10-2

2007-02-26UP

夢を持つこと(2)


工藤 啓

10-2 〜 1-1

10 夢を持つこと

9 3rd Place

8 感情と積極性

7 デジタルコミュニケーション

6 選択するチカラ

5 父親と母親

4 こんな言葉に要注意

3 自分のミタメ

2 仕事選び

1 生活コスト

連載にあたって

 夢にはいくつかの種類があります。自分にとっては絶対叶えたい願望であり、それをつかむためには努力を惜しまない「夢」。「そうだったらいいなぁ」と思い描くだけで、特にそれに向かって何か行動をするわけではない「夢」。そして、寝ているときに見る「夢」です。でも、なぜか夢を語ることになると、職業(仕事)とリンクしてしまうことが多い気がするのは私だけでしょうか。

 小学校の卒業アルバムなどで、「私の将来の夢」というコーナーがあったりします。サッカー選手であったり、花屋であったり、社長であったり。特に指定があるわけではないけれども、大半の子は「夢」と「職業」を同じものとして考えているようです。中学生、高校生ともなると、これまでは「夢」であったものが、「進路」と形を変えて、「職業」として表れてきます。夢と現実の距離がどんどん縮まり、いつの間にか、現実的に達成可能なものしか夢として受け入れられなくなっているのではないでしょうか。

 最近の若者は、以前と比べ、夢が持ちづらくなっています。プロスポーツ選手は小さいころから英才教育を受けていたり、10代前半で日本代表に選出されていたりすることがインターネットなどでわかってしまいます。大きな会社の社長の経歴などを見ても、有名な大学や、海外での学位などが踊っています。いまの自分の年齢で、夢や目標となる人物がどのような状況にあったのかが、瞬時にわかってしまうため、諦めることがたやすく、自分ができそうなこと、なれそうなものを模索するようになります。

 つまり、チャレンジする前の段階から、自分の夢が到達可能かどうかを判断できてしまうわけです。もちろん、そんなことはチャレンジしてみなければわからないと大人は言うかもしれませんが、実際に若者と話をしていると、大人が良かれと思って話さないリスクを既に知っています。起業のリスク、プロスポーツ選手の引退後の生活、アイドルグループがどれくらい芸能界で活躍し続けられるのか。こうなってしまうと、夢を持つことの是非そのものの問題になり、持たない方が「楽」「賢い」と考えられてしまうのも無理はありません。それは、「夢=職業」と言ったイメージができあがってしまっていることの弊害なのかもしれません。


工藤 啓
くどう けい

特定非営利活動法人「育て上げ」ネット理事長。1977年6月2日東京生まれ。大学中退後渡米。帰国後、ひきこもり、ニート、フリーター等の就労支援団体「育て上げ」ネット設立。2004年5月NPO法人化、現在に至る。

2005年…内閣府「若者の包括的な自立支援方策に関する検討会」委員/厚生労働省「キャリア・コンサルティング導入・展開事例検討委員会」委員/文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員/埼玉県「ニート対策検討委員会」委員/福島県「若者としごと」研究会アドバイザー/立川市教育委員会立川市学校評議員
著書「ニート支援マニュアル」(PHP研究所)