰国後、ひきこもり、ニート、フリーター等の就労支援団体「育て上げ」ネット設立。2004年5月NPO法人化、現在に至る。
2005年…内閣府「若者の包括的な自立支援方策に関する検討会」委員/厚生労働省「キャリア・コンサルティング導入・展開事例検討委員会」委員/文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員/埼玉県「ニート対策検討委員会」委員/福島県「若者としごと」研究会アドバイザー/立川市教育委員会立川市学校評議員
著書「大卒だって無職になる」(エンターブレイン)、「ニート支援マニュアル」(PHP研究所)ほか

NPO法人「育て上げ」ネット
Lineup

【2015年 掲載】
84 親とのコミュニケーション~76

【2014年 掲載】
75 もし自分だったらどうする?~67

【2013年 掲載】
66 一声かける勇気~60

【2012年 掲載】
59 進学と奨学金~53

【2011年 掲載】
52 非日常下の成長~46

【2010年 掲載】
45 卒後生活への不安~37

【2009年 掲載】
36 仕事につながるナナメの関係~28

【2008年 掲載】
27 学校を辞めるということ~19

【2007年 掲載】
18 仕事を変えるとき~9

【2006年 掲載】
8 感情と積極性~1