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進路とお金を考える
~奨学金を考えていますか~


工藤 啓
更新:2015/03/09

1年後、2年後に高校を卒業した後、進学をする高校生は7割くらいです。いまは進学者の半分くらいが奨学金を借りて進学をしています。先日、「奨学金返せず自己破産、40歳フリーター月収14万円『283万円払えない』」というニュースが流れ、奨学金について改めて話題となりました。

自己破産をした男性は学生時代に病気となり就職ができず、借りた奨学金(学生ローンという借金)を返そうと、二つのアルバイトを掛け持ちしながら、家族に仕送りと奨学金の返済をしていましたが、とうとう返済ができなくなってしまったと記事にはあります。

お金を借りたなら返すのが当たり前だと考えるかもしれません。ただ、返そうと努力をしながらも、病気や怪我、失業などで返済ができなくなってしまうひとがいるのもまた事実です。

そんななかで、日本学生支援機構という奨学金を出している団体が、奨学金返済を延滞する/延滞せざるを得ないひとの調査結果を発表しました。

そのなかで表1-2に注目しました。奨学金を申請するときに誰が申請書類を作成したのかというものです。そこには奨学金を延滞していないひとのうち約60%が本人自ら申請書類を作成していました。一方、奨学金を延滞したひとの約40%が申請書類を自分で作成しておらず、親や祖父母が代わりに書いていたことがわかりました。

もちろん、自分で書いても延滞することになってしまうひともいれば、家族が代筆しても延滞しないで返済を続けるひともいます。しかし、この調査で興味深いのが、奨学金という未来の自分からの借金について、その書類作成をしていない高校生が半分以上いるということです。

将来、大学などを卒業してから何年間、毎月いくらを返済していくことになるのかわからないままでいることはとても危険なことです。もちろん、返すことが難しくなることは誰にでもありますので、そういう場合には何らかのサポートが必要です。しかし、自分のお金のこと、借金のことについて無知であることは、本当に困ったときにどうしたらいいのかわからなくなってしまうのではないかと少し心配です。

もし進学に際して奨学金を考えているのであれば、家族の力を借りながらも、自分の申請書類の作成にちゃんとかかわるようにすることが大切だと思います。

■日本学生支援機構「平成24年度奨学金の延滞者に関する属性調査結果」

工藤 啓
くどう けい

特定非営利活動法人「育て上げ」ネット理事長。1977年6月2日東京生まれ。大学中退後渡米。帰国後、ひきこもり、ニート、フリーター等の就労支援団体「育て上げ」ネット設立。2004年5月NPO法人化、現在に至る。
2005年…内閣府「若者の包括的な自立支援方策に関する検討会」委員/厚生労働省「キャリア・コンサルティング導入・展開事例検討委員会」委員/文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員/埼玉県「ニート対策検討委員会」委員/福島県「若者としごと」研究会アドバイザー/立川市教育委員会立川市学校評議員
著書「大卒だって無職になる」(エンターブレイン)、「ニート支援マニュアル」(PHP研究所)ほか

NPO法人「育て上げ」ネット
Lineup

【2015年 掲載】
84 親とのコミュニケーション~76

【2014年 掲載】
75 もし自分だったらどうする?~67

【2013年 掲載】
66 一声かける勇気~60

【2012年 掲載】
59 進学と奨学金~53

【2011年 掲載】
52 非日常下の成長~46

【2010年 掲載】
45 卒後生活への不安~37

【2009年 掲載】
36 仕事につながるナナメの関係~28

【2008年 掲載】
27 学校を辞めるということ~19

【2007年 掲載】
18 仕事を変えるとき~9

【2006年 掲載】
8 感情と積極性~1