13-2

2007-06-25UP

講座からわかる高校生とフリーター
〜フリーターのメリットは本当か?〜


工藤 啓

27 学校を辞めるということ
27-1 学校を辞めるということ(1)
27-2 学校を辞めるということ(2)

26 インターンシップへの期待
26-1 インターンシップへの期待(1)
26-2 インターンシップへの期待(2)

25 キーワード
25-1 キーワード(1)
25-2 キーワード(2)

24 大人社会を読む
24-1 大人社会を読む(1)
24-2 大人社会を読む(2)

23 働き始めた若者
23-1 働き始めた若者(1)
23-2 働き始めた若者(2)

22 日韓にみるワカモノの実情
22-1 日韓にみるワカモノの実情(1)
22-2 日韓にみるワカモノの実情(2)

21 大切なのはポジショニング
21-1 大切なのはポジショニング(1)
21-2 大切なのはポジショニング(2)

20 シンユウがたくさん
20-1 シンユウがたくさん(1)
20-2 シンユウがたくさん(2)

19 大人への通過儀礼を考える
19-1 大人への通過儀礼を考える(1)
19-2 大人への通過儀礼を考える(2)

18 仕事を変えるとき
18-1 仕事を変えるとき(1)
18-2 仕事を変えるとき(2)

17 もう1つの「働く」価値観
17-1 もう1つの「働く」価値観(1)
17-2 もう1つの「働く」価値観(2)

16 若者とITを考える
16-1 若者とITを考える(1)
16-2 若者とITを考える(2)

15 学校生活
15-1 〜学校ありきの高校生〜
15-2 〜学校ありきでない高校生〜

14 心に響く言葉
14-1 〜不真面目に、でも真剣に〜
14-2 〜思い切ってやれ〜

13 講座からわかる高校生とフリーター
13-1 〜フリーターはメリットいっぱい〜
13-2 〜フリーターのメリットは本当か?〜

12 若者が問題なのか
12-1 〜車両内での出来事〜
12-2 〜とある都市での出来事〜

11 現代版生活の知恵
11-1 現代版生活の知恵(1)
11-2 現代版生活の知恵(2)

 フリーターにはメリットがたくさんある、というイメージを持った高校生に対して、リスクの観点を持っていただくには、一方的に誇張したデメリットを伝えるだけでは困難です。だからこそ、講座運営は参加型にこだわります。彼ら/彼女らが信じるフリーターのメリットに対して、彼ら/彼女ら自身が「本当にメリットなのか?」と疑問を持つ状況を作らなければなりません。

 例えば、「自由に時間を使える」と言うのはどうでしょうか。確かに、自分の働きたい時間だけをシフト希望表に書いて提出すれば、希望に応じた形になるでしょう。そこで、講師は、その他の自由な時間を何に使いたいのか、と質問をします。すると、ほとんどの答えは、「友人と遊ぶ」でした。答えの前提には、自分が休みであれば、みんなも休みというのがあります。そこで、数名に何曜日に休みたいかを聞けば、その答えはバラバラです。周囲が休みである週末と答えることもあれば、お店やアミューズメントパークが空いている平日と答えることもあります。友達と遊ぶための自由な時間に、遊ぶべき相手がいないことに気付くわけです。

 また、「働いた分だけ給料をもらえる」と言うのは、サービス残業への拒否から来ています。サービス残業そのものはとんでもない話ですが、パートやアルバイトで言えば、働いた分しか給料をもらえないわけです。そこで会場に質問をします。

「現場作業で、雨が続いたら?」
「体調を崩したり、病気になってしまったら?」
「友人の結婚式が重なったら?」

 確かに、働いた分だけ給料をもらえるのは事実ですが、一時的に働けない状況になることもあるわけです。すると、「自分は風邪を引きやすいので困る」とか、「学校の忌引きとは違う」という意見が出てきます。そこで、初めて気付き、考えるようになるわけです。フリーターもいいけど、そうでないのもいいのかも、と。

 多数、講座を展開していて思うのは、大人が既に知っていることを壇上から切々と語っても、10代の学生に“自分のこととして”考えてもらうことは正直難しいということです。一方、彼ら/彼女らの意見や考えを出していただき、そこに対する異なる視点もまた、彼ら/彼女らから出してもらう。これだけでも効果はかなりあります。こちら側がすることはほとんどありません。

 講座を通じてわかったこと、それは高校生の考えるフリーターは、比較的都合のよい情報だけで作られたイメージによるものであり、そのイメージに刺激を与えるためには、彼ら/彼女ら自身の意見を集約して、問題意識を持ってもらうのが効果的だということです。


工藤 啓
くどう けい

特定非営利活動法人「育て上げ」ネット理事長。1977年6月2日東京生まれ。大学中退後渡米。帰国後、ひきこもり、ニート、フリーター等の就労支援団体「育て上げ」ネット設立。2004年5月NPO法人化、現在に至る。

2005年…内閣府「若者の包括的な自立支援方策に関する検討会」委員/厚生労働省「キャリア・コンサルティング導入・展開事例検討委員会」委員/文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員/埼玉県「ニート対策検討委員会」委員/福島県「若者としごと」研究会アドバイザー/立川市教育委員会立川市学校評議員
著書「ニート支援マニュアル」(PHP研究所)