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さりげなく優しい社会
~ヘルプマーク~


工藤 啓
更新:2015/10/26

前回の「マタニティーマーク」の他に、「ヘルプマーク(リンク:東京都福祉保健局/ヘルプマーク)というものがあるのをご存じでしょうか。東京都福祉保健局が作ったもので、以下のように説明されています。

ヘルプマーク
義足や人工関節を使用している方、内部障害や難病の方、または妊娠初期の方など、援助や配慮を必要としていることが外見からは分からない方々が、周囲の方に配慮を必要としていることを知らせることで、援助を得やすくなるよう、作成したマークです。
(引用:東京都福祉保健局「ヘルプマーク」より)

二年前に作られた新しいもので、まだ私は見かけたことがありません。「ヘルプマーク」の意味は、外部からは見えない/見えづらい心身の状態のひとであることを、私たちみんながわかるようにし、援助や配慮をしやすくしていることです。

誰のために作られたかは一目瞭然、私たちがいま以上に他者に配慮し、必要に応じた助け合いができるようにするためです。このようなものを作ることはそれほど難しいことではありませんが、広く知られ、支え合いがここかしこで生まれ、誰もが過ごしやすい生活、生きやすい社会になっていくには、私たち自身の行動が大切になります。

もう20年前になりますが、部活で足の靭帯を損傷してギプスに松葉づえで生活をしたことがありました。傍から見てもわかりやすいものでしたが、電車に乗ればたくさんの方が座席を譲ってくれました。怪我をしていなければ、私が席を譲らなければならないような高齢の女性が優しく声をかけてくれたことが思い起こされます。

高齢であったり、怪我をされているひとに限らず、私たちはよく「困っているのではないか」と思うひとに出会います。本当に困っているのか、助けを必要としているのかはわかりませんので、「助けを申し出て失礼だったらどうしよう」と不安になることもあります。「マタニティーマーク」や「ヘルプマーク」のように、私たちが見えやすいような取り組みはとてもありがたいと思うと同時に、そのようなものがなくとも、失礼であったり、断られたりすることに不安にならず、笑顔でさりげなく「何か手伝えることありますか」と声をかけられる人間でありたいと思います。

■東京都福祉保健局「ヘルプマーク」

工藤 啓
くどう けい

特定非営利活動法人「育て上げ」ネット理事長。1977年6月2日東京生まれ。大学中退後渡米。帰国後、ひきこもり、ニート、フリーター等の就労支援団体「育て上げ」ネット設立。2004年5月NPO法人化、現在に至る。
2005年…内閣府「若者の包括的な自立支援方策に関する検討会」委員/厚生労働省「キャリア・コンサルティング導入・展開事例検討委員会」委員/文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員/埼玉県「ニート対策検討委員会」委員/福島県「若者としごと」研究会アドバイザー/立川市教育委員会立川市学校評議員
著書「大卒だって無職になる」(エンターブレイン)、「ニート支援マニュアル」(PHP研究所)ほか

NPO法人「育て上げ」ネット
Lineup

【2015年 掲載】
84 親とのコミュニケーション~76

【2014年 掲載】
75 もし自分だったらどうする?~67

【2013年 掲載】
66 一声かける勇気~60

【2012年 掲載】
59 進学と奨学金~53

【2011年 掲載】
52 非日常下の成長~46

【2010年 掲載】
45 卒後生活への不安~37

【2009年 掲載】
36 仕事につながるナナメの関係~28

【2008年 掲載】
27 学校を辞めるということ~19

【2007年 掲載】
18 仕事を変えるとき~9

【2006年 掲載】
8 感情と積極性~1