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漫画からの学び
~部活がもっと面白くなる~


工藤 啓
更新:2015/06/08

本や新聞を読みなさいと言われることがあると思います。活字を追うのが好きであれば、誰に言われるともなく読むでしょう。しかし、なかなか読書の時間が取れなかったり、最初の一冊に手が出なかったりすることもあると思います。

私は、読書感想文の宿題を出すためというのを除くと、中学、高校時代はほとんど読書をしませんでしたが、好きだった漫画だけはたくさん読んでいました。大学に入学する際、父親から「なんでもいいから一年間で1,000冊読んだらいいよ」と言われたとき、「そんなに読めるわけないじゃん」と言い返しました。すると「雑誌でも漫画でもいい。新聞や書籍だけに限定する必要はないから」と助言を受けました。

最近の漫画は、ストーリーを考えるひとと、絵を描くひとがわかれているものも少なくありません。ひとりの漫画家が全部考えるのではなく、それぞれの得意なことを持ち寄って協力して作品を作るものもたくさん見かけます。

土日も休みなく、毎日遅くまでグラウンドや体育館で部活をしていると、疲れからなかなか読書しようとは思えないでしょう。大会で勝ち抜くため、自己記録を塗り替えるためなど、目標に向かって頑張っていると思います。活字を読むと眠気に襲われてしまうとしても、漫画なら、自分がやっている部活に関するものだったらどうでしょう。

最近の漫画には、気合と根性、友情によって奇跡の勝利を収めるものだけではなく、スポーツと身体の科学を掛け合わせたものや、試合に勝つ戦略や戦術をわかりやすく表現した漫画も少なくありません。サッカーであれば『フットボールネーション』(大武ユキ著)、テニスなら『ベイビーステップ』(勝木光著)、野球にも『おおきく振りかぶって』(ひぐちアサ著)など多数あります。

スポーツ科学やメンタルトレーニングなどの知見が取り入れられているため、純粋に“うまくなる”ための知識を獲得することもできますが、新しい視点や物事の考え方を知ることで、部活のみならず学校や日常の生活にも生かすことができます。そうなれば部活がもっと面白くなるはずです。

中学生や高校生自身はもちろんですが、ぜひ、子どもたちの成長を見守り、かかわっていく大人にも、「所詮、子どもが読むもの」と思わず、手に取ってみてほしいと思います。きっと新しい子育てや教育の視点に出会えると思います。

工藤 啓
くどう けい

特定非営利活動法人「育て上げ」ネット理事長。1977年6月2日東京生まれ。大学中退後渡米。帰国後、ひきこもり、ニート、フリーター等の就労支援団体「育て上げ」ネット設立。2004年5月NPO法人化、現在に至る。
2005年…内閣府「若者の包括的な自立支援方策に関する検討会」委員/厚生労働省「キャリア・コンサルティング導入・展開事例検討委員会」委員/文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員/埼玉県「ニート対策検討委員会」委員/福島県「若者としごと」研究会アドバイザー/立川市教育委員会立川市学校評議員
著書「大卒だって無職になる」(エンターブレイン)、「ニート支援マニュアル」(PHP研究所)ほか

NPO法人「育て上げ」ネット
Lineup

【2015年 掲載】
84 親とのコミュニケーション~76

【2014年 掲載】
75 もし自分だったらどうする?~67

【2013年 掲載】
66 一声かける勇気~60

【2012年 掲載】
59 進学と奨学金~53

【2011年 掲載】
52 非日常下の成長~46

【2010年 掲載】
45 卒後生活への不安~37

【2009年 掲載】
36 仕事につながるナナメの関係~28

【2008年 掲載】
27 学校を辞めるということ~19

【2007年 掲載】
18 仕事を変えるとき~9

【2006年 掲載】
8 感情と積極性~1