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寄付を通じて社会を知る
~お年玉を少しだけ未来のために~


工藤 啓
更新:2015/01/13

私には二人の小さな子どもがいます。第一子は少しだけお金の概念がわかるような年齢になりました。「お金とは何か」ということまでは理解できていませんが、何か書いてある紙や丸くて硬いものを渡すと、自分が欲しいおもちゃをもらうことができる、というレベルです。

お正月には、お年玉を祖父母や親せきからもらえます。誕生日は親から、クリスマスはサンタさんがプレゼントをくれますが、お正月だけはお年玉で好きなものを自分で獲得できることを知っているので、一年中、「お年玉をもらったら○○を買うんだ!」と話しています。ちなみに、今年はプラレールの700系新幹線を手に入れていました。

いまのところ、子どもにとってのお金は自分が純粋に欲しいものと交換できる「何か」という位置づけですが、中学生や高校生になると純粋に欲しいものの他に、「何かのために」物品やサービスの購入を考えるようになるでしょう。すぐに物事が調べられたり、友人とコミュニケーションを取るためにスマホを買い替えたり、知識を得るために書籍を購入したり、外出が楽しくなるように洋服やアクセサリーを買ったりと。

せっかくなので、私は目の前にあるお金のうち少しだけ、自分の生活に負担がない金額でいいので、「社会を知るために寄付」してみることを提案したいと思います。大切なのは街頭募金やお店のレジ近くにあるボックスに漫然と大切なお金を投じるのではなく、身近な生活の中で気がついた「問題」を探してはどうでしょうか。

テレビで難病と闘う子どもを見たでもいいですし、ネットで捨てられたペットの行く末を知ったでも構いません。いま東北はどうなっているんだろうとか、自宅の近くにある不法投棄されたゴミについてでもいいと思います。何か「これは問題だな」とか「誰がどうしているんだろう」と感じたら、例えば、「難病」「子ども」「東北」「ゴミ」と検索サイトに入れて、その後に「寄付」と入れてみてください。きっとその問題を解決しようとしている個人や団体が寄付を募っているはずです。

そこでヒットしたサイトをいくつか見ているなかで、ちょっと面白い活動をしているとか、応援したくなるプロジェクトが見つかるかもしれません。そこで留まらず、自分のできる範囲で寄付をしてみると、(個人や団体によりますが)御礼のメールや手紙、ノベルティグッズ、活動報告書などが手元に届くと思います。自分の寄付したお金がどのような活動に変わり、誰/何がどうなったのかが見えてくると思います。

そこで二つの未来が得られるはずです。ひとつは、社会問題が解決されるという未来。もうひとつは、これまで関心のあった課題をいま以上に知っている自分という未来です。大切なのは金額ではなく、新しい一年の始まりにあたって、これまでやってみなかったことにチャレンジしてみた「行動そのもの」に価値があり、その価値が未来の価値を創ることにつながっているということです。

お金はとても大切なものですので、その活用の仕方も改めて考えてみられてはいかがでしょうか。

※寄付を募っている個人や団体に寄付される場合には、慎重に精査をしてください。不安なときには電話をかけたりして、自分が信頼できる先なのかを確認してください。

工藤 啓
くどう けい

特定非営利活動法人「育て上げ」ネット理事長。1977年6月2日東京生まれ。大学中退後渡米。帰国後、ひきこもり、ニート、フリーター等の就労支援団体「育て上げ」ネット設立。2004年5月NPO法人化、現在に至る。
2005年…内閣府「若者の包括的な自立支援方策に関する検討会」委員/厚生労働省「キャリア・コンサルティング導入・展開事例検討委員会」委員/文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員/埼玉県「ニート対策検討委員会」委員/福島県「若者としごと」研究会アドバイザー/立川市教育委員会立川市学校評議員
著書「大卒だって無職になる」(エンターブレイン)、「ニート支援マニュアル」(PHP研究所)ほか

NPO法人「育て上げ」ネット
Lineup

【2015年 掲載】
84 親とのコミュニケーション~76

【2014年 掲載】
75 もし自分だったらどうする?~67

【2013年 掲載】
66 一声かける勇気~60

【2012年 掲載】
59 進学と奨学金~53

【2011年 掲載】
52 非日常下の成長~46

【2010年 掲載】
45 卒後生活への不安~37

【2009年 掲載】
36 仕事につながるナナメの関係~28

【2008年 掲載】
27 学校を辞めるということ~19

【2007年 掲載】
18 仕事を変えるとき~9

【2006年 掲載】
8 感情と積極性~1